【職について】面接で足切りされないために ~人事の目線~

何千人の採用面接の経験があったとしても、合否の判断に迷うことはある。何せ1時間そこらの限られた時間の中で、候補者の本質を見極めることは非常に難しい。それでも、絶対に不合格にするケースというのがいくつかある。

前職で採用面接を行った際、結果は4段階で評価をしていた。
A:合格(誰が何と言おうと採用すべき。)
B:合格(採用すべき。他の面接官の意見によっては評価を変える余地あり)
C:不合格(採用すべきではない。他の面接官の意見によっては評価を変える余地あり)
D:不合格(誰が何と言おうと採用すべきではない。)


合格基準については、企業ごとや職種ごとに変わる。しかしながら、不合格(特にD評価の絶対に採用してはいけないレベル)の評価になるケースは恐らく大きな違いはないのではなかろうか。


この記事ではそういった厳しい評価となるような面接のパターンをいくつか紹介する。尚、下記に紹介するパターンはどれか一つに該当することで即NGという場合と、複数のパターンに該当したためにNGというケースがある。該当する程度によって評価は異なる。


尚、実際に候補者が評価通りの人物かどうかは合否のポイントではない。面接という30~60分程度の限られた時間の中で、面接官が受けた"印象"が合否のポイントとなる。何気ない言動や言い回しの妙により、印象というのは大きく異なる。


パターン1 地球はアナタを中心に回ってなどいないですよ?

自分のカラー、個性を持っていることは決して悪いことではない。しかしマイペースの度が過ぎると、組織の一員として迎えるのはリスクが高いと判断される。

 例えば、下記のような行動に当てはまる場合、マイペース判定にチェックが入る。

・受付から面接を行う部屋まで案内する際に、案内する社員を追い越して歩いてしまう。
・部屋に入室するやいなや、何の断りや声掛けもなく自分のペースで着席してしまう。
・一つの質問に対して一人で長々と話し続けてしまう。
・「〇〇みたいなことあるじゃないですか~」と、候補者の独自の常識を一般論のように話し、押し付けてしまう。
・面接官が「では最後に何か質問を・・・」と問いかけた際に、エンドレスに質問をしてしまう。

Tips:マイペース判定されないために。
相手に確認をしよう。
「〇〇してもいいですか?」
「〇〇はご存じですか?」
「お時間はまだ大丈夫ですか?」
など、相手の状況に対して配慮する姿勢を分かりやすく表そう。


パターン2 アナタにも・・・問題あったんじゃないかな?

他責傾向が強く、物事がうまくいかなかった原因を環境や他人のせいにし過ぎる方。ついつい言い訳ばかり話してしまう方。このような内容を話す方の多くは、心の底から周囲に原因を見出しており、決して自らを他責傾向が強いと認識していない。

そのため、採用した場合に、プロジェクトなどがうまくいかなくても、責任逃れをしたり、適切な修正行動がとれないため、トラブルの原因になることが多いと予想され、採用のリスク要因と判断される。


他責傾向を判断するポイントは次のようなやり取り。

面接官「これまでで最も大きな失敗経験について教えてください」
候補者「失敗の経験はありません」
→誰でも失敗をすることはある。大事なのは失敗した経験からどのように学ぶか、どう立て直し、修正するかというところ。また、もし本当に失敗経験がないとすれば「挑戦意欲がない人」という別のNGフラグが立てられる。

面接官「その失敗の原因は何でしたか?」
候補者「環境的に〇〇で・・・」「前任者が〇〇で・・・・」
→実際にはそういった状況があったかもしれません。ですが、まずは「私の確認が足りなかったのですが・・・」というところからはじめましょう。

Tips:他責傾向が強いと思われないように
自分の中に原因を見出すとしたらという発想で回答するところから始める。
エピソードを深堀して話していく中で、本当の原因がどのようなところにあったのか(候補者自身に原因があったのか、外部要因が大きかったのか)、面接官は理解し判断することが出来る。
前述のとおり、失敗を経験すること自体がネガティブな評価に直結することはあまりない。大事なことは、失敗から学びを得て改善できる人間だと示す(印象付ける)こと。


パターン3 それコンプラ違反ですよ??

社会通念上の常識と思われるようなコンプライアンスを守れない方は、採用後にも大きな問題のリスクを持つと判断され、厳しい評価がされる。


例えば・・・
・現職(前職)の機密情報を話す
→機密情報を取り扱うような重要な仕事を任せることができない
→約束(規則)を守れない
→常識的にOKなこととNGなことの判断がつかない

・面接で不適切なことを話す
 -明らかにハラスメントに抵触する内容
 -業務に直結しない個人的な主義信条に関する内容
 -採用側の企業や競合企業に関するゴシップや何かしらの悪評に関する内容
→業務中に同様の問題を起こすリスクがあると判断する
→"良心"に関する判断ができない



上記のような項目に強く当てはまるような方については、円滑な業務遂行に支障があると判断し、採用を見送っていた。

ほとんどの人間には、誰しも良いところと改善すべきところの両面がある。(完璧と思える人はほとんどいない)

そのため、どの長所を評価し、どの短所を許容するかのバランスによって採否判断を行う。その議論の中で、上述のパターンに当てはまるようなケースについては、リスクの大きな要因として慎重に判断を行う。

ある程度経験のある人事やマネージャーは、社員や部下が何かしらの社内問題を起こした場合、企業が期待する成果を出せるように教育を行うか、それが難しい場合には退職勧奨などを行わなければならず、その手間とリスクの大きさ、コストの高さを認識しているため、その要素となりそうなケースについては、慎重に捉えるのだ。


最後に。

面接では出来るだけ正直にありのままの自分の考えを伝えることが重要というが、これはその通りだ。誇張すること、実力以上に大きく見せることは、入社後のミスマッチに繋がる。

同時に、不要な誤解を回避したり、自分にとって不利な(事実ではない)印象を持たれ本来の自分を評価してもらいにくくなる。

まぁ、嘘でごまかしてもすぐにバレるわけだが、伝え方の工夫はできるというお話。

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