
【かつらのお話:コテ当て櫛入れ】
鬢裏に簑も付け、前回部品付けは全て終わりました。
こんにちは。京都時代劇かつらです。
今回は部品付けの終わったかつらに、コテ当て櫛入れをしていきます。
馬櫛という、とても歯の粗い櫛で全体に櫛入れして電気コテを当てて人毛の癖をとります。
コテを当て櫛入れすると毛流れが整い、とても綺麗な艶がでてきます。

今は電気コテを使っていますが、以前は平コテを電熱器で直に熱して使っていました。
とても高温になるコテは、温度の加減を見誤ると大惨事となります。人毛が焦げなくなってしまうのです。


また、電熱器で熱するので室内も暑くなります。
冬場は大丈夫なのですが、夏場は室内が灼熱となってしまいます。エアコン設定を一番低くして風量を最強にしてもなかなか適正温度になりません。
なかなか大変な作業でしたが、電熱器が世に出回る前は火鉢に炭をおこしてコテを温めていたそうです。
朝一の掃除と炭おこしが丁稚の初めの仕事だったと親方に聞いた事があります。
炭、電熱器、電気コテと、どんどん設備も進化してきました。
快適に仕事が出来る環境を整えることも、とても大切なのだなとコテ当てをしながら思っています。



さて、コテ当てをして人毛の癖を取って櫛入れし、シゴキで纏めたらかつら師の仕事は完成です。このあと床山さんにお渡しして結い上げて貰います。
今回のシリーズはどんな形のかつらで完成になるのでしょうか。
次回もどうぞお楽しみに。
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