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朝起きて、今日は何しようと考える。


朝起きて、今日は何しようと考えた。

カレンダーを見直すと約5ヶ月半ぶりの何もない休み。だいたい休みでも何かしら舞い込んでくるので、今日は何もすまいと決めていた。ちょろっとした予定や連絡は入ってきたものの、余裕だったので全て左手でこなした。

今日は何しようと考えて、「広島 本屋」と調べる。
まだ行ったことがない本屋さんに行こう、と考えた。

Lounge B booksという本屋さんが出てきて、まだ行ったことがないのでそこへ行くことにした。

車の点検の連絡も2ヶ月無視していたので、
途中でマツダに立ち寄って点検まで済ませてしまうことにする。

心がゆったりしているので、不思議な光景もきちんと目に入ってくる。

ポスターが2枚だけ貼られたヨコナガ選挙看板の根元に、立ちションをしようとしているおじいさんを見かけた。
(しようとしている、なのか、している、なのか、判別がつかなかったが、おじいさんの名誉のために前者を用いる)

アナキストなのかもしれないし、おじいさんの立ちションルーティーンの場所にたまたま選挙看板が立ったのかもしれない。ルーティーンのことをルーチンと言いそうなタイプだなと思った。

そんなことを考えながら、ラジオから耳に飛び込んでくる「創造的誤読」という言葉がなぜか頭に残る。

ソウゾウテキゴドク。


本屋に着く。

「何が起こるかわからないから五年後が怖い。二十年後はもっと怖い。今がずっといい。でも今が信じられない。なのに、今しかない。」

と、書かれた本を発見した。本当にそうよね、と思った。

いい本見つけた、と手に取ったら「サイン入り」という付箋が貼ってある。
サイン本最後の一冊っぽい雰囲気。

「買っちゃっていいですかね?」という顔で店主を見たら、
「私は止めませんよ。」という顔でチラッと見てくる。

「これ、いいですかね?」と声に出して聞くと、
「堀さんも喜ぶと思います」と、なんかよくわからない返事が返ってきて面白かった。

亡くなった方なのかな、と思って店を出て検索したら1989年生まれの同い年だった。生きてる。学校の先生をしながら、エッセイなど書いている方らしい。
サイン本のほかにも2冊買った。

帰りにREADAN DEAT(別の本屋)にも寄って、もう3冊買った。


READAN DEATへ向かう途中、一心不乱に本を読みながら大きな橋を渡る小学生を見かける。全身紺色の制服に身を包み、紺色の帽子を被っている。眉間に皺。おそらく3年生くらいかな。

「さすが私立の小学生、橋の上でも本を読むのか」と感心したが、私立かどうかは分からない。想像的誤読。

後から橋の名前を調べたら、祇園大橋という橋だった。大袈裟な名前。
将来は川の横に立つ家に住みたい、とずっと思っている。


大学生から、LINEで写真が届く。
10月頭に1週間を島で過ごした大学生。「帰りたくない」と言っていた。

島を出発するフェリーから、見送る我々を撮った写真だった。

我々側の人間が、ほぼ誰も見送ってなくて笑えた。
雨が降っていたということもあり、覇気がない。


島に橋がかかっていたら、どこで見送るんだろう。
自分が島を出る時も、覇気がない感じで見送ってほしいな、と思った。

5年後は何をしているのか。怖さを感じているということは、今がいいと思っているということか。5年前に島へ行こうと決めた時は怖くなかったし、”今がいい”とも思っていなかった。


今夜は、堀静香さんのサイン入り「せいいっぱいの悪口」を読もう。

明日は、カフェで働く。暦の上では(Googleカレンダーでは)「おやすみ」になっているが、カフェを開けてコーヒーを淹れる。

誰に頼まれた訳でもないのに、カフェでコーヒーを淹れてそれを働くことだと認識している自分は人生誤読しているのだろうか。でも、そんな明日も別に嫌じゃない。



(後日談:2日後)

その時にどんな本を買ったかで、
その時の自分がどういうことを考えていたのかが、わかるとおもう。

「その日にその本を買った訳」というZINEをいつか作りたい。
いつ、どの本屋さんで、どんな本を買ったか。
その時の自分は何を考えていて、そのあとどうなったか。

ちょっと時間を置いて振り返ってみるのがいいと思う。


今回買った一冊の中に、見つけた言葉。
「私たちはもう一度、都市の中で肯定的にものをつくることができるだろうか。」


また、別の本の中で。
「会話の場がもつ、地価に表れにくい価値を従来と異なる基準で評価できれば、都市で暮らす魅力は人間の手元に戻るのではないか。」


東京に戻る?

いつになるかは分からないけれど、
少しずつそんな考えが自分の中に居座り始めているのかもしれない。


朝起きて、今日何しようか考える。

どこに住んでも、何歳になっても、
そうやって始める1日が、ちょっといい日になる人生を暮らしていたい。


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