ふぁんたじー
『うーん、うー、あーうー。』
あれあれ、ここに何やらとっても悩んでいる女の子がいるよ。どうしたのかな?
『あー、もう、これじゃない、あっ!そうか、コレね!!あたしって、天才じゃん!』
あらま、何かひらめいたみたい。
よかったねー。
むか〜しむかし、キミたちの知らない世界のお話し。絵本が飛び出す、不思議な世界のお話し。
ノーエ『よし、コレね!!コレをこうして、そう、そう、上手くいったわ。』
この子は、魔女。しかもただの魔女では、あーりません♪なんと、魔法の作家さん。
ノーエ『ねー!チーホちゃん、できたよ!でーきた!さ、絵を描いてちょうだいな!』
チーホ『わー✨できた、できた、よーしわたしの番だね。』
この子も、魔女、そしてそして、魔法の絵描き屋さん。
そうなの、この二人は魔女の姉妹。そして、大きな深い深い森の奥にある、小さな小さな絵本屋さんなの。あら、何やら面白い看板があるよ!
【魔法の絵本いかがですか、魔女のつくる不思議な不思議な飛び出す、魔法の絵本、絵本屋『ふぁんたじー』(飛び出した後の事は、責任持てません、
(*ノω・*)テヘペロ)】
だってさ!(笑)
チリンチリン、
と、そこへ、久しぶりのお客様がいらっしゃいましたよー。女の人ですねー。
『こ、こんばんは。』
そうなの!魔法の絵本屋さん【ふぁんたじー】は、夜にしか開かないのでした。
ノーエ『あー、ちょうどよかったねー、もうすぐできるよー。今ね、チーホが最後のページの魔法絵描きをしてるとこよ、ちょっと待っててね。』
『ありがとうございます。ほんとにほんとに、ありがとう。』
と、涙を流しました。この女の人はいったいだれなんでしょうね?
ノーエ『ちょっと、ナレーションさん、ちゃんと説明してあげてよね!』
あ、はい。わかりました、わかりました(*ノω・*)テヘ
さかのぼること、一週間前。
ノーエ『ちょっと、チーホ、ここのページの絵まだできないの?』
チーホ『うーん、お腹すいて、できないから、ノーエちゃん、何か美味しもの作ってよ。』
ノーエ『え、さっきクッキー作ってあげたじゃない。』
チーホ『たりるわけないやんけ!』
ノーエ『なぜいきなり関西弁?って、まさか、わたしのも全部食べちゃったの??』
チーホ『もっと、おくれよ、もっとおくれよ。』
ノーエ『チーホ!!!ええかげんにせいよ!!!』
チーホ『わーい、ノーエも関西弁(笑)怒った怒ったー、ノーエが怒ったー(笑)(笑)にげろ〜。』
ノーエ『まて〜!!!』
と、そこへ、
チリンチリン、
チーホ『わーわ、わー!』
ドスンと、ドアを開け入ってきたお客様とぶつかってしまいました。
チーホ『いてて、あ、ごめんなさい!』
ノーエ『ちょ、大丈夫?』
お客『あ、大丈夫です。』
チーホ『い、いらっしゃいませー、ようこそ絵本屋ふぁんたじーへ!あなたは、記念すべき10年ぶりのお客様だよー✨』
ノーエ『こら、10年ぶりは、よけいよ!』
お客『あ、あのここに、魔女の創る魔法の絵本があると聞きました。』
チーホ『うん、あるよ!ただし、完全オーダーメイドだよん♪』
ノーエ『そう、先ずはあなたの事を、聞かせてほしいの。』
お客『は、はい。わたしの名前は、リリーと言います。』
チーホ『リリーは、どうしてここへ来たの?』
リリー『はい、わたしには、幼い最愛のむすこがいます。ちょうどあなた達くらいの。実は三年前に、夫が出ていき、今はむすこの、キーラと二人でくらしております。』
ノーエ『じゃー、そのキーラへのプレゼントなのかな?でも、何か大変な理由があるみたい。』
チーホ『うん。そうだね、さあ、もっとはなして。』
リリー『実は、キーラは、治らない病をかかえ、春を迎える頃には、天国へと行ってしまうのです。キーラは、どこから聞いたのか、魔法の絵本屋さんの事を知り、絵本がほしいと、そして、最後に、私に絵本を読んでほしいのと、、、』
と、リリーは、泣きながら言いました。
ノーエとチーホは、顔を、見合わせて、
ノーエ、チーホ『かしこまりました、あなたのもとに、絵本を届けましょう、キラキラふぁんたじー✨』
と、言いました。
リリー『ありがとうございます。キーラは、恐竜が大好きで、なかでも、ステゴザウルスが好きで、恐竜の世界のお話しを創ってほしいのです。』
ノーエ『ふむ、ふむ、恐竜ね!』
チーホ『ステゴザウルスね!カッワイ〜。』
リリー『どうか、よろしくお願いします。』
ノーエ『はーい、一週間後、また来てちょ〜だい。』
リリー『あ、あのお代金は?』
チーホ『あとから、もらいまーす!それでは
一週間後にまた来てちょ。』
と、いうわけで一週間がたったのでした。
そして、
チーホ『でーけたっ!』
ノーエ『ようし、最後に、チーホ、あれやるよ!』
チーホ『はいさー!』
と、二人は、手をつなぎ絵本に向かい、こう言いました。
ノーエ、チーホ『キラキラ、ワクワク、ドキドキふぁんたじー✨』
すると、絵本が不思議な光を発しました。
リリー『綺麗であたたかな光ね。』
チーホ『いっちょあがり!』
リリー『ありがとうございます、あの、お代金はいくらですか?』
ノーエ『そんな事はいいからね、早くキーラくんのもとへ行って絵本を読んであげて。』
と、チーホが言うと、りりーは、突然、泣きくずれました。
チーホ『えっ、どうしたの?どうしたの?』
リリー『キーラは、昨晩、急に調子をくずし、そのまま、、、目覚めなくなりました。お医者様のお話では、あと一日で、天国に。』
ノーエ『まさか。そんな、』
リリー『わたし、それでも、絵本を読んであげることで奇跡が起こるならと、目覚めてほしいと。』
チーホ『ノーエちゃん!』
ノーエ『うん!チーホちゃん!行くよ!』
そう言って、二人が、何やら怪しげな呪文を唱えると、なんと、キラキラ輝く馬車が出てきました!
