つぶやき 〜アメリカの中学校の食育が興味深い〜
ふと、目にした文章や事象を反芻している。そんなつぶやき。
前回のつぶやきはこちら。
英語の教科書に載っている「The Edible Schoolyard」
高3の英語の教科書には、勉強になるだけでなく興味深い内容が書かれていることがある。今回気になったのは「The Edible Schoolyard」、食べることができる校庭という話である。
この話の内容を端的に表現するならば、「アメリカの中学校で運営されている食育プログラム」についてである。学校で一から生徒と教員が一緒になって、校庭を畑に開拓していく。そしてそこで育てた作物を学校内にあるキッチンで「あらゆる教科を融合して」料理にしていく。そんな教育プログラムである。
ざっとこの英語の物語を要約
このEdible Schoolyard のプロジェクトは、アメリカのBerkeley(バークレー)にあるMartin Luther King, Jr.Middle Schoolという中学校で、非営利で運営されている。
このプロジェクトの目的は「学校の授業と食育の融合させ、子どもたちが食事の栄養、コミュニティ、土地の管理という価値観を理解する」こと。
実践型の授業であり、生徒と教員が畑作りからともに行い、収穫後キッチンで料理するだけでなく、演劇や数学、言語学と融合し学ぶことができる。
持続可能な生き方をするための知性を学び、菜園を感覚を肌で感じることができる革新的なカリキュラムである。
気になって調べてみた
教科書で知るだけでは情報が少なかったので、実際に調べてみることにした。どうやらアメリカだけでなく、日本にも「Edible schoolyard Japan(ESYJ)」というものがあるらしい。
ESYJが運営している食と農・子どもたちの自然学校「アーススコーレ」では、何もなかった都会のコンクリートの屋上に食べられる森を作ることができるか、というチャレンジを子どもと大人がいっしょになって活動している。
2024年では今や100を超える植物が育っているそうで、食べることができるだけでなく、たくさんの生き物が訪れる場所になっているそう。
また東京都多摩市立愛和小学校では2014年からEdible Schoolyardの日本におけるモデル校として、「ともに育て、ともに食べる、いのちのつながりを学ぶ教育」を総合的な学習として取り入れている。
実体験ならではの生徒たちの気付きや探求が盛り沢山なので、ぜひ教育に興味のある方は一読してもらいたい。
私が経験した小学校の食育
日本では2005年から食育基本法が、2006年から食育推進基本計画が制定され、子どもたちが食に関する正しい知識と食習慣を身につけるよう学校での取り組みが強化された..はずであった。
正直、私の中では記憶にあまり残っていない。
小学校で野菜を植えてトマトの様子を観察したり、食べたりしたものの、ほぼ強制的な「宿題」としてやらされ、いつの間にかトマトができていただけの浅さだったので何も心に残ることはなかった。
何より、あくまで「個人」の所有物のように野菜を育てるのでコミュニケーションも何もなかった。だから本当にただ時がすぎてトマトができるだけだった。
食べることが苦手な生徒には「食べるまで帰らせない」なんてことが多々あったし、こんな食事の何が楽しいんだろうと子どもながらに思っていた。
私が経験した食育とは大違いで…何より写真に映る子どもと教員の笑顔が輝いていた。形式だけの食育では学ぶことのできない、一から畑を作って作物を育てて料理する…実体験ならではの学びをしてみたかった。
一から畑を作ると聞くとめんどくさそうに思えるが、生物部で畑を耕してからさつまいもを育てる経験をした私は、一つだけ言える。
やってみないとわからない
やってみるまで、それが楽しいかどうかなんてわからない。やってみる。その一歩を踏むだけで、意外と体が自然と動いて、意外とたのしい。さつまいものときは、本当に楽しかった。
また、生徒と教員が対等な関係で、一緒に畑を耕して一緒に食べることができるEdible schoolyardの取り組みは、生徒と教員という「権力の上下関係で離れてしまっている」関係性を近づけるコミュニティとしても役に立つだろう。
私が思ったちょっとした課題
これを読みながら一つ、課題に気づいた。それは「学校の大小」である。Edible Schoolyardはいわば学校に農園があったり、調理場があったりするそれなりに大きい学校でないとできない。これだけでは学校によって「食育の格差」が起きてしまう。相当なお金を持っていなければ、元の学校を改装して畑にするようなことはできない。
私の小論文の視点に、それによって格差が生まれないかということが追加された。
小さい学校ではどんな食育をしているのか。少し気になります。
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