おすそ分けは、ひと口だけでいいいよ。
あったかいコーヒーとチョコチップクッキーが
最近のおやつの定番になっています。
前職では、職場におやつを常備していました。
長時間勤務だったので、ランチから晩ご飯まで時間が長く、間食しないと途中で血糖値が低くなりエネルギー切れになります。
チョコレート、クッキー、ナッツ、お煎餅が定番でした。
私の心と体の大切なエネルギー源
だったことを思い出します。
私のデスク両隣と前に座るメンバーには、よくおやつのおすそ分けをしたり、交換し合ったりと束の間の癒し時間を過ごしたものです。
おやつは、職場のコミュニケーションのツールとしても最高でした。
◇ ◇ ◇
自分の全てを分け与えようとする後輩
昔、私の所属していた部署に、他部署から若手新人が配属されました。私が教育担当になりました。彼女は自分のこと以上に、常に周りに気を遣いながら仕事をどんどん進めるタイプでした。
頼りにもなりましたが、薄いガラスのような弱さも同時に感じていました。
繁忙期もあってか、彼女は自分の持っている全てのエネルギーを、周りのメンバーの分まで出し切ってしまうのがクセでした。退勤する頃にはいつもヘロヘロ状態でした。
異動してから1ヶ月が過ぎ、ノンストップで頑張る彼女が日に日に元気がなくなり、遅刻するようになりました。
様子が心配になり、ひと息つくためのチョコレートを彼女におすそ分けして、個別で話をしてみました。
「そこまで頑張らなくて大丈夫。異動してきたばっかりなんだから、ゆっくりでいいよ」と、掛けた言葉に対して彼女は、
「私、なんの役にも立っていないです」
と、焦燥感で胸がいっぱいの顔はずっと晴れないままでした。
彼女は自分自身に対しての無価値感を根強く持っていました。私も未だに完全に拭えていません。
「人の役に立ちたい」は、とても美しい信念です。
ですが、その裏側には、
「自分には愛される価値がない」が潜んでいます。
自分には価値がないと思うから(これは大きな勘違いなのですが)、自分の多くのエネルギーを他者に分け与えることで、それを価値にしようとする。
自分には元から価値があることに気づいてあげて、まず先に自分自身が満たされないといけない。それをいつも後回しにしてしまう。
自分が満たされた後に、溢れた分(= おすそ分け)を、他者に与えていっても遅くはありません。
成長して器が大きくなっていけば、おすそ分けの分量は増えていきます。
だから、そんなに焦らなくていいのです。
最初は、自分のエネルギーのおすそ分けは、
”ひと口” だっていいわけです。
そのひと口でさえ、ひねり出せない日もある・・・
それ以上を要求する他者は、あなたから奪うことしか考えていないかもしれません。
◇ ◇ ◇
あれから、彼女は少しずつ自分と他者の境界線を上手に引けるようになりました。ほどよく手の抜き方も覚え、余裕と笑顔が増えました。
でも残念ながら、新たなキャリアステップのため他へ転職しました。きっと今ごろ、経験を積んだ分、おすそ分けの総量は増えていることでしょう。
◇ ◇ ◇
まず自分を満たすこと。
まだ、全然足りてないのに、ムリしてまで他者に分け与えなくてもいい。長い目でみて、自分も相手もハッピーエンドにはならないから。
おすそ分けは、”ひと口”から。
この程度の目標がちょうどいいと思うのです。
これは、決してケチでもワガママではありませんよ(笑)。そう思う人こそ、まだ自分を満たし切れていませんから。
だから、まずは各々が満たされることが、
最優先な仕事なのです。
今だに叶わない世界平和や平安は、
満たされた者同士の中でしか生まれないものだから。