見出し画像

高橋農園さんを訪ねて、サツマイモ栽培を考える

入間郡三芳町上富、通称「いも街道」で代々サツマイモを栽培されている『高橋農園』さんを訪ねました。

「富(とめ)の川越芋」というブランド芋で知られるこの地域は、約320年前の江戸時代に開拓された農地で、屋敷と平地林と畑がきれいな短冊状に整備され並んでいます。

サツマイモ栽培について

私自身、1年ちょっと農家さんの手伝いくらいの関わり方で農業に携わりましたが、栽培技術はド素人も同然。そもそも農業経験1年で知識を語られたら、農家さんに鼻で笑われます。

そんなわけで高橋さんに、サツマイモ栽培のことを少し伺いましたが、どのお話も目からウロコ。やっぱり農業ってすごいんです。

サツマイモ栽培はざっくり言うと、肥料設計と土作り、種芋からの苗栽培と苗取り、植え付け、除草と虫対策などの管理、収穫、貯蔵という流れです。
戦時中の食料ってイメージからか、サツマイモって放っておいても育つんでしょ、みたいな扱いをされがちですが、キレイで美味しいお芋を育てようとすればそんなわけにはいきません。
植え方ひとつで形や収量が変わってきますし、管理を怠ると味が落ちたり、病気が出て収穫できないなんてことにもなります。

そもそもあまり知られてないようなのですが、サツマイモは収穫した後の保存が難しい。暑すぎても寒すぎてもすぐ腐っちゃう、意外とデリケートなやつなのです。

べにはるか問題

個人的に勝手に「べにはるか問題」と呼んでいるけど、実は芋農家の方もその問題を感じているんじゃないかな。
今やしっとり系品種の代表格の「べにはるか」。こいつは万人受けする焼き芋の甘さだけじゃなく、病気にも強く栽培も容易なのです。本当にイメージ通りの、放っておいても育つような品種で、新規就農者はもちろん、芋農家でもべにはるか一本に絞る方もいます。

それは致し方ないことではあるけども、消費者としては昔ながらのホクホク系も食べたいし、生産者としては栽培技術の習得、継承がなされないのではないかと考えています。

高橋農園さんでは、それこそ他の芋農家さんとの差別化と考え、新しい品種の栽培も積極的に行い、現在12品種あるそうです。

やっと巡り合った紅赤

「紅赤」は、埼玉で発見された突然変異種がきれいな紅色でとても美味しかったことから、増殖普及したもので120年以上栽培されています。
でも病気に弱く、収量も少ないので、今までお目にかかったことがありませんでした。

今回、高橋農園さんで育てられた紅赤を芋けんぴの試作のため、少し分けていただけました。
念願の紅赤。そのお味はかなり軽い食感と、やさしいけどしっかり残る芋の甘み。これはかなりおいしい。

高橋さん、本当にありがとうございました!

ここから先は

0字

人見知りで、やりたいことがみつからない学生時代を過ごした店主が、おにぎりと芋けんぴのお店を作りました。 『普段の日のなかで、気軽に楽しめる…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?