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消し去っていた1番の夢

小学校高学年のころから両親の仲がめくるめく悪くなり、わたしが中学3年生の冬に突然父が消えた。母はすぐに離婚した。(ちなみに父は20年後にひょっこり現れた!現れ方が超面白いので、この話はまたいつか書きたい)

そんな2人を見ていて、わたしは絶対に幸せな結婚をして明るい家庭を築こうと思った。早く結婚がしたかったし、結婚に夢を持っていた。

20歳の時、専門学校の卒業制作で「その夢を描くっきゃない!」と、わたしはB全6枚(畳6枚分!)の巨大な絵を描いた。

妊婦の女の子と、お腹の中の宇宙空間にいる赤ちゃん、そして乳母車を作る男の人。

私の暑苦しい情熱と夢がつまりにつまった畳6枚分の巨大な絵。きっと相当パワーが溢れていたのだろうと思う、卒業制作では賞をいただくことができた。

そして卒業して2年後に、当時付き合っていた人と夢の結婚をした。
でも残念ながら色々あって、私の中で幸せな結婚という夢は終わった。

夢だった幸せな結婚を描いたこの絵を見るのが嫌になって、大事にとっていた6枚のパネルを捨てた。絵が掲載された卒制のパンフレットも捨てたし、製作中に撮っていた写真も全部捨てた。

この絵の証拠は全て捨てた。

・・・

そこから15年ほど経った去年の3月。
あるyoutubeの占いチャンネルで
「子供の頃の夢で忘れているものがあるよね?やり残しているものがあるよね?宝物はそこにある」
と言われた。

毎月よく当たる占いだったので、あれ?今月は全然ピンと来ないな、私はイラストレーターになる夢も、ダンスをしたかった夢も叶えたしなあ、、と思ったその瞬間、

あっ!

と突然この絵を思い出した。

自分でもびっくりしたけれど、本当〜〜にこの絵のことをすっかり忘れていた。証拠となる物を全て捨てたら、記憶も捨ててしまっていたようだ。

『幸せな結婚生活』は、人生において何よりも大きな1番の夢だった。そんな大事なことを記憶から消し去って、忘れ去っていたことにものすごくびっくりした。

ああ、そうだった。私はそんな夢を持っていたじゃない!暑苦しくバカでかく、ウキウキとハッピーな気持ちで自分の夢を素直に描いていたじゃない!
それなのに自分で自分の1番の夢を捨てて、さらには忘れ去ってしまっていたんだ!と思ったら涙が出た。

本当に、子供の頃の夢で忘れているものがあった。やり残している、宝物の夢が確かにあった。

・・・

こんな風に、人は自分で自分の1番の夢を忘れてしまうことがある、というのを体験して、カードリーディングをする際に例として出したり、あとは友達に話したりと、ここ最近いろんな人にこの絵の話をしていた。

そうしたらなんと、先日実家の断捨離を手伝っていた時に、写真の山の中からこの卒業制作の写真が1枚出て来た!全部捨てたと思っていたのに!

絵の右側に貼ってあるのがA4サイズのハレパネ。

見た瞬間、私は反射的に「いらない、捨てる。」と言っていた。やはり自分の中でこの絵には黒い記憶がくっついていたようだ。

でもふと、

今このタイミングでたった1枚だけこの絵の写真が現れたことには、きっと何か意味がある

と思い、「やっぱり一旦とっておく」と言って持ち帰った。

・・・

改めて絵を見てみたら、女の子が絵筆を持っていたり、背景にベッドが飛んでいて鳥のつがいがいたり、池があったり虹が出ていたり。細かいところはすっかり忘れていたので、自分が描いた絵だけれど新鮮な気持ちで見ることができて面白かった。

しかしデッサンがひどいから人の体がひどい。女の子の顔も魚みたいだし笑、足元の犬らしきもの(!)もひどいし、構図もひどい!

ひどすぎるし下手くそすぎるけれど、情熱が半端ないのがわかる。

中学高校時代に両親の離婚で傷ついて、逆に自分は幸せな結婚をするんだと夢を見ていた20歳の時の私が、楽しくワクワクとした気持ちで未来に希望を持って、結婚に希望を持って、本当に一生懸命に情熱的に描いた絵だった。

その夢が壊れて、その夢を持っていたことすらも長いこと忘れていたけれど、記憶を取り戻した今このタイミングで絵が再び現れたということは、「もう一度この夢を持ってもいいよ」という宇宙からのメッセージなんじゃないかな〜、と思った。

一度うまくいかなかったからって終わりじゃない。今からもう一度夢見たっていいんだ。まだ45歳だし!

だからこの写真もこの絵の記憶ももう捨てなくていい。大事にとっておこう。そう思えた。

45歳になった私は、『結婚』という人間の制度的なものはもうどうでもよくなっているので、自分にぴったりの唯一無二の人と『結魂』ができたらいいなと思っている。そしてチャーミーグリーンな日々を送るんだ♪


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サトウユカ
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