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私と人志①「引きと寄りの視点」
松本人志の引きの視点
ナイツの塙が最初に松本人志から衝撃を受けたのは、漫才ではなくクイズ番組に出演するダウンタウンを見た時だったという。
私と松本人志のファーストコンタクトがいつだったのか正確には覚えていないが、最初にはっきりと衝撃を受けたのはやはりクイズ番組だった。
番組は恐らく『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(1988~1996、日本テレビ)だったと思う。私は小学生だったは
『オッペンハイマー』の辛さ〜あいまいでなかった日本の私〜
こんなに辛いとは
待ちに待った『オッペンハイマー』。しかし上映中、私の心は引き裂かれそうに重苦しく、観賞後しばらくは具合が悪くなってしまった。どちらかといえば「国」という枠組みの煩わしさから距離を取るように生きてきたので、自分がこのような反応をしたことが自分でも意外だった。
こんなことになってしまったのは、劇中の登場人物たちが日本人にとって辛い発言や態度を見せたからではない。それはあの時代を描
明日のアー本公演vol.7『そして聖なる飲み会へ』
初日、12/10の夜公演。以下、感想を忘れないうちに覚書として。
パンフレット冒頭の挨拶文に「飲み会」「ノリ」という言葉があるように、終始ノリで笑った80分だった。今年7月のアーの演劇『一つきりの夜に』は観劇中ずっと頭をフル回転させながら見ていたのに、ラストでエモーショナルな地平に連れていかれた。一方、今回の公演は笑いながらも最後の最後では突き放されたような印象を受けた。
それは、本公演自体が
ドーナツを描くと言われた日
「明日の図画の授業は、ドーナツの絵を描きます。なので、必ず明日は見本となるドーナツを持ってくるように!」
私がまだ小学生だったある日の帰りの会。先生が唐突に変わった課題を出した。(そうかー、ドーナツの絵を描くのかー。楽しそうだな)。
しかし子供はすぐに忘れる。家に帰るが早いか再び外に飛び出し、クタクタになるまで遊び倒す。五時を告げる『夕焼け小焼け』のチャイムが町に鳴り響く頃には、ドーナツの事な
トークイベントでの惨劇
昔、学生主催のトークイベントを見に行った時のことである。
学生主催とはいえ登壇者は魅力的な人選で(だからこそ私も行ったのだが)、仕事が終わってから急いで会場に向かった。
第一部開始直前になんとか間に合い、椅子に座って息を整えているとトークイベントが始まった。しかし、議論は盛り上がりそうになるのだが、いかんせん主催者である学生の覇気がなく、受け答えも要領を得ない。
どこか不完全燃焼感を残したま
『アメ車のボンネットはバンバンと叩かれた』
15年という年月があれば、我々はどれだけのことを成し遂げられるだろう?
私は大学を卒業した後、20代半ばで夜間の調理師学校に入学した。仕事を終えた後に急いで自転車を漕ぎ、学校に向かう日々。調理実習はともかく、座学の授業中は眠気を堪えながら必死にノートを取った。しかしそれが辛い日々だったかというと全くそんなことはなかった。
夜間部には10代から70代まで幅広い年齢層が通ってくるが、昼間部と違い「
『スパイダーマンホームカミング』の“あの曲”について
※以下、『スパイダーマン ホームカミング』のネタバレ含みます。
『スパイダーマン ホームカミング(以下『ホームカミング』)』を見てきた。個人的には面白くもあり、不満もあり、あの名作『コップ・カー』の監督作としては…という感じだった(しかし僕は基本的にどんな映画を見ても面白いと感じる人間なので、その意味ではもう全然大満足!なのだが)。
それでも作中、否応無しに興奮してしまい、鳥肌が立ちまくった場