バイリンガル教育ってどうなの?
米国MBAに子ども(4歳、2歳)帯同で臨む私の悩みのひとつ。「バイリンガル教育の影響」について「勝手にメンター」のメンバーが相談に乗ってくれ、すごく参考になったので記事にしました(音声も今後アップ予定)
「日本語を発達させている段階で外国語を学ぶと脳が混乱し発達に影響を与えるのでは?」と悩んでいた私の悩みにメンバーがそれぞれの経験をもとにアドバイスをくれました。
みんなとの座談会を踏まえると、主なポイントは2つで、我が家も渡米後は、現地の幼稚園に子どもを預ける決心がつきました。
①深い思考力を育てるフェーズである小学生に達するまでに主軸となる言語を固めてあげる(海外で日本語を主軸にする場合は、幼児期からの日本語での読み聞かせなどが重要)
②親の心配を他所に子どもは結構フレキシブルに複数言語に対応している(子どもが楽しめる環境や心理的安全性を保つことが重要)
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(たく)「今日は幼少期の海外経験をメイントピックにして、特にしょうの『子どもを米国での幼稚園に預けるかどうか』という質問について、各自の経験をもとに考えていくという会にしようと思います」
(たく)「改めてパネラーの紹介です。今日はこのメンバーで質問に答えていきたいと思います」
(しょう)「今年からアメリカに留学し、子ども2人も帯同予定です。そこで悩んでいるのが、子どもの発達的に子どもを現地校(英語)に預けた方が良いか。一つの理由は、子どもの言語や思考力の発達という面から言えば、3歳頃までは一つの言語で育てた方が良いということを聞いたことがあって。『勝手にメンター』のみんなが同じような経験をもっていたので、是非相談したいと思ったところです」
(しょう)「それでは、最初はそうから話を聞こうと思います。そうは海外生まれで幼い頃に来日して2言語という環境で育ってきた経験が、今の自分の言語力などにどう影響したかということについて教えてください」
(そう)「私は1歳から4歳は日本にいて、そこから母国に戻って、自分の母国語を学んだ。日本に行ったり来たりしている生活のなかで、幼少期は物事をどう表現するということが難しかった。成人してからは日本にいるので、今は母国語よりも日本語の方が使いやすい。今は二言語ともにバイリンガルと言えるくらいは話せるけど、(双方の言語で)思考したり、自分を表現することを試行錯誤しながら学んできたことが良い経験だった」
(しょう)「母国語で考えるときと、日本語で考えるときを、どういう風にスイッチングしてきたの」
(そう)「1歳から4歳まではほぼ日本語だけだったので、日本語がメインだった。そのあと、母国に帰ったときは、母国語が定着するまで時間がかかったかな。ただ、帰国後3か月くらいで母国語が定着したあたりから、逆に日本語が全く分からなくなって、その次来日する中学校の頃には日本語が分からなくなっていた。(日本語を)聞いたら分かるけど喋れないという状態。二つの言語が完全に共存するという状態に至るまではけっこう時間がかかった」
(しょう)「中学校で戻ってきたときは、(日本語の)ベースがあるから普通の人よりは(日本語を)習得するのは早かったのかな?」
(そう)「そうかもしれない」
(しょう)「あと一つ気になったのは日本語を話す相手と母国語を話す相手というのは、話し相手によって変えていたの?」
(そう)「何も考えずに自然に出来ていたと思う」
(しょう)「父親には母国語、友人には日本語みたいな感じ?」
(そう)「そう、そんな感じで神経を使わずできていた」
(しょう)「いちの場合は子どもを中国語で育てていると思うけど、言語の面でどういう方針で育てているのかな」
(いち)「今は完全に日本語を使う学校に通っているので、学校では日本語が中心。ただし、通っている友達が中国人も多いので、中国語を話すこともあるみたい。家庭では、妻が中国語で話しかけているので、一日のなかでの割合としては、中国語の方が多いかも。ただ、テレビとかを見ているときは日本語のコンテンツ物が多いので、日本語で見ているという感じ。今は、日本語と中国語だと中国語の方が上手いかな。使い分けという感じでは、話し相手によって使い分けているみたい。挨拶をする相手を見て、中国人っぽいと思えば『ニーハオ』と言って、日本人っぽいと思えば『おはよう』というのを自分で考えて使い分けている感じ」
(しょう)「それ結構難しいよね。欧米の人にも言ってあげたいわ。おれ見て『ニーハオ』と言ってくる人多いからさ笑」
(しょう)「幼少期に言語を学ぶ一つのメリットは発音にあると思っていて、いちのお子さんは中国語の発音も結構きれいなの?」
