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1990年10月 東京芸術ざんまい 01

【経緯とまとめ】友人から誘われバレエ観劇に東京に出かけることになり、ついでに見られるだけ美術展を回ろう、と目的地が微妙に同じだったり違ったりした友人ふたりとの三人での二泊旅。
まずは地元出発、上野で当時の社会党集会ながめたり展覧会行ったりの日。
写真は一枚もないので、ヘッダーはどちらもお借りしました。ありがとうございます。

10月28日(日)

9:48 こだまで静岡を出る。立ち乗りが出ていたくらいだが、友人Kと友人Sとうまい具合に座れた。
以前よりもすれ違う列車が多くなった気がする。ほとんど隙間なくダイヤが編成されているのでは。

11:20 東京着。構内の天井を塗り直しているらしく、アングラ劇場の舞台装置のごとくシートと網がかぶせてある。

上野。上野野公園ではちょうど社会党の集会をやっていた。なぜかブラックミュージックがかかっている。ケニアの音楽とか言っていた。日はうららかで噴水は高く水を上げ、風は少し冷たくからっとしていていい気持ち。
外国の人びとがTOKYO MAPを片手に散策しておる。
12:00過ぎに土井たか子の挨拶。舞台裏はSPの人がわらわらしている。油断がない(ように見える)。左わきに吊っているのは銃でなけりゃ無線機か?

赤いマクラの金バッヂつけた国会議員もヘラヘラしていた。
土井さんはイイヒトそうだけど、やっぱり言ってることがなんか甘い気が。
いいお天気で、と盛んに言ってる。見りゃわかる。あと、けんぽーにはんたい、というのは分かったのでもう少し突っ込んだスピーチを聞きたいな、と勝手なことを思いながら国立西洋美術館へ。

国立西洋美術館。ウィリアム・ブレイク展。

人物描写に特徴がある。色がくすんでいて、いまひとつどんな題材を見てもすっきりした感覚が起きない。『笑いの歌』って前に本で読んだなあ。
他が暗い物が多いせいか、えっこれ素直に取っていいの? って感じ。
予言の書というシリーズがキリスト教に対する歪曲解釈っぽい感じがしてけっこう怖かった。あと、この人は生きている蛇みたことあるんだろうか? 変なマダラ模様にしたがる。
なんだかんだとやかく言いながらも図録まで買ってしまう。

厚さ3センチくらいある。硫酸紙カバー付き
表紙は「憐み」(1795年頃 版画に彩色)らしい

山手線で新宿へ行き、丸ノ内線で新宿御苑へ。
お昼ごはん。ウェンディーズのチキンバーガーは温かいのがごちそうだった。食後はそれぞれ別行動となる。
先にホテルに入る。新宿インのトリプル。ちゃんとふつうのベッドが3つあった。

トイレットペーパーは『美少年』だって。尻を拭くのが申し訳ない。

まずはターナーを見に行く。小田急百貨店本館11階。

チケット

チケット裏面に解説あり。

英国の水彩画は、18世紀半ばから19世紀半ばに かけて黄金期を迎えました。ヨーロッパ大陸への旅行 が盛んになり、水彩画師を伴なってカメラの代わりに 風景画を描かせたことが、水彩風景画を発達させま した。さらに、顔料や用紙の進歩とターナーの登場 によって、英国の水彩風景画は芸術の領域にまで高 められます。ターナーの風景画は、単に風景そのもの を題材とするだけでなく、雷雨や吹雪といった、「自然 の暴力」を好んで取り入れて風景の強烈な存在感 を、そして風景が持つ微妙な光と影を描くことによって 深い内面性を表現するに至りました。ターナー、そして ガーティンは、後にフランスの印象派の誕生に大きな 影響を与えることになるのです。

本展は、こうした英国における水彩画の歩みをたど るもので、黄金期を代表する作家の作品を一堂に 集めた画期的な催しです。英国人、サー・ヒックマン・ ベイコンのコレクション、ケンブリッジ大学フィッツウィ リアム美術館の所蔵品のうちから、ターナー、ガーティ ン、コットマン、コックス、ゲインズボロ、また批評家として 名高いジョン・ラスキンなどの作品もあわせ詩情あふれ る水彩画100余点を集めて、英国水彩画の神髄を展観 いたします。

表面の作品:
ターナーくハイデルベルク風景>1844年頃

ターナーとその時代/英国水彩画展 チケット裏面

ターナーの色づかいは同時代の他画家と比べてもやはり、違う。心の移り変わりが色になって表れているような気がする。
海(湖?)への日没なんて、そのまま『印象――日の出』と相通じるものがある。
ハイデルベルクが美しくていいなあ、と思ったらこちらはポスターになっていた。

『ハイデルベルク』ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 
1844-1845
(2024.8あっ、チケットのと違った!と今更気づく)

他の画家のものでも、はっとするような良いものがあったけど、なぜかターナーの作品は古さを感じさせない。
(※図録買ったような……これが出て来ないのでとりあえずパブリックドメインを)

次は伊勢丹のジム・ダイン展。ばくぜんと、ハートが並んでいる光景を想像して行ったのだが、これがけっこう良かった。
で、この人はわざとやってるのかうっかりしたのか分からないんだが、ヴィーナスの作品とバスローブのそれぞれ1枚ずつ、左右逆なのがあった。どちらも版画なのでそのせいかも、と思ったがそれ以前の版画でも正しい?向きのものがあった(と思う)。
木の作品群が好きだった。工具を題材にしたものはジャスパー・ジョーンズを思い出させる。
『ランチョ・パステルという名のハート』は、とても美しいピンクのハートが暗いブルーの花柄の中に浮き上がっていてきれいなんだけど、近づいてよくよく眺めると、実にピンクの部分がおどろおどろしくてきたなく、みにくく見える。disgustともいえる。何故か、公害という語を思い出した。
図録を買う。表紙がランチョ・パステルという名のハート。

ビルを降りていくとそこには新宿三丁目の駅があった。御苑前に戻り、150円の熱いエスプレッソを飲み、かりっと皮が焼けたペッパーハムのバーガーを食べる。

19:00前 宿に着く。
ゆっくりと風呂に浸かり、ビールを飲んでうだうだする。
(友人たちはこの晩何かの催し物に出かけていた、と思った)
多分すぐ上の階の客が、パターゴルフの練習なのか、ゴロゴロと床を鳴らしていてうるさい。
あまりにもしつこいので、ベッド脇に脱いであったスニーカーを投げ上げて天井に張り付ける。少し静かになったが、また、ゴロゴロゴロと始まる。
諦めて寝る。
21:50くらいには静かになった。
(※ずいぶん後になって聞いたのだが、すぐ上の階からはマンションだったらしい。定住者ってことだね。びっくりさせてすみませんでした……)



1990年10月 東京芸術ざんまい 02(終) →


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