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0から始める学生団体


はじめに

新歓以外で団体に入る難しさ

2016年(白鳥,2回生),学生ロケット団体RiSAや草津天文研究会にちょうど入会しようとしていた頃,「2回生から団体に加入することの難しさ」を白鳥は感じていた.

「新入生しか団体に所属できない」というバイアスを打破し,すでに構築されたネットワークに新しく自分を位置付けるために,相応の動機とコミュニケーション能力が求められる.

学内団体に「横のつながり」を

学生の間にできた友人はかけがえのない存在になりうる.

白鳥は「学生を卒業したら友人を作る機会はそうないだろう」と考え,面白いことをしている友人を探す機会を模索していた.

ちなみにまだ学生を卒業することはできてない(2025年1月1日現在).

しかし,そのような学生主体のネットワークの場は存在せず,学生団体間の関係が少し閉鎖的だと感じていた.

学生団体の「横のつながり」を作るネットワークの場を提供することで,学生団体は情報交換になるし,白鳥は面白い友人を作れてwin-winだろうと考えた.

そこで,立命館大学が提供する「+R個人奨励奨学金(現,立命館大学challenge奨学金)」の募集を見つけて即申請.(このページの表紙の背景にインドの国旗がたなびくサングラスの男は白鳥である).

こうして,はじめて自分のアイデアを書面にまとめたり,プレゼンしたりする機会を得るだけなく,返還不要の奨学金を得ることができた.

その名をSOIL&SOUL

この活動名を「SOIL&SOUL(ソイルアンドソウル)」と白鳥は名付けた.

「魂(ソウル)が震えるくらい面白いことを生む土壌(ソイル)を」という少し痛い思いを込めたと記憶している.

当時白鳥が起草した「決起文?」には「学生団体間のまだ見ぬ化学反応のために,SOIL&SOULはハーバー・ボッシュ法における触媒のような役割を果たしたい」という趣旨の内容が書かれていた.

バカなりに難しい言葉を使おうとしている様子が窺える本文はこちら.

この書面が実験工房に流布され,悪い意味でH先生のおめがねにかなったというわけである.

学内異業種交流会

SOIL&SOULプロジェクトのアイデアは,いくつかの学生団体を1つの場所に呼んで交流してもらうことである.いわば「学内異業種交流会」である.

白鳥の独断と偏見で学生団体にコンタクトをとり,その代表者に活動内容や予定についてのプレゼンをお願いした.

学生主体の「学内異業種交流会」は新しい試みであったため,はじめは参加団体を集めるのに苦労した.

第一回SOIL&SOULの参加団体は,情報理工学部プロジェクト団体Ri-one音響工学研究会,そして白鳥が所属している学生ロケット団体RiSAであった.

2016年11月25日開催第一回SOIL&SOULの会場の様子.

実験工房にいた物理科の友人がたまたまVoice & Animation研究会に所属していて,フォトショップを使った広告デザインやイベント運営のノウハウを教えてくれたおかげで,大変助けられた.

音研のプレゼンの様子.スピーカー実演は思い出深い.

団体への参加交渉,ビラの作成や配置,会場設営,立命館大学放送局に司会進行や音響の依頼などをほとんど一人で行い,イベントを実施することの難しさを実感した.

参加者はほぼ団体関係者のみで決して多い人数ではなかったが,事後アンケートでの満足度の高さに確かな手応えを感じた.

はじめての人集め

2017年前半,白鳥は初の海外留学でインドとハワイに訪れていたため,準備が遅れてしまった.

春セメスターのテスト期間前となる2017年6月30日に第2回SOIL&SOULを実施した.

2017年6月30日開催第2回SOIL&SOULの食堂用ビラ.

1人イベント運営の難しさを痛感していたので,2回目以降は誰か手伝ってくれる人を見つけようとしていた.

片っ端から知人に話を持ちかけ,4人集めることができた.スタートアップの創業者みたいな気分でワクワクしたのを覚えている.

センター白鳥.

第2回は比較的スムーズに団体を集めることができ,これまで以上に多くの参加者を迎えることができた.

ロボ研のプレゼンの様子.ロボの実演は思い出深い.