(いち)「中国語の発音は綺麗。妻が南方出身ということもあり、その発音に引っ張られているけどね。発音については、環境に引っ張られるみたい。子どもが学校で英語を学んでいるときに『r』とか『l』の発音を強調して学んでいるみたいで、birdを発音するときもbi"R"dみたいな感じで極端な発音になっている。発音は環境に引っ張られている感じがする。英語の発音はこれからだけど、中国語と日本語の発音は本当に綺麗に身に着いている」
(しょう)「中国語や英語は日本語にない発音がすごく多いので、そういうのが小さい頃から身に着いておくと良いね」
(いち)「外国語は筋トレと思っているから、子どもの頃から口の筋肉が発達していると習得しやすいかもね」
(しょう)「子どもが話すときに3言語が混ざるということはない?」
(いち)「全くないね。ただ、その言語で単語を知らない場合は、中国語の単語で言ったりはするかな。子どもが知らない中国語はおれも知らないから、その場合は妻に聞いたりしている笑」
(しょう)「これからの方針は?駐在なのでいつかは日本に帰ってくると思うんだけど」
(いち)「基本は今の日本語学校から小学校も日本語中心の学校に行くと思う。今の日本向け幼稚園だと、日中英を混ぜながらやっているけども、日本語中心の小学校に行くと、日本語が主軸になると思うから日本語に寄って行くと思う。考える言語を一つの言語に統一することで、深い思考ができるようになるかなと」
(しょう)「たくも同じくらいの年齢のお子さんがいると思うけど、今までどういう風に教育していたかとか、今からどういう教育をしようと思っているか教えてください」
(たく)「うちの場合は夫婦ともに日本人なので、日本語を主軸にしようと思っていて、小さい頃から日本語だけで話しかけていた。駐在になってからは、幼稚園の数やプログラムの充実度などを考えローカルの幼稚園に預けることにした。ローカルなので、英語や中国語がメインになるような環境で育てていたけど、言語が3つになると難しいと思って、最近、園を変えて、英語と日本語のバイリンガル教育を行っている園にした。英語は家の外もしくはヘルパーと話し、親とは日本語で話していて、このまま伸ばしてあげようと思っている。ただ、小学校になると、インターナショナルスクールにするか日本人学校にするかは大きな決断になるので、迷っているところ」
(しょう)「迷っているのは、(今後の教育を)日本語フォーカスにするか、今みたいな感じを継続するかということ?」
(たく)「そうそう。駐在先は英語ネイティブな国ではないので、(ローカルな学校だと)学ぶ英語はシングリッシュのようになる可能性もあって。一方、インターナショナルスクールは欧米系の子どもが多いので、英語を本当に伸ばしてあげたければ、インターナショナルスクールかなという感じで迷っている」
(しょう)「子ども的には2言語学ぶことにフラストレーションとか感じていない?」
(たく)「それはないかな。最近、お風呂の時間では英語で話したがっているし。たまに中国語で話してと言われることもある。それは話せないからできないけど笑」
(しょう)「子どもに自分の下手な英語を聞かせないほうが良いかなとも思っていて、あと、子どもの英語の発音がずれているときも訂正しない方が良いかなと思っている」
(たく)「あまり厳しくならず、流れで話すが好きになるように仕向けている感じかな。あと、子どもの自己肯定感を高めるという点でも訂正などはせず、(周囲を)見て学んでもらうようにしている」
(たく)「この点で面白いと思ったのは、いちが言っていたように『発音が周囲の環境に引っ張られる』という点。園が変わって友達も変わり、発音も変わっていった。やっぱり、子どもの音を把握する能力すごく高くて、訂正しなくても良いなと思った。あと、赤ちゃん言葉で話している家庭は、子どもも赤ちゃん言葉で話していて、普通の日本語を(家庭で)話している家庭の子供は大人っぽい話し方するなと感じている」
(いち)「家庭でどんな言語使っているか、ばれるね笑」
(しょう)「発音といえば、そうの日本語の発音がネイティブだよね。どうやって身に着けたの?」
(そう)「一番言語(日本語)が固まったのは中学生で来日したときで、日本人の友達から学んだかな。中学校の当時もまだ使えない発音があって、日本の大学に入ったときに、友達からの指摘があって改善していった感じかな」
(しょう)「そんな指摘したっけ?そうとたくとおれは大学のクラスが同じで大学時代の最初から知っているんだけど、最初から完璧だった気がしていたけど」
