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働く場所が変わるとマネジメントも変わる?

自己紹介:たく

これまでマネージャーとして上手くいっていたのに・・・部署異動して上手くいかなくなった。メンバーが大幅に入れ替わってしまってなんだかしっくりこない。そんな経験はないでしょうか?本日は私が直面した類似の経験について、特にプロジェクトの実務を統括する上で重要となるリーダーシップに焦点を当てて、どのように対応したか書いてみたいと思います。

2つの事例

本日はこれまでのキャリアの中からA社とB社、2つの組織でのマネジメントの実例を紹介します。環境の概要は以下の通りです。

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A社の場合

振り返ってみれば、私のマネジメント手法に一番影響したのは、何といっても自分の経験値だったと思います。ほぼ初めて部下を持ち、一定期間仕事をまるっと任される形でした。自分の上司の期待も感じており、とにかく「成果を出したい、一定の評価をされなければ」と考えていました。

更に部下が新卒~2年目でまだ仕事を覚えている最中だったこと、私がこれまでプレイヤーでやってきたことが手伝って、マイクロマネジメント寄りのスタイルであったと思います。

特にプロジェクト後半は忙しくなりがちである為、初期の段階でいかに部下に仕事を覚えてもらうか、終盤で「教える」ことに時間を取られずに自分を含めた3人で納期通りやり切ることができるかに焦点を当てていました。

古くからあるリーダシップの行動特性を示したPM理論で言うところのPm型であったはずです。

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出典: GLOBIS学び放題

結果どうだったかというと、任された仕事は無事やり切ることができ、マネジメントレビューでも良い評価を獲得、次も同様の立場で仕事をする機会を得て安堵しました。

一方で、自分の経験値の無さや成果へのプレッシャーから、残業が多くなったり土日出勤したりと労働環境は決して良くなく、納期がタイトだったとはいえ今ならもっと効率的にできたと思います。そんな中で幸いだったのは、会社・部署として仕事のやり方の標準化や品質保証の為のチェック機能が整っており、アドバイスを求めることができる人もいた為、時間が無い中でも部下に納得感を持って仕事をしてもらえた点です。しばらく月日が経ってから当時の部下一人に話を聞いてみたところ、「○○さんに仕事の基礎を教えてもらいながら、一緒にプロジェクトをできたのはとても良い成長機会でした」と言ってもらえて非常に嬉しかったです。

B社の場合

上記A社での経験から4年ほど経った際の話です。これまでの経験から、自分のマネジメントにある程度の自信がついて、自分の「型」のようなものができてきた時期でした。

一方で、B社に来て初めての長期で海外で行うマネジメントの仕事。また部下も全員年上の経験者揃いでした。そこには怯むことなく、やる気も十分で初日から気づいたことはどんどん発言していったのですが・・・それが大失敗。

どうやら部下たちは「〇〇さんは、我々のやり方をあまり理解してくれず、仕事の進め方が一新されてしまいそうだ。これまで残っている仕事には理由があるからなのに。。」と思われてしまったようです。私個人としては良いものは残しつつ、改善した方が経営管理上好ましいものは手を付けようというスタンスだったのですが、発信者側(私)と受信者側(部下)では理解や感じ方にギャップが出ることを痛感しました。

また、最初は状況把握が肝心という考えのもと、システム等のアクセス権の取得や他のマネージャーとの会話に勤しんでいたのですが、とあるマネージャーからは「何故そんなに急ぐのか?普段の仕事も走っているのだから、あまり妨げない程度にお願いしたい」と言われてしまいました。内心、「スピード感があまりないのかな・・・」と思いつつ、「このまま上手く協力を得る体制が整わなければ、自分もチームもパフォームするのは難しいだろう」とも思い、姿勢を改める決意をしました。

それからはPM理論でいうMを大事にして、他マネージャーや部下と雑談をすることに重きを置きました。真面目な性格の故か、こんなに雑談してていいのだろうか?と思ったり、雑談するときは仕事の引受や依頼も兼ねてした方が良いよなと考えたりもしましたが、純粋な雑談の時間も関係構築に必要だと自分に言い聞かせて(=成果を急ぐ自分の心をなだめすかすような感じ)、最初の数カ月を過ごしました。特にランチや会食の誘いは基本断らず、誘ってもらったら次はこちらが誘うと意識して参加しました。自分がそのような場が比較的好きなタイプなので、この方法はあまり労せず同僚との距離を縮められて良かったです。COVID-19以降はこの手は使いづらいので、別の方法を考える必要がありますよね。具体的に興味ありましたら、メンバーが書いた以下の記事をご覧ください。

