応急応急手当
災害が起きて怪我をしてしまった時、救助が来るまで対応が必要になる場合があります。
いざという時のために、止血、骨折・捻挫、切り傷などの応急手当の方法を覚えておきましょう。
止血方法
直接圧迫法による止血
出血している部分にガーゼや清潔な布などを直接当て、手や包帯で強く圧迫します。
布の大きさは、傷口を完全に覆う大きさが必要です。
感染予防のため、ゴム手袋やビニール袋などを必ず着用し、血液が付着しないように心がけてください。
間接圧迫法による止血
直接圧迫法での止血が難しい場合は、間接圧迫法を試みます。
心臓に近い動脈を親指等で骨に向かって押さえ付け、血の流れを一時的に止めます。
ひじから先の出血は上腕の内側中央で、いずれも親指で強く押します。
足からの出血は、出血側の足を伸ばし、大腿骨の付け根をこぶしで強く押します。
骨折・捻挫の手当
添え木で固定する
骨が折れて痛みがあるところをむやみに動かすのは禁物です。
折れた骨を支える添え木になる物を用意し、折れた骨の両側の関節と添え木を布等で結び、固定します。
三角巾を使う
三角巾は身体のどこでも使え、スカーフや風呂敷、大判ハンカチでも代用可能。傷口の汚れは水で流し、滅菌ガーゼ等を当てて使います。
結び目が傷口の真上にこないようにします。
切り傷の手当
傷口をしっかり覆える大きさの布や包帯を用意します。
傷口が土砂等で汚れている場合は、水できれいに洗い流します。
出血している場合は、滅菌ガーゼ等を当てて傷口を保護します。
包帯を巻きます。
やけどの手当
軽いやけどは水で冷やす
面積が身体の10%未満(傷病者の片手の手のひらの面積が体表面積の1%)のやけどなら、できるだけ早く、痛みがなくなるまで15分以上きれいな水で冷やします。
包帯の代用
ストッキングを包帯の代わりに使います。まずは傷をガーゼ等で押さえます。その上から、ストッキングの胴の部分をかぶせます。
ストッキングの両脚の部分を頭にぐるぐる巻き付けます。最後に端を縛って固定します。洗って清潔を保てば、くり返し使用できます。
目の前で突然人が倒れたときや反応がないときは、すぐに「心停止」を疑いましょう。心停止を疑った場合、バイスタンダーは、すぐに119番通報し、救急車が来るまでに、速やかに心肺蘇生などの応急手当を行う必要があります。
<心肺蘇生法>
突然人が倒れたら 119番通報
(1)周囲の安全を確認する。
(2)傷病者に近づき、反応(意識)を確認する。
※コロナ禍においては、感染症対策のため、傷病者の顔と救助者の顔があまり近づきすぎないようにしてください。
(3)傷病者に反応がなければ、大声で叫び応援を呼ぶ。
(4)119番通報及びAEDを現場に届けてもらうよう協力を求める。
大声で応援を呼んでも誰も来ない場合は、自分で119番通報をします。AEDがあることが分かっている場合には、AEDを取りに行きます。119番に通報すると、通信指令員が電話を通じて、バイスタンダーが行うべきことを指導してくれます。
胸骨圧迫と人工呼吸
(5)呼吸を見る。
胸とお腹の動きを見て「普段どおりの呼吸」をしているか10秒以内で確認します。
※コロナ禍においては、感染症対策のため、傷病者の顔と救助者の顔があまり近づきすぎないようにしてください。
呼吸がないか、普段どおりではない場合(死戦期呼吸:しゃくりあげるように途切れ途切れの呼吸)は、心停止と判断してください。
また、「普段どおりの呼吸」かどうか分からない場合も、胸骨圧迫を開始してください。
(6)胸骨圧迫を30回。
※コロナ禍においては、感染症対策のため、胸骨圧迫を開始する前に、ハンカチやタオルなどがあれば傷病者の鼻と口にそれをかぶせるようにしてください(マスクや衣服などで代用しても構いません)。
(7)人工呼吸2回。
(8)胸骨圧迫30回。
上記(6)(7)を絶え間なく続けてください。
※ただし、コロナ禍では人工呼吸を実施せず、胸骨圧迫を継続してください。
(写真提供:消防庁)
心肺蘇生は救急車が到着するまで続けます。周囲に複数の人がいる場合は、交代で行ってください。
※コロナ禍においては、救急隊が到着し、傷病者を救急隊員に引き継いだ後は、感染症対策のため、速やかに石鹸と流水で手と顔を十分に洗ってください。また、傷病者の鼻と口にかぶせたハンカチやタオルなどは、直接触れないようにして廃棄してください。
<AEDの基本的な使い方>
AED(自動体外式除細動器)は、心臓がけいれんして血液を全身に送れない状態(心室細動)になった場合に、電気ショックを行うことで心室細動を取り除く医療機器です。平成16年(2004年)7月から一般の人でもAEDを使用することができるようになり、駅や公共施設を始め様々な場所に設置されています。
AEDの操作手順は、全て機械が音声メッセージを出して案内しますので、音声メッセージのとおりに行えば、簡単に操作できます。
(1)電源を入れる。(ふたを開けると、自動的に電源が入るタイプのAEDもあります。)
(2)パッドを貼る。
パッドを貼る場所は、パッドに図で表示されているので、図のとおり傷病者に貼り付けましょう。
貼り付けるときは、次の点を確認しましょう。
皮膚が濡れていないか→濡れていたら、乾いた布などでふき取ってください。
貼り薬などが貼られていないか→貼られていれば、はがしてください。薬剤が残っていたらふき取ってください。
心臓ペースメーカーなどが埋め込まれていないか→胸に硬い「こぶ」のような出っ張りがあればそこを避けて貼り付けてください。
(3)コネクターを指定された場所に差し込む。
AEDが心電図を解析し、電気ショックが必要な場合は、自動的に充電します。
(4)放電ボタンを押す。
充電が完了すると、音声メッセージで次の行動を指示します。「放電してください」などのメッセージが流れたら放電ボタンを押しましょう。このとき、必ず自分と周りの人は傷病者から離れ、触れないようにしましょう。
電気ショック実施後は、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開してください。