デヴィッドボウイと吉井和哉というロックスター
バンドをやってる。
魅力はたくさんある。
その魅力のなかのひとつ。
ライブの時にバンドがステージに出ていく際に流れる曲がある。
これを「SE」と呼ぶ。
決めたSEを使うバンドもいれば、
毎回変えるバンドもいる。
このSEは演者としても、ライブへ行く観客としてもぼくを飛びきり興奮させる。
大体セッティングの時はBGMが流れている。
セッティング後、暗転。会場全体が暗くなる。歓声が聞こえて、唾を飲む瞬間だ。
そして、大音量でSEが流れ、ステージが明るく照らされて、バンドが出てくる。
興奮はクライマックスとなる。
このSEはほぼ100%バンドがセレクトしており、自分たちで作ってるバンドもいれば、そのバンドが好きな曲、好きな映画の主題歌、このバンドをどう魅せたいか?
バンドの思いが詰まってるものだと解釈している。
流すタイミング、音量のバランス、照明の希望・・・
なども考えており、そこからショーは始まっている。
演者側の気持ちとしてもこのSEが流れた瞬間に、興奮、緊張、不思議な落ち着き、気合、いろいろな感情が曲に乗せてどっと押し寄せてくる。
ぼくの場合ここで自分のなかのスイッチが “パチンッ” とONになる。
この文章を書いていても、興奮してくるくらい・・・
なんとも言い表せないほどの快感なのだ。
バンドを15年くらいやってきて、このSEはほぼ自分がセレクトしてきた。
バンドを始めてそのバンドのイメージが定着するまでは大体同じSEを使用する。
その後はツアーによって変えたりしてきた。
ライブの数日前からこのSEを考えたりするのも楽しい。
そして、常々「いつかこのSEを使いたいな」などと考えたりもする。
まだ使用してない一曲がある。
いつか使ってみたい一曲。
それはDavid Bowie「Life on mars?」
この曲はボウイのなかでも特に好きな一曲。
有名な話だとイエローモンキーの吉井和哉さんはこの曲でグラムロックに目覚めたと公言している。
下記、引用文。
僕に彼はボウイの、
いやボウイとロンソンの『Life On Mars』と言う曲で
とどめをさした。
僕は歌詞を恐る恐る読んでいた歌が始まり出した。
すると、玄関から誰かが入ってきた。赤い髪の狼カット、
グラム時代のボウイにそっくりだった。
本当によく似ていた。
その男の後ろにもう一人人が立っている。女の娘のようだ。
曲はサビになろうとしている。殺人的に美しいメロディーが
始まった。女の子の顔が見えた。
女の娘は・・・女の娘は・・・
僕が中学生の時ずっと好きだった娘だった・・・。
サビが終わり、更に美しいギターの間奏が始まっていた。
僕は『これは絶対に夢を見ているに違いない。』と
思ってしまった。
別に、その男が憎いと思った訳でもなく
ただ、単純にもの凄く大切な、貴重な体験をしたように
思えたのだ。
相当長くなったが、これが僕とミックロンソンとの出会いだ。
と同時にグラムロックとの出会いだ。
吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
引用元(http://www2s.biglobe.ne.jp/~KAYOKO/notes_lovin.html)
このエピソードがほんとうに大好きだ。
このエピソードを読んでから、さらに「Life on mars?」という曲が特別なものに聴こえた。
ロマンチックで、息苦しいほど美しい。
聴くたびに毎回、目の前の景色が変わるような衝撃を覚える。
キラキラと輝くのだ。
「いつかこの曲でステージに上がりたい」という夢が今でもぼくを見張ってる。