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ナルシスト

「己のことしか考えぬものは己をも滅ぼす者だ」
黒澤明監督の七人の侍での勘兵衛のことば。
ただ人は多かれ少なかれまず先に己のことを考えるもので、勘兵衛の場合、三軒の離れと20の家を天秤にかけると20守るっしょ。という場面で三軒側の家主がそりゃないぜと反対したときに放った言葉だ。私はこの言葉が耳から離れない。
現代で己のことしか考えぬ者とはナルシストといわれ、うぬぼれ屋、自己チューと蔑まれる。そして私自身もそうであろうと思うからだ。
はじめての精神科の問診で、自分がなにか特別な力でも持っているような特別感を抱くときがあるか?と聞かれた。もちろんあったが、もちろん嘘をついた。「そんなことはない」と。なぜか?恥ずかしいからだ。アラフォー無職で、おれはまだ本気だしてないだけ。みたいな感じをリアルに体現してしまっているのだ。思わず嘘をついた。ナルシストである。
すこしでも良い人に見られたい。無職、アラフォー。婚活などした日には即ふるい落とされる音が聞こえる。無職、アラフォー。もう駄目だと思うことはいままで何度でもあった。ヒロトの歌声が聞こえる。無職、アラフォー。それにいま、双極性障害がプラスされようとしている。
嘘をついたにも関わらず、双極性障害だと診断が下った。後日、実はそういう時もあると伝えた。小声で。

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