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感情を言葉にしてみる

金曜午後、今週の仕事の最後の締めで失態をしてしまいました。同僚のダイアン(仮名)と意見が合わず、感情的になってしまい、最後は捨て台詞で終わり。。。何とも後味の悪い週の締めくくりになってしまったのでした。
ただ、同時に同僚のブラッド(仮名)は、僕とは対照的な感情コントロールをしていることに気づくいい機会となったのです。

過去を振り返る

僕は内向的な性格で、普段は愛想笑いを振りまき、周りにも温和な人間だと思われていると思っていますが、僕をよく知る人達からは、実は勝ち気で感情的になりやすい人間だとバレてます(笑)。過去を振り返ると、思い当たる節がたくさんあります。

日本で僕がまだ新入社員だった頃、知識も経験もないのにやたら尖っていました。上司に何か説教されると、ムッとなってすぐに感情が顔に出てしまっているようでした。気を遣った上司が「何か言いたいことがありそうだけど?」と聞くと、顔の表情からは言いたいことありまくりオーラが出ているのに、「何もないです」とだけ言い放ってました。すねてるだけで、全く人間ができてません。今思うと恥ずかしい、と思いながら、今も実は直ってない。。。

感情を素直に言葉にして教えてくれるブラッド

ブラッドは、僕の部署の仕事を手伝ってくれる大切な僕のパートナーです。僕より15歳以上若く、知識・経験は浅いですが、とても素直で頭もよく、僕からたくさんのことを学ぼうとしてくれる可愛い後輩です。イギリス出身で、僕が聞き取るのが苦手なシュルシュルしたイギリス英語を話すところは困ってますが、僕も彼からたくさんのことを学んでいます。その中のひとつが、何か問題が起こると、彼はいつも自分の感情を冷静に言葉で伝えてくれることです。

彼にとってとても良いことと悪いことが同時に起こった日がありました。良いことは、ブラッドが担当した試験の結果が、規制当局であるFDA (Food & Drug Administration)に完全に認められて、プロジェクトが先に進めることになったことでした。ブラッドはこのプロジェクトで重要な試験を担当しており、最高功労者の1人になりました。
悪いことは、別のプロジェクトで、コミュニケーションの手違いにより、委託先で1ヶ月も前にすでに終了しているはずの検査項目が、全く手つかずで放置されていることでした。

こんな時、彼はすぐに僕に連絡をくれます。そして、実際の出来事や問題点だけでなく、彼の感情を素直に言葉にして教えてくれるのです。「FDAから最高の回答がもらえて、僕は飛び上がるくらい嬉しかった! でも、その後、委託先から1ヶ月前に終わっているはずの検査が手つかずで放置されていると知り、気持ちが一気に落ち込んだ。注意してコミュニケーションをとったつもりだったのにとても悲しくなった」のように、実際に起こった事実だけでなく、彼の気持ちの変化も素直に話してくれるのです。
ブラッドは感情を言葉にして伝えながら、自分の中でもそれを整理しているようでした。そのように話してくれると、僕も事実だけでなく、彼の心のなかでどのような感情的な変化が起こっているかもわかり、彼の気持ちにも共感できます。そして何よりも僕が、的確なアドバイスしやすくなります。その後、彼自信も冷静さを取り戻します。そして、彼はコミュニケーションミスを起こした委託先にとても冷静にプロフェッショナルな対応を取ったのでした。

感情を言葉にしたブラッドとそれをせずに即反応した自分

偉そうにブラッドには先輩面してアドバイスしておきながら、自分がダイアンに取った対応はというと、自分の中に起こった感情の変化をあいまいに「ムカつく」程度に把握したまま反応して、墓穴を掘ったということです。

自分の感情を言葉にして、冷静さを取り戻してから、プロフェッショナルな対応が取れたブラッドと、感情のおもむくまま即反応して、捨て台詞で締めくくり墓穴を掘ってしまった自分。

感情の粒度を上げる

僕の大好きな作家、鈴木祐さんの著書「無」の中に書かれている

「感情の粒度を上げる」

鈴木祐 (著) 無(最高の状態)

を思い出しました。

自分の感情の変化を、何となくの曖昧な状態にしておかず、しっかり言葉にすることです。

ダイアンとのやり取りでは、僕の中でさまざまな感情の変化が起こっていたのだと後で気づきました。

彼女が仕事に負われて手つかずになっていたレポートを、ブラッドと僕で代わりに進めてあげようとしたことがことの発端でした。今週中にこれを終わらせてスッキリして週末を迎えたいと思っていました。ダイアンが責任者なので、僕たちが代わりにレポートを書いても最終的には彼女の確認が必要です。僕の中には今週中にこれを終わらせたいという焦りの感情がありました。ダイアンに確認を求めると、彼女はかなり細かい部分に修正を入れてきました。ブラッドと僕は、その修正には賛成できず、逆にレポートの内容をおかしくすると考えたので、修正せずにこのまま最終化しようとダイアンを説得しました。僕はイライラの感情を持っていました。しかし、ダイアンはその修正にこだわりました。僕には、本来彼女がやるべき仕事を代わりにやってあげているのだから、感謝されて当然というおごりがあり、今度は憤り、怒りの感情が湧いたのでした。そして最後に時間と努力が報われなかった悲しみの感情が現れたのでした。

僕はこれらの細かな自分の感情の変化を意識しないまま、ただムカつくと乱暴な感情の判断だけで、冷静さを欠く反応をとってしまったのでしょう。初めに起こった焦り、イライラの感情を言葉にして意識していたら、もうちょっと冷静な対応がとれたかもしれません。ブラッドの対応を見習いたいと反省したのでした。



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