『真面目』は鎧⁉︎
真面目な人はウツに気をつけよう!
という話をしたが、
そもそも、
真面目な人は、
何故真面目なのだろうか?
生まれた時から
人に迷惑をかけない
真面目な人間は存在しない。
ヒトの赤ちゃんは、
生まれた時、
誰かに世話をしてもらわなければ
生きていけない。
では、
どの段階で
「真面目」を
獲得するのか?
多くは就学前から
小学校低学年時に、
親から与えられるもの
だとボクは考えている。
いや、
正確に言えば、
親が子に
「真面目」である事を期待し、
それを感じた子が
親の期待に応える為に
獲得するもの、
と言ったところだろうか。
この時点で既に
お気づきだろう。
「真面目」を、
自らの意思によって
獲得している人は、
ほとんどいない。
親にコントロールされ、
主体性が上手く育たず、
その上で親や大人の期待に
応えたい、
応えたら認めてもらえるからと思い、
「真面目」を獲得しているのだ。
そして同時に、
「真面目」は、
主体性の無い自分を隠す、
格好のアイテムとなる。
主体性が無いという事は、
他者の価値基準で生きるしかなく、
自分の価値基準が無い、
つまり、
自分が無い
という事になる。
心の奥底で、
それに気付き、
劣等感を抱く為、
「真面目」の鎧によって
何も無い自分を隠したい気持ちは、
どんどん強くなる。
そしていつしか、
その鎧は自分の一部になっていき、
脱ぐという選択肢自体が、
頭から消されていく。
根底には
自己を否定する気持ちがあるものの、
「真面目」である事により、
一定の社会的評価を得られる為、
その事で自己否定感を
相殺しようとしているのだ。
そんな真面目な人が、
何らかの原因で、
心が不調に陥ったとする。
するとまず、
「真面目」が発動しなくなる。
起きなければいけないのに
起きれない、
仕事に行かなきゃいけないのに
行けない、
人に会わなきゃいけないのに
会えない……。
アイデンティティーの崩壊である。
簡単に書いているが、
これはかなりキツい。
今まで信じていたもの、
依存していたものが、
一瞬で目の前から消え去り、
そこには、
何も持っていない
裸の自分が、
自分が嫌悪している
本当の自分が
曝け出されてしまうからだ。
一度これが起きてしまうと、
もう後には引き返せない…。
そこからは、
「何者でもない自分」を
自分で育て直さなくてならない
辛く長い道が待ち受けている。
しかし、
真面目の鎧を着ている人は、
その事を本能的に知っている。
鎧を脱ぐ事は、
全ての崩壊を招く
という事を知っているから、
鎧を脱がない為の最善の手を
繰り出す。
それは、
自分の心は苦しんでいない、
自分の心は正常であると、
自分に言い聞かせ、
心の不調、
心の苦しみを
認めない事だ。
自分を守る為に、
自分を騙すのである。
そうして、
無理矢理に真面目である事を
続けるうちに、
どんどんどんどん
心を病んでいくのだ。
真面目な人は、
気をつけてほしい。
配偶者やパートナーが
真面目な人の場合は、
気をつけて見てあげてほしい。
ではまた。
毎日死ぬ事しか考えられなかったボクが、
どのようにして立ち直るきっかけを掴み取ったかを描いたコミックエッセイ
『しんさいニート』/イースト・プレス
https://www.amazon.co.jp/しんさいニート-カトーコーキ/dp/4781614671/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=しんさいニート&qid=1583634815&s=books&sr=1-1
絶賛発売中です。