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ニュースからの卒業
私は小さい頃から新聞を読むほうだった。
長じても新聞をよみ、ネットニュースをよみ、ユーチューブやポッドキャストで胡乱な時事評論に耳を傾けてきたのだった。
しかしニュースというのは人を消耗させるのだ。
消耗すると人は弱って、変なことを言いだす。
私は変なことを言うようになった。
昨年からそんな自分が嫌になり、毎日NHKラジオを聴くだけにした。
今ではNHKも週に1・2回しか聴かない。
変なことを言わなくなったかは不明であるがストレスは減った。
安部公房も「燃えつきた地図」だか「箱男」だかで、ニュース中毒者の話をしていたではないか。
ニュースは取り扱い注意なのだ。
少なくとも私にとっては。
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以前の私には自分の意見を披瀝する悪癖があった。
人の話を遮ってまで喋り続ける。
いまではそもそも時事のことを知らない。
だから以前よりは人のいうことを聞けるようになったかもしれない。
だれかの意見を聞くよりも、自分の意見を聞いてもらったほうが、人は幸せである。
これまでの自分は幸福を独り占めしすぎた。
今後は人の話を聞いて、公共の福祉に寄与する所存だ。
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