短距離走で使われるエネルギーとそれに効果的なトレーニング
運動強度・運動時間・エネルギー代謝
短距離走は無酸素運動と思われがちだが、100mでも20%程度が有酸素性エネルギーで賄われている[1]。
400mでは、後半局面になるほど有酸素性エネルギー比率が高くなる[1]。
スピードが速いほど無酸素運動なのではない。
運動強度60%の時と100%の時では、有酸素性エネルギー比率は約20%と大きな違いはみられなかったのだ[1]。
有酸素性エネルギーの比率を高める要因は運動時間である。
運動強度100%の時では、60秒間運動行うと有酸素性エネルギー比率は40%近くまで高まっている[1]。
前述した有酸素性エネルギーが20%台の時は、20秒以下の運動時間であった。
有酸素性能力と無酸素性能力をともに高めるトレーニング
有名なのはタバタプロトコルであると思う。
他にも間欠的スプリントが挙げられる。
全力かそれに近い強度の短時間運動(60秒以内)を複数回行うものである。
以下に挙げる方法でトレーニングを行った際、タバタプロトコルより有効な結果が得られたという。
もう一つはレペティショントレーニングである。
全力かそれに近い強度での短時間運動を、比較的長い休息時間で複数回行うものである。
このトレーニングを行った際の、有酸素性エネルギーと無酸素性エネルギーの回復に適切な休息時間が研究されている。
この実験では30秒の全力運動を4種類の休息時間(4分・10分・15分・20分)を挟んで2回行った。
すると有酸素性エネルギーに関しては、どの休息時間においても回復具合に差は見られなかった[1]。
一方無酸素性エネルギーの回復に関しては、20分の休息時間をとった時が最も回復したとしている[1]。
まとめ
・タバタプロトコルのような短い休息時間だと、無酸素性エネルギーに対しMAXまで負荷を与えられない可能性がある。
・1回目の後に、もう一度有酸素・無酸素性エネルギーをMAXまで発揮させたい場合の休息時間は、20分が妥当だといえる。
引用文献
[1]著:白木駿佑 Athletics Science Report 第1回「短距離走のエネルギー代謝とトレーニング」