当時の写真を見返してみると,2017年10月に日本初の学生SDGs(Sustainable Development Goals)啓蒙イベント「Sustainable Week」を組織した中心メンバーが参加していた様子がうかがえる.

SOIL&SOULがきっかけとなり,参加団体の交流の輪が広がっていったと言っても過言ではないかもしれない.

試行錯誤とSustainable Week

学生団体がSOIL&SOULに参加したいと思うモチベーションは「新歓以外で人を集めることができること」と「他の学生団体との意見交換できること」であると考えていた.

白鳥はそこに「先んじて高校生にリーチできること」を加えようと,第3回と第4回はオープンキャンパス中に連日開催することを決めた.

今回は合計8団体もの学生団体に参加してもらうことができ,オープンキャンパスで高校生に活動紹介をすることの需要を肌で感じた.

2017年8月5,6日開催のSOIL&SOULのビラ.
新演劇研究会劇団月光斜TeamBKCの発表の様子.

残念ながら,高校生の参加者数は思ったよりも少なかった.事前にオープンキャンパス運営側ともっとコンタクトを取っていればよかったと反省した.

生協コンビニの前という立地の良さと必死の当日広報むなしく.

夏期休暇に二度目となるインド留学を終えた白鳥は,続いて自身が副実行委員長であったSustainable Weekにて,第5回と第6回を実施することになった.

2017年10月5,6日開催のSOIL&SOULのビラ.
これまでで一番大きな会場「セントラルアーク」.

企画の趣旨は,Sustainable Week参加団体にSDGsになぞって企画したイベントをプレゼンしてもらうことであった.

白鳥は17もの参加団体の代表者と予定を合わせ,プレゼン資料の進捗確認,企画内容やプレゼン方法の相談に乗っていた.

副実行委員長としてもSOIL&SOULとしても参加団体のイベント内容のブラッシュアップに一番近い立場から寄り添うことができ,やりがいのある役割であった.

最後に,大学からの依頼で,立命館高校守山において理工学部プロジェクト団体と高校生を繋げる「高大連携」SOIL&SOULを実施した.

2017年11月11日に開催した高大連携SOIL&SOUL「サイエンスフェスタ」.

「SOIL&SOUL」は合計で7回開催することができ,29もの学生団体に登壇してもらうことができた.

白鳥が当初思い描いたように,多くの学生団体の代表者と知り合いになることができ,学内の多くの学生活動を知ることができた.

プレゼン指導とマネジメント

「色々な人と交流したい」という気持ちで始めたこのSOIL&SOULの活動において,プレゼンをお願いする立場からプレゼンのアドバイスをする立場になっていた.

同じ理工系の学生で,なかなか人前に出てプレゼンをする機会がないので,プレゼンを苦手とする気持ちは痛いほど理解していた.

そこで,TEDトークの本などを読み始めて,自分なりにまとめた小冊子を配布していた.

プレゼン練習に付き添ったり,フィードバックを加えたりすることは自分のプレゼンを振り返るとても良い機会になった.

さらに,SOIL&SOULが団体として大学から認められるために,活動実績と運営体制が必要であった.

活動実績は問題ないが,問題は運営体制であった.

なぜなら,ほとんど1人でやっていたので役職という役職を設けておらず,当初集まってくれたメンバーも「行けたら行く」状態で放置してしまっていたからである.

白鳥は学生団体におけるマネジメントの難しさに直面していた.

学内交流から地域交流へ

白鳥がやりたいことに人を巻き込むことできて,やりがいを感じていて楽しかった.

しかし,他のメンバーに自分が感じた楽しさをうまく共有できず,1人でほとんどのことをこなしていたことは前述の通りだ.

2017年末に学生団体のマネジメントについて考え,「運営する側もやりがいを見出すことができ,そしてSOIL&SOULの強みを生かせることは何か」と自問し,その答えが「ボードゲーム」であった.

加えて,ターゲットを学生団体から地域(草津市)に変えることで,この学生団体に関わっておくと就職活動で喋りやすくなるようインセンティブを工夫した.

運の良いことに,定期的に野良でボドゲをしていたグループがすでに存在し,そのリーダー格の学生と意気投合して,一気に10人規模の団体になった.

