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ヒット商品から考える! 費用対効果と時間対効果は本当に釣り合うのか問題


「費用対効果」を表現する「コストパフォーマンス」に関しては、すでに語りつくされていますが、さいきんは「タイパ」と呼ばれる「時間対効果」がよく取り上げられています。

「タイムパフォーマンス」に長けたアイテムが2023年ヒット商品に!

昨年12月に公開された「日経トレンディ」の2023年ヒット商品ベスト30に、
永谷園の「パキット」が9位でランクインしました。

永谷園公式サイトより

以前から「よく売場で見かけるなあ」と思っていたのですが、ヒット商品になっていたとは!!
どんな商品なのか、商品サイトでかんたんに説明されていました。

永谷園公式サイトより

レンジで調理するだけの商品なので、かかる時間は、
「STEP1 パスタを折って袋に入れ、水を加える」
「STEP2 袋のなかでかきまぜる」
だけ! ということになります。

それだけ聞くと本当に「タイパ」効果はすごそう……!

とはいえ、
「300円ならそれなりに自炊ができるのでは?」
「冷凍パスタのほうが手軽じゃないの?」
「そもそもパスタを半分に折るということが考えられない」
という風に、反論がある方も多いのではないでしょうか。

今回はこちらの商品「パキット」を実際に作ってみて、費用対効果と時間対効果は本当に釣り合っているのか問題をあらためて考えていきたいと思います。

自炊もそれなりにする社会人が「パキット」を作ってみる

「パキット」という商品がどういう層に刺さっているのかは、
こちら(日経クロストレンド記事)で詳しく記載されています。

わたしはこの商品のターゲット層ど真ん中の存在ですが、前述したように、いろいろな反論がある人間のひとりでもあります。

とはいえ、このあたりは実際に作ってみなければわかりません。
わたしがふだん調理する工程で、「ボロネーゼ」を作った場合を考えてみました。

【通常の調理時】

・パスタソース(1人前あたり) だいたい100円

・パスタ1束 50円

~見えないコスト~

・水(2L)

・パスタを茹でるガス代:7分~ *鍋でゆでる場合 

・パスタソースをあたためる電気代:1分 *レンジ調理の場合

=¥200+見えないコスト

今回、「パキット」をつかって調理するにあたり、近所のまいばすけっと(この前のくまんたさんの記事でも紹介されていましたね)で実際に商品を購入しました。
同様にパスタソースなども同店舗で購入した想定で記載しています。

【パキット調理時】

・パキット 298円

・パスタ一束 50円

~見えないコスト~

・水(160ml)

・電気代(7分)

 =¥350+見えないコスト

ぱっと見のコストだけでいえば通常の調理時に軍配があがります。
しかし、見えないコストもあわせて考えると、想像よりも金額の差はないのかも?

じっさいに「パキット」を調理してみる!

とはいえ、水をいれてレンジであたため、庫内で蒸らしたあとにかき混ぜるだけです。

レンジにすべての調理をまかせているので、蒸らしているあいだ(まあまあの時間-13分位が必要)
に副菜の準備をしたり、フローリングの掃除などしてしまいました。

あとはお皿に盛りつけて……。

(真のズボラ派の方は、ここでお皿に盛りつけないかもしれませんが……)

パスタ系は簡単なようで意外に調理ムラが出たりするのですが、
そういったこともなくおいしかったです!

費用対効果と時間対効果は本当に釣り合っているのか問題:
「冷凍パスタ」というダークホース

パキット公式サイトでは「鍋で茹でる場合」と比較すると、タイムパフォーマンス的には「約7分」短縮ができているとのこと。

永谷園公式サイトより

鍋でパスタを茹でているときのように茹で加減をチェックしたりすることもありません。
費用対効果と時間帯効果で考えると、「結果として釣り合っているのではないか?」という見解です。

また、鍋でパスタを茹でずに「パスタ茹で器を使えば簡単なのでは?」という場合、パスタソースを同時にあたためることができないこと、電子レンジの利用時間が長くなるので今回は割愛しています。

とはいえ、こういったクイック調理の商品に対して出てきそうなのが「冷凍パスタがあるのでは?」という問いかけです。
実際、この商品を記事で取り上げる際に「冷凍パスタと比較したらどうなのか?」という質問が他ライターさんからも出てきました。

【冷凍パスタの調理時】

・冷凍パスタ:¥200~300

~見えないコスト~

・あたためる電気代:5分~7分

=¥200~300+見えないコスト

【調理時間】

5分~7分

こうして見ていくと、コストや時間的にも「冷凍パスタでいいのでは?」と結論がつきそうなところですが、じっさいに「冷凍パスタ」とこの「パキット」を比較してみて、「パキット」のほうが一人暮らしの人にとって大きく優位になる点に気づきました。

それは……スペースパフォーマンスの点です!

「冷凍パスタ」を保管しておくためには冷凍庫が空いている必要がありますが、一人暮らしの冷凍庫はつねにいっぱいになりがちです。パンもごはんも、傷みそうなものはとりあえず冷凍する方も多いと思います。だいたいのものは「冷凍しておけばなんとかなる!」と考えがちですよね。

ですが「パキット」であれば、厚みも通常のパスタソースよりも薄く、常温でどこでも保存ができるので、パスタソースを置いておくより気軽に保管しておくことができるのです!
ローリングストックとしてもちょうどよいアイテムかも。

▼商品を横から見たときの厚みはこのくらい。薄いのでどこでもおさまりそう

結論:「パキット」はタイム・コスト・スペースパフォーマンスをすべて満たしたすごいアイテムなのではないか

今回は実証実験を行ってみて、商品のすぐれた点を「スペースパフォーマンス」という側面でも見つけることができました。
タイムパフォーマンス・コストパフォーマンス・スペースパフォーマンスどうしはそれぞれ単純に比較できるものですが、いまのものづくり(商品開発)は、
「複合的な要素のあるアイテムを
 試行錯誤の積み重ねの絶妙なバランス」
で具体化していると感じました。
じっさいに試してみてはじめてわかったことも多くあり、自分自身の体感の前に、誰かのレビューやクチコミで判断しがちになっていたことに気づくことができました。
気になった商品は自分自身で試してみることで、メーカー側が打ち出している点のほかに、自分にあったすぐれた側面を発見できるかもしれません。


編集猫 KAURU memo

日本社会の1/3が、単身世帯です。
特に都市部の単身者向けのマンションやアパートの空間が限られている中で、かさばらない、目立たないという要素(スペースパフォーマンス)はとても重要な要素ですニャ。
更に、味とのバランスも高いレベルで考えられているところがスゴイニャネ。


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