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コロナ19後のまちづくり、農業における問題意識について


前日の記事で、5年前「まちづくり」「農業」に関する問題意識を述べさせてもらった。
すなわち、
・消費者のライフスタイルは変化(孤食化など)、中食が隆盛し、食文化の継承が途絶えようとしている。
・農業の未来を見据えた政策が打ち出されていない
・まちづくりとは何か?が共有されていない。観光などは手段。ハレーションを起こさずいかにいい手段をとっていけるか。
ということである。

しかし、このコロナ19によって人々の意識は大きく変わるだろう。となると、上記問題の解決手段も大きく変わっていくこととなる。

①コロナ19による人々への影響(食について)

大きく分けて、食事をしようと思うと4つのパターンが考えられる。
(1)外食 
(2)買ってきたものを自宅で食べる(ケータリングも含める)※家で調理と呼ばれる行為が一切ない
(3)半調理品をある程度買ってきて、自宅にてアレンジもしくは盛り付けて食べる(狭義の中食)※家で調理をある程度行う
(4)生鮮品を購入して自宅で調理し、食べる ※家での調理が中心

以上のパターンがどう変わってくるか。それは、それぞれの「世帯」がこのコロナ19後でどう変化するかにもかかわる。

A:一人暮らし世帯 (1)と(2)中心だったものが、(2)(3)にシフトする。ただ、一人暮らし世帯のキッチンはあまりに小さく、(4)には至らない。
B:二人世帯 (3)(4)たまに(1)という現状が、(1)の代わりに(2)へシフトしていく。ある程度高額のケータリングや高級中食を食べるとしたらこの層だろう。
C:子育て世代、3人以上世帯 (3)(4)たまに(1)という現状が、あまり変わらないと考える。ただし、野菜や豚肉鶏肉といった(4)の中心品目、言い換えれば家計を支えていた品目が高騰しつつあり、価格面でシビアな状況になる世帯が増えると予測される。学校に行くことがなくなり給食がない分、消費量も増えている。加えて、経済の不透明さで食費を切り詰めたいというニーズは増えるだろう。日々の食事を考えることがストレスとなる可能性は高い。スーパーは、集客過多を抑えるため、過度な安売りを控えるよう圧力がかかっていることもある(それまで安売りし過ぎた、というのが私の見解でもあるが)

生鮮品の流通をしているものからすると、Cの世帯の食生活の変化が大いに気になるところではある。


②コロナ19による農漁業への影響

現状、外食産業向けの出荷のほとんどが止まっている状態である。野菜は収穫しないわけにはいかず、養殖魚などは餌をやらないわけにはいかず。産地で捨てられるか、都会に安く買いたたかれている状況である(結果、ますます産地は都会に供給せず、都会で生鮮品が高騰している)。
農業漁業には災害に対応したある程度補償融資などがあるが、それを適用されるようになれば、ある程度の支えにはなる(というより、しないと事業者がもたない)。長期化した影響は後程。

③コロナ19によるまちづくりへの影響

観光客の減少は言わずもがななれど、それが回していた経済の影響が大きくなってきている。雇用の減少によるダメージは大きい。生活必需品を買おうにも、地域の小規模事業者はほぼ絶滅している状態だったので、イオンモールや街道沿いのスーパーに人が集中する(しかしこれは地域にお金が回るものではない)。観光産業が停止している間、まちはどうやって稼ぐのかという課題にさらされている。
人の移動が減り、ただでさえ経営が厳しい地方路線、バス路線、タクシー会社などは軒並み崩壊する可能性が高くなっている。


現状がこうであるが、コロナ19がワクチンの開発などである程度抑えが利くようになっても根絶するとは思えず、今後こういう視点が大切であると考える。

① 食産業、農水産業についての今後

外食産業は軒並み大きな影響を受けた。いままで飲食店を経営するうえで大切だったのが「場所」「回転率」「人材の確保」だったが、今後、密接した狭い場所で食べる人は、地域の人観光客問わず敬遠していく傾向になるだろう。衛生管理が飲食店を選ぶキーワードになってくる。すると、地代の高い場所での飲食店は高い回転率(あるいは高い単価)を必須とするため、かなりの飲食店が淘汰される。季節雇用や臨時雇用(アルバイト)によって支えられていた人材は、その不安定さから敬遠されるようになり、最低限の正社員スタッフで回せるお店が生き残りやすくなるであろう。そのため、ホールと厨房という区分けではなく、厨房もホールもできる人材の育成、レジの簡素化、小さいながらもセントラルキッチンによる調理の外部化(店頭での提供品質は落とさずに)がキーワードとなっていく。このあたりは徳島駅地下にある「NARUTO BASE」がひな型となっていくと予想している。

一方、生鮮品販売はある程度需要が高まるかと思うが、先に述べたように、料理をいろいろ考えていくことがストレスになっていくことを考えると、宅配業者、よりバージョンアップした中食や、カット野菜のバリエーションが増えると思われる。しかし、これは農漁業にとって必ずしもいい傾向ではない。こういった加工業者に納入できる農家は規模や品質面でいっても限られる。なので、ある程度小さい規模の農業者でも、こういった商品向けに野菜を購入してくれるような加工業者への働きかけが必用と考える。すでに、国産野菜を加工業者が使おうとした場合、拡大しようとするとコストは上がる傾向がみられる(ふつうは規模の経済が働いて仕入れ価格が下げられるかと思いきや、すでにひっ迫しているので量を多く仕入れようとすると、ほかの業者より高い値段を提示しないと買えないのである)。料理を自宅でなるべくしない(解放)分のコストを、消費者が支払うことができるか。その部分への啓蒙活動が必要となっていくだろう。

②まちづくりの今後(地方都市を中心に)

先に述べたように、まちの経済において観光業はもはやなくてはならないものである。しかしこれからは大量の観光客が訪れるような仕組みは敬遠されることになるだろう。今まで以上にFITが重視されるようになるだろう。
しかし、それとて数は期待できない。単価を向上させるといっても限界がある。
地域がいかに生き残っていくかという視点で考えれば、「地域内経済循環」をより強く意識していく必要に駆られていくだろう。市域外の巨大イオンモールに行くのではなく、地域内の地場スーパーで地域の産物を中心に消費する生活をどれだけ作れるか。
ある意味、都会への一極集中はリスクであるという意識が増えてくるのはチャンスである。いままで、レジャー施設や最先端のファッションなど、若者が集まりたい場所は都会であった。しかし、人の集まりはこれから何らかの制約が出てくる。多くのイベントはオンライン化し、距離の制約がなくなる。大学の授業もオンライン化していく。若い人が都会に出なくても楽しめる、学べる環境が整いつつある。
「地域内経済循環」がより広い分野で実現していけば、多くの人材が都会から戻ってくることにもつながる。地方における農や食産業を巻き込んだ副業、複業の取り組みがその流れを作るにあたり必須となっていくと考える。

コロナ19後のライフスタイルについては、また今後も追及していきたい。

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