見出し画像

バレンタイン!チョコレートの現在形は?


チョコレートでSDGs!

「SDGs」という言葉をご存じでしょうか?

「小学生の息子から指摘!?SDGsの教育」でHAYAKAさんが触れられているように、現在、小学生の授業にも取り入れられているというほど「SDGs」は、スタンダードになっているそうです。

ふだん、何気なく食べているもの、使っているものの中には気が付かないうちに社会貢献になっている商品があります。

SDGsに関係なく、好きだから購入したものがSDGsにつながる商品もあります。
甘くて大好きという人も多い『チョコレート』もその一つです。

いよいよバレンタインデーも近づいてきて、大切な人に、家族に、そして自分へのご褒美にどんなチョコレートを買おうかと迷っている人も多いのではないでしょうか?
バレンタインデーのある2月はチョコレートの消費額が、
1年間の平均と比較すると、

2.8倍

になるという統計もあります。


総務省統計局 家計調査通信第516号(平成29年2月15日発行 より)

「1チョコ for 1スマイル」(森永製菓)

「1チョコ for 1スマイル」という言葉を聞いたことがありますか?
1チョコ for 1スマイル(ワンチョコフォースマイル)は2008年に森永製菓が始めた活動です。

カカオの原産国では、十分な教育環境が整っていない、経済的な自立が難しく子どもが働かざるを得ないなどの問題があります。

1チョコ for 1スマイルでは、チョコレートの売上の一部を使って、カカオの原産地の子どもたちのために支援しています。

ガーナやエクアドルなど5か国の国に学校を設立したり、就学支援などを行っています。
また、現地の子どもたち以外にもカカオ農家の技術向上や自立支援なども行っています。


筆者作成(ココアの生産国は熱帯に集中していますね。)

支援先のパートナーの「国際NGOプラン・インターナショナル」や「NGO ACE」への年間を通して行う寄付に加えて、特別期間では森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を寄付するキャンペーンを行っています。

2008年から支援活動のパートナーとして、15年も支援しています。
22年度の特別期間では2056万円もの金額が集まりました。
これまでに「1チョコ for 1スマイル」で集まった総額は2億9935万円にものぼります。

昨年、2023年には15周年を迎えた「1チョコ for 1スマイル<ベイクドチョコ>」を発売し取り組みを一層強化していたほか、今年2024年は森永製菓の社員が現地(ガーナ)を訪問して、支援地や政府機関と交流した動画を公開しています。

カカオ農家のサポートや児童労働環境の改善プロジェクト(明治、ロッテ)

 明治ホールディングス株式会社では、「メイジ・カカオ・サポート」という独自の支援を2006年から行っています。カカオ農家の暮らしの向上のために、生産面や収益面のサポートに取り組んでいます。

具体的には、栽培方法や病害虫の管理方法に関する勉強会の開催、栽培に必要な苗木センターの開設、カカオ豆の発酵法などの技術指導を行っています。

生活環境面でも、井戸の整備や学校備品の寄贈を通じた教育支援などにも取り組んでいます。
さらに、この活動の維持・推進のためにカカオ豆調達時にプレミアム価格で購入しています。メイジ・カカオ・サポートを通じ、農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率を100%にするように目指しています。

 株式会社ロッテも同様に「フェアカカオプロジェクト」という持続可能なカカオ産業の実現に貢献する活動を行っています。

フェアカカオプロジェクトでは、地域指定購入による支援に加えて、現地のパートナーと協力して児童労働をモニタリングを行う児童労働監視改善システム(CLMRS)を導入しています。

地域限定購入は、調達する生産地域を指定し、そこから調達するカカオ豆に一定の割増金を上乗せして支払うもので、割増金がその地域におけるCLMRSに使われます。

CLMRSは児童労働を発見・是正することはもちろん、モニタリングによって地域ごとに異なる課題を明らかにし断続的な改善を行うことを目的としています。

障害者雇用の促進と低工賃からの脱却を掲げるチョコレートブランド(久遠チョコレート)

久遠チョコレートの従業員の6割は障がいを持った方です。
創業者の夏目浩二氏は、20年前、障がい者雇用の促進と低工賃からの脱却を目的とするパン工房を開業しました。

手間が多いにも関わらずパンはどうしても単価が低いため、長らく苦難が続きました。
しかし、ある時、チョコレートの高単価と性質(失敗しても、溶かせばやり直せる)と障害者の働き方(ひとりひとりの個性と向き合えば集中力や単純作業など向いている仕事を割り当てられる)がとても相性が良いことを発見。
2014年、パンからチョコレートにシフトして、久遠チョコレート事業を立ち上げ開業9年で全国に拡大しつづけています。
「久遠の奇跡」と呼ばれる理由は、従業員のおよそ6割が障がい者で、彼らの所得を全国平均の10倍にしたからです。
また、全国の省障がい者および障がい事業所に対し、チョコレートの魅力とパワーを伝え、彼らの社会参加と自立、そして所得アップを抜本的に行う「全国夢のチョコレートプロジェクト」を公益財団法人日本財団と共同で開始しています。
現在、久遠チョコレートとしては工房つき店舗24店のほかに製造所14拠点を展開、最近では、重度障がい者を雇用する「パウダーラボ」も稼働しており、ブランチも含めると40店舗、57拠点にまで拡大しています。
高級ショコラティと同等かそれ以上のチョコレートを少しお手頃に楽しめて、働く人の支援に繋がって、ブランドも成功する三方良しのチョコレートブランドとなっています。

これからどうなるんだろ??

日本のチョコの売れ方はバレンタイン時期に集中する特殊な商品です。
味や色、形など本当に様々なチョコレートが販売されています。
安いだけのチョコレートより、ちょっと高価な商品でも背景のストーリーに共感できるのなら手に取ってみようと思うのではないでしょうか?
きっかけがバレンタインで購入したという人でも、そのチョコを買うことが誰かの支援に繋がっているということが伝われば、バレンタインシーズン以外でも売れ続ける商品やブランドになります。
日本のチョコレートは世界でもトップレベルなので、買うと誰かが幸せになるお菓子=チョコという位置づけが日本以外の市場でもスタンダード(当たり前)になるといいですね。

※記載の情報は執筆当時(2024年1月)のものです


編集猫 KAURU memo

この10年位でチョコレートの市場は進化しています。
チョコレートは基本的に分業システム(チョコの1次加工とそのチョコを加工する2次加工メーカー)ですが、最近は、ビーントゥバー(bean to bar)と言って、産地のカカオ豆の購入からチョコレート商品化までを一気通貫に行うことで、ワインのように「これはガーナ100%」「ニカラグアの土を感じる」といった楽しみ方も生まれています。
産地とメーカー、消費者との信頼関係は、カカオ豆の継続的な取引にも重要なので、産地の支援は中長期的にみんなが得をする良い取り組みですニャね。 


書いた人