夫婦別姓 ポリタスTVでの議論は?
海外在住の6人の友人たちと書いた夫婦別姓の各国事情の本。津田大介さんのポリタスTVで、日本における選択制夫婦別姓の導入を粘り強く訴えている井田奈穂さんを交え、数人の著者が参加した番組が配信されました。本のまとめ役も務めたベルギーの栗田さん、フランスのプラドさん、中国から斎藤さんが参加してくれました。かなり中身の濃い番組になったのだけど、海外在住の著者たちが番組で披露した意見や、それに対する津田さんの見解も面白いので、よかったら観てみて。
この本は、各国で夫婦別姓を法的にどう扱っているかだけじゃなくて、歴史的な女性の地位などジェンダー問題にも踏み込んで書いています。洋の東西を問わず、男性優位の歴史は共通しているのよね。もっともアメリカ建国以前に、すでにアメリカ大陸に住んでいた先住民族のアメリカインディアンは母系社会で、女性もコミュニティーで大きな役割を担っていて、日本だって6世紀末から8世紀後半には何人もの女性天皇がいたことを考えれば、「これが絶対不変」なんて社会の形はないんだろうと思う。
アメリカも結構「社会はこうあるべき」という考えを維持したい保守的な人が多いのだけど、それよりも「自分はこうしたい」、「自分が生きたいように生きる自由は保障されるべき」という主張の方が強いので、それに合わせて少しずつだけど、社会の形も常に変わっていく。
日本だと「男女の役割はこうであるべき」と世間が考える姿が根底にあって、それに合わせるのに疲れちゃう人やそれだと生きづらいと思う人の居場所がなくなって、かといって声を上げたら叩かれるっていう状況が続いているのではないかしら。
私はどっぷり昭和世代で、私の父はさらに時代錯誤な人で、私が子供のころ「女の子は勉強などすると嫁の貰い手がなくなるから中学まででいい」と言い放った人だった。自由な気風の母がその父とさっさと離婚してくれたおかげで、私は大学にも行ったし、就職もしたし、自分でお金を貯めてアメリカで大学院にもいった。
結婚は30代半ばすぎ(ちなみに夫婦別姓、上の写真が結婚許可書の一部)で、アメリカ人の配偶者は経済力なしだけど、音楽を作ることと料理を作る&食べることでハッピーになるという人。なので二人の生活を支えるため、私は希望とはちょっと違う昭和の会社員っぽい生活を続け、子供は持たない人生になった。
昭和の時代錯誤な人は「日本女性にあるまじき」と、眉をひそめる選択かもしれないけど、私はおおむねハッピーだし、配偶者もハッピーそうだし、アメリカじゃ人の生活にとやかく言う「世間」はないし。だから私はアメリカ社会に文句を言いながらも、ここで生活しているんだろうな。
日本の「選択的夫婦別姓」の問題も、日本の社会がどうあるべきかと大上段に構えた議論じゃなくて、一人でも多くの人が自分が好きなように生きていくにはどうしたらいいかって考える方がいいんじゃないかなと思う。私たちが書いた本も、各国で著者たちはこんな風に生きていて、結婚や姓についてこんな経緯があったんですよという雑学的なエッセイでもあるので、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
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