【年間ベスト】「活弁シネマ倶楽部」スタッフが選ぶ2019年映画ベスト10
2019年も日本映画と外国映画に分けて、それぞれのベスト10を選出した。
昨年同様、その区分自体が映画を巡る様々な諸問題をある枠組みの中で押し込めてしまう危惧があることも承知で、今年も踏襲している。
一点目は、ベスト10という価値付けをすることに意味を感じる作品が増えたこと。誰かのベスト10になることによって、その作品へのアクセスが増えるのであれば、それも良い。
とりわけ、映画館での公開本数だけでなく、配信も増える中で"見当たらなかった"というだけで見過ごされてしまう作品を少しでも減らしたい。
二点目は、外国映画の日本における公開が総じて遅いことによる。2019年を代表する『パラサイト 半地下の家族』が2020年に公開されることが象徴するように(同作は年内の先行上映が決まったとは言え)、映画の世界的なうねりから取り残されている。
映画は"今、ここ"の社会と密接に絡み合うものなのだから、製作年=公開年の日本映画と製作年≠公開年の外国映画を横軸で同じランキングに組み込むことに違和感を覚えてしまう。
そんなこじつけのような理由もあって日本映画と外国映画、それぞれのベスト10を選出した。
2019年に観ることができなかった映画の多さに絶望したくもなるが、"まだ知らない"状態がいかに貴重であるかを希望にして、2020年に向かいたい。
選者:菊地陽介
日本映画
1.『ホットギミック ガールミーツボーイ』 山戸結希
2.『海獣の子供』渡辺歩
3.『タロウのバカ』大森立嗣
4.『追い風』安楽涼
5.『i 新聞記者ドキュメント』森達也
6.『ウィーアーリトルゾンビーズ』長久允
7.『ひかりの歌』杉田協士
8.『殺さない彼と死なない彼女』小林啓一
9.『小さな恋のうた』橋本光二郎
10.『チワワちゃん』二宮健
外国映画
1.『バーニング 劇場版』イ・チャンドン
2.『ラスト・クリスマス』ポール・フェイグ
3..『スパイダーマン スパイダーバース』ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
4.『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック
5.『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ
6.『サスペリア』ルカ・グァダニーノ
7.『家族を想うとき』ケン・ローチ
8.『ゴーストランドの惨劇』パスカル・ロジェ
9.『アメリカン・アニマルズ』バート・レイトン
10.『さらば愛しきアウトロー』デヴィッド・ロウリー
選者:徐昊辰
日本映画
1.『男はつらいよ お帰り 寅さん』山田洋次
2.『ウィーアーリトルゾンビーズ』長久允
3.『岬の兄妹』片山慎三
4.『宮本から君へ』真利子哲也
5.『i 新聞記者ドキュメント』森達也
6.『海獣の子供』渡辺歩
7.『蜜蜂と遠雷』石川慶
8.『火口のふたり』荒井晴彦
9.『タロウのバカ』大森立嗣
10.『よこがお』深田晃司
外国映画
1.『レ・ミゼラブル』ラジ・リ
2.『アイリッシュマン』マーティン・スコセッシ
3.『Pain & Glory』ペドロ・アルモドバル
4.『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ
5.『シノニムズ』ナダブ・ラピド
6.『The Traitor』マルコ・ベロッキオ
7.『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック
8.『ハチドリ』 キム・ボラ
9.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クエンティン・タランティーノ
10.『主戦場』ミキ・デザキ