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足跡 ~GREENable HIRUZEN~

 実体験や旅行記を、足跡を辿るように書き残す。
 また辿れるように。

自然を肌で感じるとは


自然を肌で感じる


とは何なのだろうか。「自然」というものは視界に入りきらない、とてつもなく巨大な空間である。自然の中にいるというのに、その存在を全て捉えることは難しい。

 自然の中で過ごすことが当たり前の人類にとって、自然を再認識したいと思う衝動はなぜ起こるのだろうか。自然を感じたいという私の中の突発的な感情を解消するべく、向かったのは蒜山であった。

ずっと気になっていたGREENable HIRUZEN

アンバランスの中にある調和の美しさ
年月が経つほど木の色も味がでてくる

蒜山の広大な緑地に、そびえ立つ一つのパビリオンがあった。その名も「GREENable HIRUZEN」。このひし形の木のピースが等間隔に重なっている建物。この木のピースは蒜山に生い茂るヒノキを使っている。ヒノキは触るとどこか暖かくて、なつかしい気持ちに浸ることができる。

蒜山に訪れるたびに視界に映っていたのだが、今まで行く機会はなかった。実際に行ってみると、車の窓から見ていたときとは全く違う、迫力と、心地の良い風と、そしてヒノキの心地よさがあった。

雨の日のしっとりヒノキ

この日は雨だったので、少し特別なGREENable HIRUZENを感じることができた。触ってみると少ししっとりしていたが、感触は暖かくて、柔らかかった。遠くから見る分には、どっしりと硬そうだったのにふわふわしていた。

一枚の葉っぱのようなヒノキのピースが、規則性の読み取りにくいデザインで積み上げられている。この不思議な空間を下から見上げる、空に浮くような感覚は今でも忘れられない。

ヒノキの香りと蒜山の吹き抜ける心地よい風、そして雨の日ならではの植物の匂い。ここにあるもの全てが蒜山とハーモニーを奏でているようであった。

でかい

作品の仕組みとストーリーに感動

 実はこの建物、見えているものが全てではない。この木のピースや付近にある椅子、家具など全て「一枚の板材」からパーツが出来上がっている。

このように木を積み上げ釘でとめる作品が多く見られた

GREENable HIRUZENのデザインには、木の小さな板材をパズルのように組み上げて大きなものを作っているものが比較的多かった。

 ジェンガみたいに木目を横と縦…交互に積み上げていくことで強度が上がるのは分かるのだが、実際に見てみると崩れないか不安になる。

 建物の中にある椅子も実に芸術的な形をしていた。どうしてその形状で横方向からの力に耐えることができるのか不思議でたまらなかった。思うに、GREENable HIRUZENは「パズル」のように木を一つの小さなピースに見立てて、一つの大きなものを創り上げているものが多く見られた。

一つの板材から生み出されるヒノキの作品たち

この解説のピースを最後に見たときには、鳥肌が止まらなかった。小さなパーツを組み立てて作られていた理由が判明して、プロセスの美しさに対する感動も止まらなった。

 サステナブルの価値…というよりかはサステナブルの美しさがこのピース一枚から溢れ出していた。

蒜山から東京へ、そして蒜山へ。

 このパビリオン、2020年12月頃は東京・晴海へ旅をしていた。その名も「CLT Park Harumi」。真庭市の工場で作られたあと、都会の東京、晴海で使われたあとに、真庭の緑地に再び帰郷…いわば里帰りしている。

「どうやったら自然の中に人が戻ることができるか」を考えて設計した。

隈研吾

どうやったら自然の中に戻ることができるのか。それも無意識のうちに。そこに立ち寄れば、生活と自然の淡いグラデーションのように、自然の豊かさを肌で感じることができる。移り変わる境界線なんてわからない。いつの間にか自然と一体化できる。それがよい。

自然を肌で感じるというからわからないのだ。自然は肌で、香りで、音で、視覚で、味で。五感すべてで感じることができる蒜山「GREENable HIRUZEN」。ふらっと立ち寄ればたちまち、物思いにふけることができます。

おまけ

 味で感じるといいましたが、道の駅で買うことができる大根や近辺にあるもっちりうどん屋さんのうどんすごい美味しかったです。つゆは甘すぎず濃すぎず。平べったくてコシのあるうどんです。

またジャージーランドで買うことができる抹茶アイスはとんでもなくおいしいです。ぜひ。

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はら みゆい
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