(そう)「母国語の影響で発音できないところがあって、良い友達が(発音の違いを)指摘してくれて、半年くらい、みんなの指摘を受けて改善してきた」
(いち)「(そうに初めて)会ったときは、完全に日本人と思っていた。大学で会った留学生とそうの日本語はレベルが違うじゃない。やっぱり高校や中学と大学って違うかなと、何となく思っていて。例えば大学で留学生と会うと、ちょっと日本語が変でもあまり気にならないけど、高校とかだと、『ネイティブレベルの日本語を話さないといけない』というプレッシャーとかあるのかな」
(そう)「中学校は1年くらいしかいなかったので、日本語が完璧とは思わなかった。日本語検定1級を頑張って取れたくらい。中学校のときのレベルは70%くらい。大学入った時でも80%くらい」
(いち)「じゃあ(大学に入ったときには)既に上手かったということね」
(そう)「中学校の時にもがきながら頑張った気がする」
(いち)「大学の頃だと、留学生に対して気を遣うということもあるかなと思って。(留学生が分かるような)簡易的な語彙を選んだり、話すスピードをゆっくりにするとか。通常の中学とかだと、遠慮せずネイティブと同じように話しかけてくるだろうから、それに慣れようというプレッシャーとかあるのかな」
(そう)「一人だけゆっくり話してくれる友達がいたかな。他はネイティブと同じように話してきて、そういうときは黙って分かった振りするみたいな」
(たく)「留学あるあるだね」
(しょう)「そんな経験を通じて外国語のシャワーを浴びていると次第に分かっていくみたいなこともあるよね」
(しょう)「今の議論の感じだと、小さい頃に海外で育てることについて言語面でのデメリットってない感じなのかな?」
(いち)「今は他の選択肢がないからそうしているけど、もともとは言語として一つの軸を持っておいた方が良いとは思っていたんだよね。でも、実際子育て始めてみると、子どもは複数言語を学ぶことにデメリットとかネガティブを感じていないというところかな。例えば、日本語と中国語を同時にやっていると英語を学ぶモチベーションも高くなっているような気がして。自分が大人になってからだと、英語のうえに中国語を学ぶんですか!とネガティブに向き合いそうなところも、子どもはポジティブに取り組んでいるように見える」
(しょう)「言語に対する興味とか、話せる言語を増やせば話せる人が増えるという感じ?」
(いち)「どう本人が思っているかは分からないけど、単純に言語というカテゴリーではなく、ひらがなを学ぼうとか、虫の名前を覚えようとか、そういうものと同じ対象として言語に向き合っているのかも」
(たく)「子どもが3歳ということもあって、思考力として深いところに達するという段階ではないから、(新しい言語の)音を拾ったり、色んな経験を楽しく積んでくれれば万々歳かな。一つだけ気を付けているのは、深い思考が発達する小学校以降の年齢になったときに軸となる言語があった方が良いかなと思って、海外で不足しがちな日本語での読み聞かせとか、ひらがなの学習とかを親がサポートしているくらいで、あとは自由に楽しくが良いかな。園とかもカルチャーが違ったりするので、子どもにフィットする教え方とかの園とかを選ぶのが大事かなと思って、赴任当初より気楽に構えてやっている」
(そう)「私は自分で二個の言語をもっているけど、(その影響で)自分が思考力が下がったのかは全く判断できなくて、成長期に母国語という主軸があったというのが良かったのかと思った。環境としてどっちも使っているという訳ではなく、主があったことで考える能力を養成することができたかなと思っている」
(しょう)「みんなの話を聞いて、子どもを海外で育てるということで、子どものケアを手厚くしようという親の意識も高くなるのかなと思った。そういう面も(子どもに)良い影響を与えているとも思ったな」
(たく)「親がいるから大丈夫だよ!というメッセージを子どもに伝えているのも大事だよね」
(しょう)「自分も子どもをアメリカの幼稚園に預けることになるけど、日本で幼稚園に預けるよりも気になるし、日本にいるときよりも日本語の読み聞かせをしようと思った」
(いち)「そうね。自分も日本で子育てしているときよりも、意識している気がする。買う時の絵本も言語どうしようか考えているし、できるだけ日本語に多く触れさせるにはどうするかとか、日本にいるときより意識しているかな」
(しょう)「ありがとう!私も子どもを(現地の幼稚園に)預けようと思います)
(たく)「じゃあ、これでこの質問ひとつクローズということで、ありがとうございました」
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