アニメ×コスメのコラボ構造-#1
買えなかった!「あんスタ」からラブライナーとのコラボ商品
前回の私の記事では、マンガアプリの読み方、読まれ方を紹介しましたが、こうしたコンテンツがコスメブランドとコラボすることが増えていることを、私自身の体験から紹介します。
私の推しコンテンツである「あんさんぶるスターズ!!(通称 あんスタ)」では、ファンで争奪戦が起こったコラボ商品ありました。
2020年11月にアイメイクブランドのmsh(エム・エス・エイチ)の看板商品「ラブライナー」と「あんスタ」のユニットである「Knights」のコラボが発表されました。
キャッチコピーは、「LoveLiner ×『Knights』カワイイは、超えていく。」です。
『カワイイをもっと自由に、もっとみんなのものに。』という「ラブライナー」と、音楽活動をはじめファッションモデルや舞台・ドラマなど幅広いジャンルで活躍する『Knights』のコンセプトが合うことから、コラボに至りました。(コラボに合わせ特設ページと動画が公開されました。)
コラボの内容は、Knightsの5人それぞれのイメージに合わせたオリジナルデザインのリキッドアイライナーが数量限定で発売され、さらにパッケージも限定衣装を身にまとった描きおろしを使用したコラボ専用パッケージで発売されました。
アイライナー以外にも、オリジナルカードミラー、サイン入り撮り下ろしブロマイドカードなど、豪華特典付きのセット品もオンライン限定で発売されました。また、@cosme TOKYOでは期間限定で街頭サイネージの放映、撮り下ろしビジュアルとファンが一緒に撮影ができる撮影ブースまで用意されました。
コラボは月1回のネット生放送(youtubeのチャネル登録者数は約50万人)で発表され、すぐファンの間で激震が走りました。私の実感として、SNSでの盛り上がりはとても大きかったと記憶しています。発売だけでなく、数量限定発売との情報が出ると、限定アイライナーを手に入れられるかどうかの戦争が起きるとファン同士が囁きあいました。
予想通り、オンライン販売開始と同時にサーバーがダウンしてしまうほどの人気で、購入できない人が多く、当初は受注生産の予定はなかったにもかかわらず、問い合わせが殺到したため、受注生産で対応されることになりました。
もちろん、私もアイラインを購入しようと思い、オンライン販売サイトにアクセスしましたが、その時にはもうすべて売り切れていました。追加で販売されるたびに挑戦しましたが、間に合わず、結局、入手できないほどの人気でした。
大ファンの私でも入手できないほどの人気だった「あんスタ」と「ラブライナー」のコラボ商品ですが、実は「あんスタ」以外にもアニメ×コスメのコラボしたケースは増えています。なぜでしょうか?
代表的なコラボを3つ紹介します!
ケース1★セーラームーン✕CANMAKE(2023年)
劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』の公開を記念して行われた、CANMAKE(キャンメイク)とのコラボレーションです。
このコラボでは、限定パッケージの「シティライトアイズ 05 ムーンダイヤモンド」が、数量限定で発売されました。シティライトアイズは、まるで夜景のように輝く、高輝度パール配合のシングルアイシャドウです。パッケージには月のモチーフがあしらわれています。
また、Twitterキャンペーンも2弾にわたり実施されました。キャンメイク公式Twitterアカウントから投稿される4枚の画像の中に隠れている黒猫ルナと合言葉を探して、合言葉をツイートすると抽選で各回100名、合計200名にキャンメイク商品とオリジナルグッズがプレゼントされました。
ケース2★エヴァンゲリオン ✕ KATE(2020年、2021年)
これまでの化粧品とアニメのコラボといえば先ほど紹介した「美少女戦士セーラームーン」やディズニープリンセスなど、女性が好みそうな、コスメブランドらしいキャラクターが主流でした。しかし、より二次元コンテンツ色の強いものとコラボするケースも増えてきています。
「綾波レイ、はじめての口紅」
思わず目を引くキャッチフレーズでコラボしたのが、メイクアップブランド『KATE』とアニメ『エヴァンゲリオン』です。2020年に『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開に合わせて発売されたコラボ商品「KATE レッドヌードルージュ(EV)」は、外箱全面に綾波レイを描いています。
綾波レイのイメージとKATEが訴求したいブランドイメージが一致したことがコラボの大きなポイントで、さらに、このキャンペーンでは専用の動画(20秒)が制作され公開されたことも『シン・エヴァ』の映画公開を待ちわびていたファンから注目を集めました。
ケース3★『左利きのエレン』✕「BULK HOMME」(2022年)
メンズスキンケアブランド「BULK HOMME」と広告業界を舞台にクリエイターの葛藤を描いた人気漫画「左ききのエレン」とコラボしたオリジナルマンガを特設サイトで公開しました。
このコラボは、様々な葛藤や想いを描くことで読者の背中を押してくれる作品である「左ききのエレン」を通じて、今を生きる男性たちを応援するメッセージとして企画されたとのこと。
オリジナル漫画では、「BULK HOMME」が展開しているFACE UPキャンペーンの第2弾を舞台に目まぐるしく変化する現代社会で、顔を上げ、前に進み、自分らしい進化を遂げる男性のストーリーを描いています。
そして、オリジナル漫画のストーリーと連動した日本初の“自信がつくまでの道のり”を評価基準とするモデルオーディションが実際に開催されました。オリジナルマンガは、主人公が自信をつけるまでのストーリーだったので、評価基準も「応募者自身の“自信がつくまでのストーリー”」でした。
モデルオーディションのグランプリは、Twitterによる参加型一般投票で最終決定され、グランプリに選ばれた瓜生(うりゅう/21歳)さんを起用したポスターとデジタルサイネージが新宿マルイ本館・新宿マルイ アネックス・新宿マルイ メンにて掲載されました。
コスメ×アニメのコラボから見える可能性!
今回は、「あんスタ」を初めとするアニメとコスメのコラボの事例を合わせて4つ紹介してきました。
ここに紹介してきたケース以外にもアニメとコスメのコラボは数多く行われています。なぜ、アニメとコスメのコラボがこんなにも多く行われて、増えているのでしょうか?
この3−4年は続いているので、どうも一過性のブームではないようです。
こうしたコラボ(略さずに書くと、コラボレーション)が行われる背景にはコスメ・アニメそれぞれの事情と市場環境が大きく影響しています。次回から、コスメ業界・アニメ業界の現状とコラボが効く市場構造についてお話していきたいと思います。お楽しみに!
-2-に続きます。