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人工知能という情報処理システム

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人工知能を機械学習技術としてだけでなく、情報処理システムとしてシステム理論やシステム工学の観点から捉えた記事をまとめています。
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記事一覧

私とは何か:「自分」を予測する能力

私とは何か。つまり、私たちの主観はどのように生じているのかということを考える際に、無秩序…

katoshi
2か月前
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意識のレンズ:今、ここ、私/内と外/個人とコミュニティ

はじめにこれまでに、私たちが現実をどのように認識しているか、個人の中とコミュニティにおい…

katoshi
1年前
5

想起と記憶:意識のレンズ再考

はじめに私たちの意識を形作る脳の働きから、意識における時間・空間・自他の観念が、中央と周…

katoshi
1年前
4

知能のアーキテクチャ:観念、記憶、現実、意識、自由意志、自己像のモデル化

はじめにこのnoteでは生命の起源をテーマに考えてきました(参照記事5)。そこから射程を伸ばし…

katoshi
1年前
9

自由意志と意識の最小単位としてのニューロン:決定論と未来予測不能性の共存

■未来予測の可能性 一般に、未来予測の困難性は、以下の3つの観点から説明されることが多い…

katoshi
1年前
7

ニューラルネットの本質的意味論:離散と重ね合わせ、意識と自由意志

◇離散と連続 ニューロンが、条件分岐のように入力に従って1か0を出力する能力を持つことは…

katoshi
1年前
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何が思考しているのか:無意識/意識・理性・直感と感情の交流

◇無意識から意識へのバトンタッチ 慣れ親しんだ状況下では、無意識が、自動的に予測し、自動的に判断し、自動的に行動を決めます。そして、無意識が予測・判断・決定をできない場合、意識が現れます。 ◇意識の持つ二つの問題解決手法 意識は、非合理的な方法と、合理的な方法の2つの問題解決方法を持ちます。 諦めで予測を停止し、直感で判断し、感情で決定するのが、非合理的な手法です。 帰納や演繹で予測し、フレームワークで判断し、納得で決定するのが、合理的な手法です。 この、合理的な

意識と自己とは何か:決定可能な不確定性

決定可能な不確定性私たちは、意識的に物事を考えている時に、頭の中で、一種のシミュレーショ…

katoshi
1年前
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スパースオニオンモデル:パターン認識とシミュレーションによる自律情報処理システム…

■パターン認識とシミュレーション 私は、パターン認識とシミュレーションが思考の本質だと仮…

katoshi
1年前
4

知能の処理の本質:パターン認識とシミュレーション

■パターン認識とシミュレーション 私は、パターン認識とシミュレーションが知能の処理の本質…

katoshi
1年前
7

身体的な認知メカニズム:感情と思考の共生

この記事では、感情について理解するための、いくつかの仮説を提示していきます。概要は以下の…

katoshi
1年前
5

自己認識システムの実現方法:好奇心を持った知性

この記事では、シンプルなアルゴリズムで、予測システムと自己認識システムの例を示します。こ…

katoshi
1年前
6

ニューラルネットワークに基づく自己認識の仕組み:幼児期からデカルトまで

この記事では、赤ちゃんの段階から物心がつくまでの、人間の自己認識の発達のメカニズムについ…

katoshi
1年前
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エピソード記憶とブロックチェーン技術:人とAIの協調の要件

脳が過去の出来事を記録する時、エピソード記憶という形で保存すると言われています。 エビソード記憶は、矛盾がないように整合性を保って記憶することに重点を置いており、忘却することは許容しているという特性があります。この理由とメカニズムを、この記事では明らかにしていきます。 また、AIに出来事を記録させる機能を持たせる際の指針についても述べます。AIの場合、人間のエピソード記憶とは異なる仕組みを使った方が効率的です。一方で、人間のエピソード記憶が重視しているように整合性を保つこ