霊感があってよかった事
オレには他の人が見えないものが視えてしまったりすることが多々あります。
見えないものが視えるのは正直言っていい事じゃありません。子供の頃は知らない人を指さしながら「あのおじちゃんのうしろにお姉さんがしがみついてるね」ということを言ったりして母親からよく叱られたりもしました(母も視える体質なので)
それからは視えていても黙っているようになりましたが、何かしら良くないものが視えてしまうとどうしても言ってしまいます・・・。
今回はその力のおかげで命拾いした話です。
これはオレのカミさんと結婚する前でまだ付き合っていた頃だから今から4年前の話です。自分と彼女は共通のバンドのファンだったり、音楽の趣味が似ていたのでよくライブに一緒に行ったりしてました(今でもたまに一緒に行ってますが)
その日はお気に入りのバンドのZeppTokyoでライブがあったので終演後に近くのレストランに入って、食事や酒を飲みながらライブのセトリや楽曲の感想などの話題でかなり盛り上がりましたが、盛り上がりすぎて気が付いたら彼女の自宅に向かう最終電車は終わってしまってました。
「じゃあ家まで送っていくからタクシー拾って帰ろう」って彼女と話して、駅ロータリーにあるタクシー乗り場まで向かいましたが、雨が降ってきたせいもあってタクシー乗り場には人がかなり並んでました。
30分ぐらい待ってようやく自分たちの順番が回ってきたけど、止まっているタクシーの中を見てオレは「う・・・」って思いました。
止まってるタクシーの助手席と後ろの座席にはすでに人が座っていたからです。彼女には見えていなくて「早く乗ろうよ」と急かしてきましたが、オレには座席にいる人が一目で生きている人間ではないとわかりました。運転手さんも霊が乗っていると知らないから客待ちしてたのでしょう。
オレは「このタクシーに乗るのはやめよう。次まで待とう」と彼女に言いましたが、そんな事情を知らない彼女は「次の車無いし乗ろうよ」と言ってきて口論になりました。彼女と口論を続けてたら後ろからサラリーマン風の中年男性に「乗らないんだったら先にいいですか?」と声をかけられて、そのサラリーマン風の男性はそのタクシーに乗ってしまいました。
オレは「あのタクシーに乗ったらダメだ!」って分かっていたので、タクシーを走って追いかけたけどスピードをあげた車に追いつけるわけもなくタクシーは走り去ってしまいました。そして次に来たタクシーに乗って彼女を送り届け、そのまま自宅まで帰りました(なお、タクシーに乗ってる間はかなり気まずい雰囲気でした)
そして翌日の朝
彼女からの電話でオレは起こされました。
「テレビつけてニュース見て!早く!急いで!」と彼女が堰を切ったように言うのでオレはすぐにテレビの電源を入れて、ニュース番組にチャンネルを合わせました。
するとニュースではタクシーが衝突事故を起こし大破した映像が流れてました。その大破したタクシーは昨夜オレが「乗るのをやめよう」と言ったタクシーだったのでゴクリと息を呑みました。
そして運転手と乗客の男性は事故で亡くなったとニュースキャスターが述べてました。もちろん彼女からは「何であのタクシーに乗らない方がいいってわかったの?」って聞かれたのでオレは自分が見たものを正直に伝えると電話の向こうにいる彼女は「うん・・・うん」とオレの話にうなずいてるのを感じました。それから「それって霊感ってやつだよね?だからわかったの?」と聞いてきたのでオレには生きていない者が視えたりすると話しました。
彼女は「そうなんだ!じゃあまた明日ね」と告げると電話を切ってしまいましたが、翌日以降も普通の関係を続けていき、そして現在は結婚して子供も誕生し幸せな生活を送っています。
霊感というのは不便なこともたくさんあるけど、もしもオレにこの力がなかったら2人とも死んでいたかもしれないと思い返すと今でもゾッとします。。。
(タイトル画像はイメージであり、この話とは関係ありません)
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