デザインからアートへの転換。思考、経営、文化。
今春に通っていたビジネスサロン「kudan house」。kudan houseに通って考えを馳せたデザインからアートへの転換。そして、大企業の限界への挑戦。
ビジネスサロン「kudan house」
株式会社NI-WAさん・東邦レオ株式会社さんが主催するビジネスサロン「kudan house」。
この秋、東京・九段にある国の登録有形文化財「旧山口萬吉邸」をリノベーションして、会員制ビジネス・サロン「kudan house」がオープンした。この旧山口萬吉邸は、東京タワーの構造設計者としても知られる建築家、内藤多仲が手がけた築91年の洋館。馬車が通れるように作られたエントランスやダンスホールを兼ねた居間、中庭に面したサンルームなどを有し、当時、もっともモダンとされた装飾が残る。サロンの運営を行う株式会社NI-WAの代表取締役、吉川稔氏はオープンするずっと前から「ここを“和のアート”をテーマにしたビジネス・サロンにしたい」と話していた。
ポスト資本主義の一つのカタチである最適化社会をテーマにした全10回のセッション。毎回、魅力的なゲストによるキーノートと、10人という少人数の受講生を交えた深いダイアログ。
毎回、多くの気づきや学びがありました。そんなkudan houseの魅力を伝えたいのでサマリーを紹介します。
4/12
社会活動家/社会システムデザイナー
武井浩三氏
ポスト資本主義。GUILD FREE(ギルト・フリー)、罪悪感ゼロの消費活動。
4/28
『最適化社会 日本』著者/プロデューサー
二之湯武史氏
平成の失われた30年。経済や科学を超えた人間としての真善美が試される。
5/14
東邦レオ株式会社 代表取締役社長 株式会社NI-WA 代表取締役社長
吉川稔氏
ティール組織やアート思考による高付加価値な新しい企業経営。
5/19
ギフトに生きる人
石丸弘氏
ギフトし続けることで循環型社会が成立し、個人のWell-beingも向上する
5/24
慶應義塾大学環境情報学部教授 博士(政策・メディア) / アーティスト
脇田玲氏
今後重要となる自分を主語にして未来社会を問うアート思考
※デザインは相手の課題を解決するソリューション
6/1
NPO法人東京レインボーブランド共同代表
杉山文野氏
分かち合えないことを前提にダイバシティ&インクルージョンな社会を形成する
6/9
ライゾマティクス・アーキテクチャー主宰
齋藤精一氏
街の制約「政治の事情」「大人の事情」「条例の事情」「忖度」を排除して、あるべき街を考える
Think TankからDo Tankへ
6/15
Creative director / Lifestylist
大田由香梨氏
自分の感受性を大切にする
6/23
株式会社 eumo ユーモアカデミーディレクター
岩波直樹氏
ゼロリセットしても自分の軸があれば大丈夫
6/30
日経トップリーダー編集長
北方雅人氏
中小企業は経営者が人生をかけているので面白い
※中小企業の社長の在任期間が20-30年。大企業は5-6年。大企業に長期ビジョンを求めることがナンセンス。
kudan house初日の最後は焚き火を囲んでのダイアログ
SDGsはデザイン思考による社会課題解決、After SDGsはアート思考による未来社会創造
NEC未来創造会議では、2050年に実現したい未来社会のコンセプトとして「意志共鳴型社会」を掲げています。kudan houseを通じて「意志共鳴型社会」がこれからの未来社会に向けて大切だということを再認識したというか、後押しされたようで満たされた気持ちになりました。
デザインからアートへ。
デザイン思考の1stステップは、観察を通じた「共感」です。相手の課題を見つけて共感する。すなわち、最初にあるのは、自分の意志はなく、相手の課題。
アートは、作品を通じて自分の考えを社会に問いかけます。つまり、最初にあるのは自分の意志。
「経済や科学を超えた人間としての真善美が試される」(二之湯さん)、「ティール組織やアート思考による高付加価値な新しい企業経営」(吉川さん)、「今後重要となる自分を主語にして未来社会を問うアート思考」(脇田さん)、「Think TankからDo Tankへ」(齋藤さん)、「自分の感受性を大切にする」(太田さん)、「ゼロリセットしても自分の軸があれば大丈夫」(岩波さん)、「中小企業は経営者が人生をかけているので面白い」(北方さん)の言葉を並べても共通するのは企業経営において大切なのは自分の意志が起点だということ。
数年前にデザイン経営がフィーチャーされつつも、この言葉を聞く機会は減少しています。自分の意志でなく、誰かの課題解決を優先するのであれば、活動を継続し続けるモチベーションは乏しく、サステナブルな活動にならない。
VUCAの時代。誰もが主体的に社会に関与することが避けられない時代。大切なのは自分の意志。そして、共感・共鳴してくれる仲間と一緒に小さな挑戦をし続ける。
NECは社会価値創造型企業。社会課題解決型企業ではない。社会課題解決が目的でなく、社会価値創造すると社会課題も同時に解決できる。この観点を忘れていないか?SDGs達成のための企業経営でなく、企業経営の結果として必然とSDGsに寄与できる。
サーキュレーション主催ウェビナー「NECの2050未来シナリオの創り方」
(一部、資料を改変)
大企業の限界に挑む
kudan house最終回のゲスト 日経トップリーダー編集長 北方雅人氏のメッセージが衝撃的で脳裏を離れません。
「中小企業は経営者が人生をかけているので面白い。中小企業の社長の在任期間が20-30年。大企業は5-6年。大企業に長期ビジョンを求めることがナンセンス。」
以前(2015年)、前富山市長とトークセッションした時に投げかけた問い。NECのコーポレートブランド戦略を担当することになり、2030年に向けたビジョンを策定して公開し始めた頃。
僕「富山市では、どの程度の未来を見据えて活動しているのですか?」
前富山市長「30年先を見据えています。ただし、首長は選挙で変わる可能性がある。首長が変わっても長期ビジョンを実現するには市民のマインド醸成による文化づくりが不可欠。私が行っているのは街づくりと人づくりなんです。」
NEC未来創造会議はNECの公式な活動であるものの、プロジェクト制で実施している部活のような活動体。メンバーは10名。 NECグループは11万人の社員なので、比率で言うと1万分の1。大企業の中で長期ビジョンを実現していくためには多くの課題が山積していますが、これからも挑戦し続けていきます。
オマケ
kudan houseではロウソクの灯りのゆらぎを見つめながらのマインドフルネスや、油絵による絵画、焚き火など、自分に向き合うための仕掛けが多々あり、僕らが日々の忙しさで失ってしまった時間の過ごし方を取り戻すこともできました。
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