リリー『えっ!』
チーホ『やべー、家の中に出しちゃった。』
ノーエ『もう!また失敗。とにかくリリーさん馬車に乗って!』
三人は、馬車に乗り込み、
ノーエ、チーホ『発進!!!』
と、キラキラ輝く馬車は、ドアをぶち破り、な、なんと、お空へ飛んでいきましたー!
リリー『空飛ぶ馬車!?』
三人を乗せた馬車は、キラキラお星さまのそばをかけて、キーラくんのいるおうちにつきました。
部屋に入ると、キーラくんは、ベッドの上で目を閉じたままでした。部屋は、とてもとてもしーんとして、静かでした。
ノーエは、優しく言いました。
ノーエ『さぁ、読んであげて。』
チーホ『二人の時を、キラキラ輝く二人の時を。』
そう言って、二人は、馬車へと戻りました。
リリー『ノーエちゃん、チーホちゃん、ありがとう。ありがとう。』
リリーは、絵本をめくりました、すると、絵本は、輝き、中から次々と、恐竜達が飛び出してきました!
リリーは、1ページ1ページを大切に大切に読み聞かせました。その度に、絵本から飛び出した恐竜達が、キーラくんの周りを、ドスドスと歩き回って消え、また出てきて、沢山の恐竜達が飛び出しました。そして、キーラくんの大好きな、ステゴザウルスか出てきた時、なんと、キーラくんの目が開いたのです!
リリー『キーラ!』
キーラ『母さん、ステゴザウルス、可愛いね。』
リリー『うん、うん、キーラ、沢山読んであげるからね、だから、いなくならいで。』
キーラ『母さん、ありがとう。ぼくの夢を叶えてくれて、ぼくと一緒にいてくれて。ぼくは、きっとまた、母さんと一緒になるんだ。だから、またね。』
そう言って、キーラは、静かに目を閉じました。それと、同時にステゴザウルスや、他の恐竜達が消えてしまいました。
リリー『キーラ、キーラ?』
キーラは、もう返事をする事も、動く事も、できません。天国へと、旅立ったのです。
リリーは、キーラへ覆いかぶさり、沢山沢山沢山、泣きました。どれくらい泣いたでしょう、そして、リリーはキーラの顔を見ました。
キーラは、とても楽しそうで、とても幸せそうな顔をしていました。
リリー『キーラ、また会いましょうね。また、絵本を読んであげるね。ありがとう。世界一、可愛い可愛い、愛しの子。』
そして、ひと月後、
ノーエ『あー!!!』
チーホ『なに!?何が、あっの?』
ノーエ『わたしの、大事にしていた、プリンがない!?』
チーホ『あ、プリン美味しかったよ。』
ノーエ『あーーー!もう、許さない、アリになる魔法を、かけてやる!』
チーホ『べーーーだ!』
ノーエ『まてー』
すると、チリンチリン!
と、ドアがあき、そこには、
ノーエ、チーホ『リリーさん!』
リリー『お久しぶりです。』
ノーエ『ね、来たでしょ?』
チーホ『うん、ほんとだね。』
リリー『え、あ、あの、わたしをここで働かせてください。』
ノーエ『もちろん!』
チーホ『ちょうど、お手伝いさん探してたの!』
リリー『ありがとうございます。あれから、あなた達には、沢山の感謝をしています。キーラが幸せそうに天国へ行けたのは、魔法の絵本のおかげ、わたしは、とても救われた。だから、もっと沢山の人にも、読んでもらいたい。』
チーホ『リリーさんいてくれたらとても心強いな。』
ノーエ『うん、合格だよ!』
リリー『ありがとうございます!!』
あらま、新メンバー登場ですね!
そして、
チリンチリン
バタンと、らんぼうな音立て、ドアが開きました。
男『ここか!魔法の絵本があるって、店は?』
と、何やら怪しげな大男が、
あ!もうこんな時間だ、このお話の続きは、またいつか。
おーしまい