ボードゲームの魅力

故郷である静岡市に帰省するたびに友達が面白いボドゲを紹介してくれた.

白鳥の故郷つながりで「サウナを作るなら」という妄想記事も書いている.

遊んでいるうちに,ボドゲが持ついくつかの素晴らしい点により注目するようになった.

  1. ルールを知らない人に対してインストという名のプレゼン

  2. 対面コミュニケーションと毎回違うゲーム局面

  3. 運を考慮した戦略立案と遂行

  4. 洗練されたデザインと世界観

これらのボドゲの魅力とSOIL&SOULがこれまで力を入れてきた「プレゼン」をかけあわせ,地域交流に力を入れて,ボドゲ開発を目指すという活動方針を決定した.

ボドゲ地域交流会の誕生

2017年に関わったSustainable Weekのおかげで,南草津駅前の草津市民スペース(UDCBK)とのコネがあった.

「大学と地域を繋ぐ架け橋づくり」を目的としたボドゲ地域交流会を企画運営しようと決めた.

ルールをSOIL&SOULのメンバーがプレゼンし,草津市民と大学生が一緒にボドゲをするという企画である.

老若男女誰しもが熱くなれるボドゲの強みが思う存分に発揮され,京都新聞に取り上げていただいた.

多世代交流は考えてなかった笑
お子さん連れのご家族が多かった.住みたい町ランキング全国一位の草津市さすがである.

やさしい日本語ボドゲ交流会

立命館大学びわこ・くさつキャンパスがある草津市は「多文化共生」を早くから掲げ,外国人居住者のために「やさしい日本語講座」を提供している.

そこで,記号や数字を使うボードゲームとやさしい日本語を使用した「やさしい日本語ボドゲ交流会を2018年3月16日に実施した.

外国人留学生を交えた白鳥インストの様子.

こういった経験が留学先で友人らと楽しくボドゲすることを可能にしたと思う.

オリジナルボドゲの開発

当初の目標である「オリジナルボドゲの開発」はSustainable Week2018の企画の一環として始まった.

白鳥が作成したSDGsポーカーの役一覧表.

白鳥は「ポーカー」をベースにSDGs17の目標のカラフルなロゴを利用した「SDGsポーカー」を作ってみた.

さらに,一般学生を含めた公開ワークショップイベントも実施した.

2018年4月下旬に3キャンパスで開催したSDGsワークショップのビラ.
白鳥インストによるSDGsポーカー実施の様子.

他にもSOIL&SOULオリジナルボドゲが生み出され,草津市の橋川市長にも遊んでいただいた.

橋川草津市長にあそんでいただいている様子,

草津市役所にはSustainable Weekや草津野菜を使ったスムージープロジェクト(現在加筆修正中)で何度か訪れていたので,きっと顔は覚えていただいたと思う.

SOIL&SOULは,合計10回ものボドゲ地域交流会を開催し,大学の記事にも取り上げていただき,2018年3月13日に立命館大学学生部長表彰(団体)を受賞することができた.

この「ボードゲーム」を使った交流会は,オンライン海外大学院コミュニティを運営する際に再び役に立つことになる.

現在のSOIL&SOUL

人を巻き込みながら,自分の挑戦を形にする楽しさと辛さを体験した.

卒業してギャップイヤーで2019年6月いっぱいまで研究室に所属していたので,暇な時に学内でコーヒー飲みながらボドゲができるイベントを週一回行っていた.

白鳥が大学を去ると同時に,以下のポストを最後に団体の活動も完全休止になってしまった.

このアカウントのポストを遡ると,時系列でSOIL&SOULの活動内容を見ることができる.

おわりに

自分のアイデアで作った団体で,本当に様々なことに挑戦することができた.

自己満足を抜け出して,ステークホルダーを巻き込み,社会的なインパクトを少なからず創出できたと思う.

自分が大学生活を過ごした草津市の地域コミュニティに属していると感じられたことが何より嬉しかったし,受身ではなく,積極的に自分が属するコミュニティへ関わっていこうと思った.

最後に,この言葉を引用したい.

Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.

John・F・Kennedy大統領就任演説(1961年)

SOIL&SOULの活動でお世話になった多くの方々に感謝したい.

To be continued.

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