さて、上記のような雑談を取っ掛かりに、以下の3ステップで同僚へのアプローチを行いました。(部下だけでなく上司含めた仕事上関係が深い人皆に実施しました。)

①まずは完全に聞き役になること。現地の文化から仕事の進め方、人間関係まで、幅広く話を聞きました。特に最初は、大人数の場だと勝手に会話が始まってそれを聞くだけで新しいことを知れるので大きなメリットがあります。自分の話は聞かれるまではせず、発言するときは相手への質問を意識しました。特に相手が興味・関心があったり、得意だと思ったりしていることは、饒舌に話してくれることが多いのでそこを意識しました。

②次に自分を良く知ってもらうこと。①の聞き役に積極的に取り組んでいると、自然と「日本ではどうなの?」とか「あなたはどう思うの?」等と聞かれる機会が出てきます。そこで最近の情報や自分ならではの経験、自分の考え方等を簡潔に伝えることができれば、相手もまたこの人と話してみたいなと思ってくれるケースが増えるように思います。このような機会を活かして、自分は「○○に強みがある」とか「○○に興味がある」ということを薄っすら周りに伝達できるよう心掛けました。こうすることで、自分が得意なことが仕事として回って来やすい環境になり、例えば私のケースだと「エクセルで困ったときのお助けマン」として部署のメンバーから相談を受けてお役立ちできる機会が増え、認知してもらえるようになりました。

③最後に改善提案をすること。①②が済んだ段階だと、周りの見る目は変わって、こちらの話をフラットもしくはポジティブな感情で聞いてもらえる機会が多くなります。そのような場を見極めて、改善提案をすると受け入れてもらえやすくなる実感がありました。特に自分の得意領域に関することであれば、相手もそれに一目置いてくれている場合、話がかなりスムーズに感じました。組織にジョインしてから1年以内に「xx(成果物)は○○(私)のおかげで仕上がったよね」と幅広く認めてもらえ、付加価値を出すことができてホッとしました。

この流れでなんとか居場所を見つけ出し、一定の成果を出すことができたB社での経験。なかなかほろ苦いデビューでしたが、今後大きく環境が変わったときに備えることができる勉強代となり、災い転じて福となりました。

海外のマネジメントエピソードとして、以下の類似記事もぜひご参考にどうぞ。

理想のリーダシップを求めて

森岡毅さんという方をご存じでしょうか。マーケティングの世界で著名で、あのUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復に導いた仕掛け人として広く知られています。森岡さんは新卒でP&Gジャパンに入社して、メキメキと頭角を現し、米国の本社にも請われて辣腕を振った経験があられます。そんな森岡さんですが、米国本社赴任時に同僚から全く歓迎されず、仲間外れにされる中、ストレスに打ち勝って結果を出すことで周りの態度が大きく変わったというエピソードが強烈でした。こちらの本の第6章に詳しく様子が載っています。著者の書きぶりから、Pの力が非常に強いPm型のリーダーだったと思われます。

仕事上の信念や悩んだ際の考え方など、参考になるものが多いのでビジネスマンにはお勧めの一冊です。本書でも自身の強みへの集中、より正確に言うと「自分の特徴を強みに変える文脈」を選んで、そこへ向かって泳ぐということが成功へのカギとなると述べられており、上記の自分の経験とリンクして共感しました。

また、「強い人間は、環境に合わせて自分を変えるか、自分に合わせて環境を変えるか、そのどちらかができる」とも言われており、森岡さんは後者を実践して結果を出されたのでしょう。私のB社での体験では、自身のマネジメントスタイルが変わった為、前者に分類されると思います。

リーダシップというのは、メンバーでも発揮することができれば、マネジャーとなっては役立つし、経営陣には非常に重要な要素です。普段の仕事からPとM両方の要素を意識しながら、またポジションに関係なく周囲で良いリーダシップを発揮されている方を参考にしながら、自分自身のレベルアップを図っていきたいです。

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