知る人ぞ知る名物
今週は老師のお供で山口に行きました。
特に何か用があったわけでもなく(多分)
唐突に老師から「山口に行きたい」と言われ
師弟二人での小旅行となりました。
羽田空港から宇部山口空港へ
そこからレンタカーで萩へ。
朝、羽田空港で、
「お昼はどうしますか?」と聞くと、
「あれが食べたい」と言われました。
「あれって何ですか?」と聞き返すと、
「昔、山口で食べたんだが名前は忘れた」
と言われました。
「ふぐですか?」と聞きましたが、
「違う、そんな有名なものじゃない」
と言われ•••
それからです。
老師の「あれ」が気になりだしたのは。
何だろう?
飛行機の中でずっと考えていました。
山口で食べたもの
有名でないもの
知る人ぞ知る的な名物?
何だろう?
飛行機を降りて、車で萩に向かいました。
萩にはちょうどお昼頃に着く予定です。
何だろう?
ずっとこれが気になっていましたが
何のヒントもなく、何も思いつきません。
何だろう?
何だろう?
運転しながら、ずっと考えているうちに
とうとう萩に着いてしまいました。
仕方なく、
「何を食べますか?」と改めて確認し、
「何でもいいよ」と言われましたので、
道沿いにあったレストランに入り
二人とも瓦そばを食べました。
それから萩城址、武家屋敷、萩焼の窯元
萩博物館、明倫館を回って帰路に着きました。
老師は若い頃、しばらく萩に住んでいたそうで
懐かしそうに楽しんでおられました。
自分は老師が食べたかった、
「知る人ぞ知る名物のあれ」
がずっと気になっていました。
羽田空港に着いて、
「今日はせっかく萩に行ったのに
食べたかったものを食べてもらえず
すいませんでした」
弟子として、一応、謝りました。
すると老師が、
「昼に食べただろ」
と言われました。
瓦そば?
それならそうとなんで言わないの?
そもそもかなり有名な名物だし•••
そんなことを思いながら、
何ともいえない脱力感に襲われました。
老師と別れての帰り道。
竹密不妨流水過
(竹密にして流水の過ぐるを妨げず)
山高豈碍白雲飛
(山高うして豈に白雲の飛を礙えんや)
そんな言葉を思い出しました。
密集した竹も水の流れは止められませんし
高い山も雲の流れを止めることはできません。
水も雲もさらさらと流れていきます。
拘り囚われのない生き方。
そんなことを教えてくれる言葉です。
雲水(お坊さん)も、拘りや囚われを捨てて
さらさらと流れるように生きていかなければ
いけないんでしょうが•••
老師と自分のさらさら度の違い
そんなことを実感させられた一日でした。
宗慧