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左ききの道具店の、ちいさなメーカー宣言。新ブランド『HIDARI』を立ち上げた理由。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、近頃の左ききの道具店のオリジナル商品には「HIDARI」という名前がついています。去年の9月、「左ききの手帳2022」からHIDARIというシリーズがひっそりとスタートしました。

左ききの手帳

左ききの手帳カバー

15cm定規

が現状のラインナップ。今後も、オリジナルの大部分はHIDARIシリーズとして発表していく予定です。

現時点では「左ききの道具店オリジナル」と、「HIDARI」という2つの自社商品のシリーズが混在しているわけですね。

覚えてもらうならまとめた方が効率的でしょう。なぜ、左ききの道具店と並ぶもうひとつのブランドをつくったのか? なぜ、HIDARIという名前なのか? その背景には、ずっと考えていた「越境EC」への対応がありました。

どんな名前で海外展開するか問題

左ききの道具店ロゴ。シロクマがキャラクターです。

左ききの道具店のお客さまは、店名のとおり左利きの方です。対象が限られている以上、新規顧客を増やすには認知の母集団を広げるしかありません。そんなわけで、創業当時から越境ECは選択肢としてずっと温めていました。人口が多い方にいかなければと。

実際に検討段階に入ったのは2021年の秋。ラインナップもそれなりに充実し、オリジナル商品も出てきて、いざ越境ECをはじめようとしたわけですが、まずぶち当たったのが「どんな名前で展開するか?」でした。

最初は、左ききの道具店を英語にすればいいじゃん、って気軽に思っていたんですよ。シンプルにね。でも、これが予想外に手強い問題で。

たとえば、直訳すると Left-handed tool store になるのですが、英語だとより全ジャンルを網羅してそうな雰囲気が出ます。でも僕らは相当に主観的なセレクトを信条としているので、扱わない商品群もかなりある。実態と合わなそうで止めました。

じゃあ日本語をローマ字表記で出す? HIDARIKIKINO-DOGUTEN 。長すぎる、却下。

いっそ現在の店名をそのままでいいんじゃないか? 左ききの道具店 international みたいに。的な話も出ましたが、結局「読めないお店」は最初のハードルが無駄に高くなるため断念。

左ききの道具店って、分かりやすい名前ですよね。短くて一瞬で理解できる。でもその良さって日本語が母国語の人じゃないと伝わらない。である以上、左ききの道具店という店名を無理に英語化することはあまりメリットがないんじゃないかと思い至ったわけです。

そんなとき、店長が「……これは無印良品におけるMUJIじゃないの!?」と叫んだ(ほんとに)のが突破口になりました。

だとしたら、左ききの道具店は、HIDARIKIKI? いや、もっと短い方がいい。

「HIDARI」だ!!!! 


という感じで、越境する際の名前は決まりました。

何を突破口にするのか問題

海外展開する名前は決まった。HIDARI。口に出してみる。歯切れ良く、スッキリ覚えやすい。よき! 左ききの道具店の越境はHIDARIでいこう!

と、決めたのはいいのですが、すぐ次に別の問題が出てきました。それは僕と店長が英語ネイティブではない時点で自明なことでもあったんですが、「言語的コミュニケーションが使えない」点です。

僕らは店舗を持たず、オンラインショップのみでやってきました。オンラインにおける「接客」とは、Twitterでのリプライひとつ、DMでの返信ひとつ、掲載した記事ひとつ、到着した商品の梱包状態に至るまで、文字通り、お客さまとの接点のすべて。そしてその大部分は言葉によって補完されています。

できる限り誤解のなきよう、気持ちよくお買い物していただけるよう、お店で出す言葉は店長を中心に心を砕いているわけですが、これが英語では自信がない。お店としてのおもてなしに支障が出る。とすれば、別の切り口が必要です。

ちいさなちいさな、メーカー宣言。

僕らが出した結論は、「お店としてではなく、メーカーとして展開しよう」でした。

世界観や接客といったお店としての発信より、「ここでしか買えない商品」にフォーカスしたお店。もちろん、左ききの道具店でセレクトした商品も販売するんですけど、立ち位置としては「メーカー直売店」でいく。

それが決まってすぐ、ロゴをつくりました。やっぱりメーカーとしての旗が必要だと思ったんです。

アイコンは分かりやすく左手です

ブランドの世界観も重要なのでメインビジュアルもお願いしました。カッコいいぜ!!

とにかく左利き用のメーカーであることが伝わるように

ちなみにデザイナーは「左ききの手帳」も手がけてくれた白澤真生さん(https://drawrope.com/)。奥さまが左利きです。

素敵なイラストは竹田嘉文さん(http://www.takedayoshifumi.com/)。彼も左利き。

またHIDARI商品のデザイン・設計はプロダクトデザイナーの松井大輝さんにお願いしています。彼については近いうちに詳しくご紹介しようかと。左利きです!

そして、すでにHIDARI.comというドメインでティザー的なサイトもあります。まだ空っぽなんですけどね。(ちなみに、hidari.comは当然のように別の人が取得済みだったので頑張って取得しました。高かった。。)


長くなりましたがまとめると、これから僕たちはオンラインストア「左ききの道具店」を主軸にしつつ、左利き用専門メーカーとしての「HIDARI」、そしてHIDARI直営越境EC「HIDARI.com」 を運営していくぞ!ということです。

分かりやすいような、混乱しそうな図

大丈夫かなー。ちいさなお店としては完全にキャパオーバーな気もしますが、なんとか走り抜けようと思います。

現在は、新商品開発と既存商品の翻訳に向けてのリライト作業を必死になってやっている真っ最中。おそらく5月中にはローンチできるのではないでしょうか。できるはず。できるといいな!(ほんとに)

がんばるぞ!

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加藤 信吾|LANCH Inc. 左ききの道具店
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