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小学生に研究の楽しさを講演しに行った話

就実小学校から、ぜひ生徒に研究の楽しさを伝えてほしいという依頼がきました。受験で忙しいだろうけど、もしよかったらやってみない?

教頭先生

 教頭先生からこう伝えられて、初めに思ったことは「すっごい楽しそう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」でした。小学生の前でプレゼンをする機会は今までになかったので、どんな経験ができるかわくわくが止まりませんでした。

 私は秒で快諾しました。テスト週間より二度とできないであろう経験の方が人生において優先順位が高かったからです。

 早速プレゼンを作ろう….そう思った矢先、困ったことが。

小学生相手に

どこまで話せばよいのだろうか


 40分授業、話す時間は質疑応答の時間も考えて最長30分。30分で研究の楽しさを、小学生にとって理解できるように話さなければならない。また、読むことができる漢字も高校生に比べて少なく難しすぎる言葉はわからない

 どこまでかみ砕けばいいのか、そしてどんな内容が一番楽しいのか。本番三日前くらいまで構想を空き時間に練っていました。

 本番二週間前、まずは小学校の先生や生徒がどんな話を聞きたいのか、需要を聞いてみました。すると、問いの見つけ方や調べる段階での手法、困ったときにした行動についてぜひお聞きしたいとのことでした。軸はこの三つで行くことが決定。

 そして問題はどう小学生に楽しさを伝えるか。私は「研究」の題材が意外と身近にあふれていること、そして研究は難しく苦しいものではなくて、もっと自由であることを伝えたい。そう考えていました。

 問いを見つけるといって、SDGsや環境改善、貧困解消など解決が難しいことばかりを最初に考え、「大きく役に立たなきゃ」と思っている生徒がとても多くいます。高校生でもそうです。そうではない、初めから役に立とうとしなくていい。研究をしていく中で、興味をもちどんどん深める中で自然と役にたつようになっている。そう思っています。

 私にとって研究の種とは「感情」だと思っています。もっとうまくなりたい…という向上心や本当にそうなのかという疑心。そして「めんどくさい」という感情は研究や開発の宝庫

 めんどくさいという感情を生み出す事象は、倦怠感や食欲不振、そして達成感を手放し生き甲斐を失う原因になることを、私は今までの自助具開発で知っていました。

 小学生が自分事のように考えるような話…。そこで私は学校で超身近な例を出してみることに。それは

宿題がめんどくさい


 これでした。小学生にはまず、「宿題ってめんどくさい。早く終わらせたいよね。」というと「あ~」「たしかに」という声がたくさん聞こえました。ここで私はこんな問いを投げかけてみました。

 部首だけをばばばって書いて、後から左をばばばって埋める。「約」で言うと糸へんだけばばばって書いて、後で右をばばばって書く方法。皆さん一度はやったことありませんか?

 皆さんは、この方法が「速いと感じる」からやるんですよね。これ、本当に速いのでしょうか?

 という問いを小学生に投げかけました。小学生どうやら共感しているようで、あちらこちらから話し声が聞こえていました。私の狙い通り、自然と隣の人同士と会話が生まれていました。隣の人とすぐに議論が生まれる、これこそが講演という方法の良さです。

 この例を使って、研究の仕方や考察の仕方、そして異なるアプローチの仕方などを自然と流れにのって学ぶことができるような構成にしました。

 また、研究のその後についてもお話しました。ぜひコンテストに出てみようということ。そしてもっとよくなるスライドのデザインや、話し方を実例とともに話しました。

 当初の話では30分くらい話していただければ…ということでしたが、きっと小学生はたくさん聞きたいお年頃。プレゼンは、質疑応答の議論が生まれることで成り立つ。そう考えているので、できるだけ簡潔かつ中身が豊富で、質問がたくさんできるように17分で話しました。どはは。

 想像通り、20分くらいの質問タイムは大盛況で、たくさんの小学生の悩みに答えました。どの質問も鋭くかつ研究に対して日ごろから真剣に向き合っているのだなという印象を持ちました。本当に小学生???みたいな鋭すぎる質問もあって、こちらも楽しめました。

 今回のプレゼンは、「難しすぎず、簡単すぎず」を心がけながら研究の楽しさを身近な例で伝えました。一つ一つの表現にもこだわりました。例えば「やってみるといいこと」ではなく「もっとたのしくなるポイント」にしてみたり、「もっとよくなるプレゼン」など。生徒たちの世界を広げることを意識しました。

 全体的に思っている以上に大盛況だったので、本当に最後までこだわってよかったです。次回また小学生に話すことがあったら、もっと生徒に話す機会をあげよう。もっと面白い体験型の講演になる。向上心はいつまでも止まりません。プレゼンが、とんでもなく大好きだから。


就実小学校の皆様へ

 この度は、小学生に対してプレゼンをするという貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。明るく元気はつらつな小学生から、私もパワーをもらいました。

なんでも試してみよう。
動いてみよう。
それが研究の楽しさだ。

最後のスライドに書いた言葉

 わくわくが止まらない研究をぜひ。陰ながら応援しております。誠にありがとうございました。


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はら みゆい
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