動的な存在の概念整理
はじめに
1つ前の記事で、動的な観点で見た時の、存在・集合・総体と、関係と構造について少し整理しました(参照記事1)。
この記事では、動的な存在にフォーカスして、概念の整理を行います。
時間と空間上のパターンの整理
まず、一つの動的な存在として、時間と空間上のパターンの整理をします。それぞれのパターンに名称を付けていくことにします。なお、ここでは「動的な」という枕詞は省略します。
単存在:
一箇所で一瞬で消える
連存在:
単存在が分岐なく連なったもの。
共時的な連存在:
複数箇所で一瞬で発生し、そして消える。
通時的な連存在(狭義の動的な存在):
時間に沿って連続で発生する。
特に断りがなければ、動的な存在と言えば狭義にはこれを指す。
存在体(共時的かつ通時的な連存在):
複数箇所で発生し、かつ、連続で発生する。
通時的な連存在、あるいは、存在体は、同じエンティティ上でプロセスが繰り返される場合と、異なるエンティティを渡り歩いていくケースがあります。前者を硬直的、後者を流動的と呼ぶことにします。
硬直的な連存在(硬直的な存在体)
同じ物質を使い続ける通時的な連存在(存在体)
流動的な連存在(流動的な存在体)
異なる物質の間を渡り歩いていく通時的な連存在(存在体)
一度停止した後に、再度きっかけがあればプロセスが動作することができるものを休眠停止性、構造が崩れるなどして二度とプロセスが動作できなくなってしまうものを死停止性と呼びます。
休眠停止性の通時的な連存在(休眠停止性の通時的な存在体)
一度停止した後に、再度プロセスを開始可能
死停止性の通時的な連存在(死停止性の通時的な存在体)
一度停止した後は、二度とプロセスを開始できない
流動的な連存在は、通常こちらの死停止性の性質を持つ。
このように考えると、一言で動的な存在、と言っても様々なパターンがあることが見えてきます。
特殊な性質を持つ動的な存在
通時的な連存在の中には、いくつかの特徴的な性質を持ったものが現れる可能性があります。
蓄積
エネルギーを蓄積することのできる機能。エネルギーを使って動作ししつつ、さらにエネルギーを蓄えた有機物を合成することができます。
振り子
蓄積型の動的存在の発展形で、エネルギーを蓄積するためのもの(主に有機物)を2種類持っています。
最初に片方にエネルギーを蓄積し、すぐにそれを分解してエネルギーを取り出し、それをもう片方のエネルギー蓄積装置に渡します。
これを繰り返すことで、同じエネルギーを与えられても、より長く動的な存在の連鎖を続けることができる。
分岐
1つ目の化学反応が終わったら、その周辺の有機物に伝播して、2つの化学反応が同時並行で起きます。これを繰り返すと、ネズミ算式に化学反応が連鎖分岐していきます。
これが遺伝子形成の一歩だったのかもしれません。
生成
分岐とは違って、自分自身のコピーでなく、別の動的な存在を生み出す性質です。
多態性(ポリモーフィズム)
流動性を持つ連存在は、死停止性を併せ持つ代わりに、多態性(ポリモーフィズム)を獲得する場合があります。
流動性はプロセスの連鎖が有機物を乗り換えていく方式です。その際に、プロセスの連鎖に関わる部分さえ保たれていれば、多少異なる有機物が混ざっていても動的な存在は存在を続けていくことができます。このため、動的な存在の中に多様なものを取り入れることができます。
連鎖と連結
動的な存在が、異なる動的な存在のトリガーとなるケースがあります。その関係性が1回限りの偶然のようなものなら、連鎖しただけと言えるでしょう。
一方で、関係性が今後も見込まれるようなケースでは、連結が行われたと考えてよさそうです。
連鎖
動的な存在が、他の動的な存在の一時的な発生につながった事。
連結
動的な存在同士が繰り返しやり取りをする関係。
さいごに
今回は、動的な存在にまつわる概念を、いくつかの観点からパターン出しをして整理を行いました。検討を進める中でもう少し重要なものも出てくるかと思います。
複雑なもののいくつかのシンプルなものの組み合わせで成り立ちますので、こうした基本的な概念を丁寧に整理をしていくことが、全貌をあきらかにするためには重要な作業になると考えています。
参照記事一覧
参照記事1
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