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三千世界の苔を滅ぼし、一人で安眠を貪りたい
RCサクセションが「宝くじは買わない」と歌っていたので、自分も宝くじを買わないのだけど、もし宝くじが当たったらやりたいことはたくさんある。
以前は家の前の道が苔だらけだったので、抜本的改良工事を施し、苔の入る余地のないようにしたいと思っていた。
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自分は潔癖のきらいがあって、人工物に苔が生えているのが許せない。
独裁者になったら、国家予算の20%は市街地における苔の防除に費やすつもりだ。
あるいは、自然物に苔が生えているのは許せるので、すべての人工物を破壊するしかない。
苔がいやで文明破壊とは、まぬけな恐怖の大魔王もいたものである。
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苔を気にしないように己を改良するのが一番いい。
実家で犬を飼っていた頃は、犬が苔と戯れているのを観察して、自然と苔も仲間みたいな気持ちになり、苔のことが気にならなくなった。
ある種のドッグセラピーである。
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苔が嫌という話をすると、大抵の人からは唖然とされるか、ちょっと怖がられる。
しかし、うんうんめっちゃわかるよと言ってくれる人が稀にいて、そういう人はたいてい大陸の人である。
大陸には苔ぎらいが大勢いるのだろうか。
大陸では苔剥がし人が苔を剥がしていたり、塀の上面をつるつるにして定期的に掃除しなければならないという決まりがあって、サボって塀に苔を生やした者には罰金が課されたりしているのかもしれない。
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自分はこれまで、語学留学など無意味と思っていたが、勘違いだった。
やはり実地を見ないと世界の苔状況は判然としないわけだから、子どもたちは続々と留学したらいい。
そして人工物に生えた苔を忌避する文化を日本に移植してほしい。
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