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漫画の金言① どんなに辛くても自分の気持ちにウソはつくな。 ベイビーステップ/勝木光
高校からテニスを始め、その魅力にのめり込み、やがて本気でプロを目指すようになった、主人公の丸尾栄一郎(エーちゃん)。
全国大会で優勝できなければ、プロを諦めることを親と約束。全国の強豪を次々と破る快進撃を演じるも、準決勝で敗退してしまう。
約束通りプロを諦めようとするものの、本心では諦めきれないエーちゃんに対し、青井コーチがかけた言葉。
「ただどんなに辛くても自分の気持ちにウソつくなって言ってんだ。じゃなきゃこの2年半必死にやってきたことも、それを支え続けた熱い思いも、全部がウソに霞んじまう。それだけはしてほしくないんだ。お前がこの先自信をもって生きていくためにな…」
青井コーチがこの言葉をかけたのは、自身がプロとして活動していた時、ケガやリハビリに苦しめられた背景からです。
ケガの怖さ、リハビリや試合に出られない辛さなどを考えるのが嫌になり、そういったことを考えないようにしました。つまり、本心にウソをつき続けたのです。
そのうち、影響が出始めました。本心を裏切り続けたことで、自分の本心がわからなくなってしまったのです。
感じてることも考えてることも、どれが本当なのか疑わしくなっていきます。
そんな状態が続いたことで、自分では何も判断できなってしまいます。心はいつも不安定になり、他人に流されるようになります。
結果、プレイにも影響が出て、不調が続き、引退してしまったのです。
約束を破ったり、ウソをつくことは、相手の信用を無くします。そして、それは自分にも当てはまるのです。
この言葉をかけられたエーちゃんは、涙が溢れてしまいます。
接戦の末、準決勝で敗れたシーンを何度も夢に見たり、「次」に活かすための反省文をノートに20ページも書いたりと、本心ではプロを諦めきれない描写がいくつもあります。
それを見抜いていた青井コーチは、「俺の方がプロの厳しさは知ってる」と前置いた上で、上記の金言をかけます。
テニスプレイヤー以前に一人の人間として、エーちゃんとしっかり向き合っているのが伝わります。良いコーチすぎる。
ベイビーステップってどんな漫画?
**『ベイビーステップ』**は、勝木光による日本のスポーツ漫画で、主にテニスをテーマにしています。週刊少年マガジン(講談社)で2007年から2017年まで連載され、全47巻が刊行されました。作品のタイトル「ベイビーステップ」は、小さな一歩一歩の積み重ねが大きな成果を生むという意味を持っています。
あらすじ
主人公の**丸尾栄一郎(エーちゃん)**は、真面目で几帳面な高校1年生。勉強一筋で「優等生」として知られていましたが、運動にはあまり縁がありませんでした。健康維持のために参加したテニススクールでテニスの楽しさに目覚め、競技に本格的に取り組むことを決意します。
エーちゃんは、持ち前の分析力や観察力、そして徹底したノート作りを武器に、一歩ずつ着実に成長していきます。やがてプロテニス選手を目指すことになり、国内外の試合でさまざまなライバルたちと切磋琢磨しながら、自らの限界に挑戦していきます。
特徴
現実的な成長描写
主人公が天才的な才能を持っているわけではなく、努力と工夫を重ねて成長していくリアルな描写が特徴です。戦術的なテニスの試合運びや、細かい技術の習得プロセスが緻密に描かれています。
ノート術の活用
エーちゃんが試合や練習内容を細かくノートに記録し、それを元に課題を分析して改善する姿が物語の軸になっています。この「努力の可視化」が読者にとっても学びになります。
ライバルとの関係性
多くの個性豊かなライバルが登場し、彼らとの試合や交流を通じてエーちゃん自身が成長していきます。特にヒロインの**鷹崎奈津(なっちゃん)**との恋愛要素も作品の魅力の一つです。
テニスのリアリティ
実際のテニス競技を研究して描かれており、初心者から経験者まで楽しめる内容です。試合中の心理描写や戦略、体力的な課題などもリアルに反映されています。
アニメ化・評価
『ベイビーステップ』は2014年と2015年にアニメ化され、全2シーズンが放送されました。漫画と同様に、丁寧な成長描写と熱い試合展開が多くのファンに支持されました。
おすすめポイント
・スポーツ漫画が好きな人
・努力や成長物語が好きな人
・テニスに興味がある人やルールを学びたい人
現実的で共感しやすいストーリー展開が特徴で、多くの読者から高い評価を受けています!