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歩行派公式飲料ジョニーウォーカー、ゆらぐ
私は出かけるのに、徒歩で目的地に向かうことが多い。
そのため、自分を歩行派と称している。
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そんな歩行派には公式飲料がある。
「ジョニーウォーカー」だ。
ウォーカー、歩く人、すばらしい名前である。
「ジョニーウォーカーって何?」という方向けにご説明しようと思う。
これは世界で一番売れているウイスキーだ。
コンビニにも売っている。
ラベルの色でグレード分けされている。
よく売っているのは安いレッドラベルと、ちょっと高いブラックラベルだ。
我々おっさんは粋がって、レッドラベルを「ジョニ赤」、ブラックラベルを「ジョニ黒」と呼ぶ。
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ジョニーウォーカーの瓶にご注目いただきたい。
下の方に、ハットをかぶって歩いているおっさんがいる。
おそらく、彼がジョニー・ウォーカーさんだろう。
歩行派のマスコットである。
村上春樹の「海辺のカフカ」で、猫ごろしの悪人が歩いているおっさんのコスプレをしていたのは遺憾であった。
歩行派は平和を愛する。
平和の人こそ、ジョニー・ウォーカーさんのコスプレをすべきなのだ。
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そんなこんなで、呑気に頂き物のジョニ黒を飲んでいたある晩。
やべえツイートを見つけてしまった。
人名のWalkerの由来は、「歩く人」ではありません。ここでのwalkは「(繊維を)縮絨する」という意味で、その職業に就いている人という意味のwalkerがこの人名の由来です。ただ、「縮絨する」という意味では、waulkというつづりが一般的です。 pic.twitter.com/2dtKr6sbPm
— ラテン語さん 1/7『世界はラテン語でできている』発売 (@latina_sama) November 16, 2024
ウォーカーというのは、歩く人ではないらしい。
縮絨業者だという。
しゅくじゅうと読む。
縮絨というのは、毛織物をメルトン生地に加工することだろう。
ダッフルコートとか、ピーコートの生地である。
ジョニーウォーカーは歩行派のものではなかった。
どちらかというと、学校指定のウールのコートを着ている生徒諸君にふさわしい。
泣きそうである。
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いや、まだ望みを捨ててはいけない。
「葬送のフリーレン」を思い出すのだ。
勇者ヒンメルは、選ばれし者しか抜けない勇者の剣を抜くことができなかった。
彼は選ばれし者ではなかったのだ。
それにもめげず、(多分)ものすごい努力の結果、魔王を倒し、本物の勇者よりも勇者らしい存在になったのだった。
わたしも諦めない。
「ジョニーウォーカーは歩行派公式飲料!
歩行派はジョニーウォーカーを応援します!
毎晩『硫黄島からの手紙』を鑑賞して、ジョニ赤を大事そうにかかえているバロン西に思いを馳せます!」
と言い続け、ジョニーウォーカーを真の歩行派公式飲料にするのだ。
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