ざっくりと言うと、認知症フレンドリーテックをするなら、お客さまの話を聞こうよというお話
こんにちは、ふくだと申します。
誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中を目指して、KAERU株式会社という会社を運営しています。
弊社は、認知機能の低下に不安がある方でも安心してお買いものを楽しみ続けられるお買いもの支援のサービスを提供しております。
認知症フレンドリーなテックを目指してサービス開発を頑張っておりますが、いざ開発する中で難しかったなと思ったことや、気をつけていることについて書いてみたいと思っています。
■認知症フレンドリーテックの難しさ
自分自身がターゲットではない(ことが多い)
プロダクトを作っている自分たち自身は認知症ではないことが多い
自分がターゲットであれば何を作ればよいのかが直感的にわかる。しかし、そうではないため課題の特定やソリューションづくりには一定のハードルあり
若い世代では当たり前のインターフェースはそのまま通用しない(事が多い)
認知症の大きなリスク因子は加齢。なので、認知症のある方は想定的に高齢の方が多い
一定のデジタルディバイドや認知機能低下による文字入力のニガテなど、インターフェースにも工夫が必要になることも多い
我々だとアプリ内で歯車のマークがあったら「設定系のメニュー」だなとなんとなくわかるが、Webサービス慣れしていない方にとっては、そんな当たり前は当たり前ではなかったりする
■認知症フレンドリーテックに取り組むにあたって大事なこと
サービスを使う「本人」の話を聞こう、実際の現場を見よう
認知症関連のサービスを作ろうとすると、なぜかみんな医師などの専門家に話を聞きに行きたがる
しかし、そのサービスを使うのが認知症の人・高齢者の人なのであれば、その方々に話を聞くのが鉄則
作り手自身がサービスのターゲットではないので、なおさらお客さまに対する理解をめちゃくちゃ深める必要がある
その人がどういう生活をしていて、どういうサービスを使っていて、家族とどういう話をしていて、など、解像度高くお客さまのことを理解したい
専門家の話を聞くのがNGというわけではなく、専門家の話よりもまずはサービスを利用する本人の話を聞くのが大事
ただし、困っていることを聞かれても案外本人は気づいていないことも多い。普段からやっている行動を傍から見て、「なんでそんな面倒なことを・・・?」みたいなところに面白い種がありがち
主語を小さくしよう
高齢者の人とひと括りにするのはかなり大雑把すぎる。日本の人口の30%をひと括りにするのは、血液型がO型の人を一緒くたにするのと同じ粒感の話。
高齢者の人。認知症の人。その中でも症状の重さ・軽さもあれば、一人暮らしか否かといった周辺の環境も様々。
いろんな方のお話を聞いた上で、無理に全員に当てはまる共通項をとるのではなく、主語を小さくしてすごく困っている人のことを助けるサービスを考えたほうがうまくいきやすい
ぶつけよう
良かれと思って作ったものも、それがわかりやすいかどうか、それが受け入れられるかどうかはぶつけてみてフィードバックをもらわないとわからない
KAERUの実際の事例として、優しい色使いをしようと思って淡い色使いでアプリを作ったところ、色のコントラストを識別してもらえずまったく文字が読み取ってもらえなかった
■認知症のある方にお話を聞く上で気をつけていること
認知症に関する基本的な知識はつけておこう
認知機能の低下によってニガテなことや難しく感じることなども発生します。認知症について基本的な知識は持っておいたほうがよいです。
個人的には、「認知症世界の歩き方」という本や、当事者の方が書かれた本が勉強になりました。
遠慮はいらないけど、配慮はする
良いものを作ろうとサービス開発やインタビューをしているので必要以上に遠慮したりするのはもったいないです。
でも、配慮は必要です(これは認知症のある方だからとか関係なく、どなたに対しても必要ですよね)。お伺いする方にとって話しやすい環境づくりだったり、必要に応じてゆっくりしゃべったり、短い文章をつかったりなど。
周りの方ではなく、できるだけご本人にもご意見を求める
ご家族や支援者の方同伴でお話を聞く機会も多いかと思います。あるあるなのが、ご本人が同席しているにも関わらず、家族や支援者の方にばっかり質問したり意見を聞いてしまったりということがあります。
また、ご家族の方も良かれと思ってご本人の代わりに答えてしまったりします。ゆったりとした間をもうけて、ご本人の方のお話も積極的にお伺いするのが大事だと思います
■少しだけKAERUのご紹介も・・・
日本は継続的に高齢化が進み、認知機能の低下が起きたとしても幸せに、自分らしく生活できるような社会インフラの整備は重要性を増しています。
日本のFintech・キャッシュレスは拡がりを見せ、今後は全体向けサービスではなく、特定の領域・特定のお困りごとを持った方に向けたサービスが増えてくると思っています。
KAERU株式会社は「誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする」ことを目指し、高齢化×Fintechの領域にチャレンジしています。
一緒にサービスを成長させていってくださる方いらっしゃいましたら、ぜひ!