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〈勝好ぶるぅ〉が生まれるまで|オリジナルカラーはこのように作られました

印象的なトルコブルーのカップ!
みなさまはどんなことを連想されますか?

大岡独特のこのトルコブルー!スタッフの間では〈勝好ぶるぅ〉と呼んでいます。

今年の個展会場はターコイズブルーがいっぱい!会場に爽やかなそよ風が吹いているような雰囲気でした。

私も大好きなターコイズブルー!
しかし、はたと疑問が・・・「陶器の色ってどうやって着けるの!?」

知識ゼロの私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいです。
???????
先生、教えてください!

陶器の色は釉薬ゆうやくで着けます。
釉薬の主成分は灰と粘土で、高温で焼くと釉薬が溶けてガラス状になり、器がガラスコーティングされます。漏れ防止と装飾になります。
この基本の釉薬に様々な鉄分(酸化鉄、酸化銅、酸化チタンなど)を入れて高温で燃焼することで発色します。

「釉薬」という言葉は聞いたことがありましたが、「成分が何か」は全く想像できませんでした。

「釉薬」は例えば絵の具やペンキのように色別に販売されているものなのでしょうか?

釉薬は市販されているものもあります。
市販品は基本的に必要な成分がすべて含まれていて、使いやすいように調整されていますから便利です。

陶芸材料屋さんで販売している釉薬だけ使っている作家さんもたくさんいますが、僕はオリジナリティにこだわりたいので、自分で作っている釉薬の方が多いです。このトルコブルーも自分で試行錯誤の上作り上げた色なんですよ。

「独自の釉薬を作る!?」聞いただけで大変そうですが、実際はどのように作るのでしょうか?

まず作る釉薬を決めてその材料を細かく計測します。

袋の中には(小麦粉や片栗粉のような)粉状の材料が入っています

全ての材料をポットミルに移して、
全体量の約80%のお水を加えて、
機械で攪拌します。

これがポットミルです。

ポットミル

材料を入れてミル玉(セラミックボール)を入れて、
更にお水を加えて約30分~1時間機械を回して、
60~80メッシュのふるいを通せば出来上がります。
篩を通すのは、小石などを取り除くのと、液体になった粒子を均等にするためです。

ミル玉(セラミックボール)

思い描いた色や質感にたどり着くには、膨大な時間と労力がかかりそうです。根気がないとできませんね。

ところで先生、私たちが〈勝好ぶるぅ〉と呼んでいるトルコブルーを作ろうと思われたきっかけは何かあるのでしょうか?

毎年7月に個展をやっているので、7月にふさわしい、印象深い色を探していました。その過程で、「夏の海」「夏の空」の色の水色はどうだろう、と考えて、オリジナルのトルコブルーゆうを作ることにしたんです。

ああ!確かに!!そう言われてみれば、冒頭のカップ!夏の海ではありませんか!

夏の海の風景が!

手前に砂浜があって、海があって、遠くに水平線。その上には果てしなく広がる空が!夏の海の風景にしか見えません。

そういえば、大岡は元サーファーと聞いたことがあります。サーフィンをしながら見た景色が脳裏に焼きついていて、それが〈勝好ぶるぅ〉が生み出される遠因になったのかもしれませんね。

では、ここからはしばらく様々な〈勝好ぶるぅ〉をお楽しみいただきたいと思います。

いかがでしょうか?みなさまはどんな印象を受けられましたか?

最後に、使用例を一つ。

写真提供:魚之七寶

お皿自体が印象的なブルーでありながら、上に乗せたお料理の色も引き立てていますね。色鮮やかに見えます。私たちは青空をバックに景色を眺め「美しいなあ」と思うことが多いので、ブルーの背景は「美しいもの」と記憶されているのかもしれません。

11月に開催された益子陶器市では「この色に一目惚れしました!」とおっしゃっていた女性、「この色がいいの!」と強く主張していた女の子などを目撃しました。ファンが多い色ですので、機会を改めまして、今回掲載しきれなかった作品や新作をnoteでご紹介していければと思います。

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