片瀬ケイ@ダラス、テキサス

在米のライター、翻訳者。日常のどうでもいいような、どうでもよくないこと。とりあえず書い…

片瀬ケイ@ダラス、テキサス

在米のライター、翻訳者。日常のどうでもいいような、どうでもよくないこと。とりあえず書いておこう。Yahoo!ニュース エキスパートのブログはこちら→https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/katasekei

最近の記事

みんな自分のことしかわからない

さて、アメリカには再びドナルド・トランプ大統領が戻ってくる。私はトランプ大統領のファンじゃないし、ぜんぜん安心できないのだけど、2016年の大統領選直後に比べればパニック・アタックを起こしそうな気分まではいっていない。 なぜかと言えば、前回のトランプ政権時もアメリカに住んでいた経験者なので。私に言わせれば、絶望しそうなほど滅茶苦茶なことがおきたけど、国が崩壊することはなかった(まあ、崩壊への歩みを進めたとは思うけど)。 民主党が大負けした理由について、左派のバーニー・サン

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      アメリカのまともなハロウィーンの夕べ

      • 暗示の効果はいかに?

        3週間にわたる日本の秋(?)の母詣でを終えて、アメリカに戻ってきた。私の母は、2年前から民間のホスピス型高齢者施設に入所している。当時は、昼夜の区別がつかないなどの認知機能障害があり、一人ではベッドから起きられないほど体力も落ちていた。体調を崩して入院した後は、抗がん剤も終了(母は大腸がん)となり、もう一人暮らしは無理だった。 母は長年、一人で気ままに暮らしていたので、施設へ入所した当初は「なぜここに閉じ込められるのか」と不満を漏らし、家に帰るべく荷物をまとめていたこともあ

        • 異次元の日本人

          高齢者施設にいる母の様子を見るために、一時帰国している。滞在場所は東京の実家、といっても今は母がいなくなった古い団地だ。私は30代初めまで日本に住んでいたし、この2年ほどは母の介護問題で頻繁に日本に来ていたのだが、どうも溶け込めていないような気がする。 例えば今日は地下鉄にのって出かけたんだけど、文庫本を読んでいるのは私一人で、みんなスマホを眺めていた。しかも私が読んでいた文庫本は、実家に置いてあったかつての私の蔵書(?)で、景山民夫さんの文に、週刊朝日を後ろから開かせる男

        みんな自分のことしかわからない

          ジミー・カーター元大統領とウチの母

          いやあ、アメリカのジミー・カーター元大統領とウチの母を同じ行に並べるのは、ちょっとおこがましいのだけれど、いささかの共通点はある。第39代アメリカ大統領をつとめたカーター氏。退任後も国内では貧困層のための住宅建設ボランティアで自ら木材を運び、平和活動や医療の向上で世界中を飛び回った(ここは母とぜんぜん違う)。 上の写真は2015年8月20日に皮膚がんのメラノーマが体内に転移していることを発表した時のもの(Credit: The Carter Center提供)。この時すでに

          ジミー・カーター元大統領とウチの母

          旅する練習

          いやー、一昔前なら高齢者にカテゴリーされていた還暦のワタシ。アメリカに住んでいるので、日ごろは周囲から年齢を意識させられるようなことはないのだけど、自分自身の意識の中で「やっぱ、年だわ」と感じることが増えた。 30代で「オズの魔法使い」くらいしか日本人には知られていない州に大学院留学でやってきて、卒業後は労働ビザを取るためにミシガン州で奴隷労働。内気で貧乏なアメリカ人ミュージシャンと結婚することになり、テキサス州に移り住んで、生活を支えるために労働者生活を続けた。 こんな

          夏の終わりの快挙!

          高齢者施設で、クッキー・モンスターとなっている88歳の母。認知機能に難ありで、大腸がん患者なのに、なぜか食欲旺盛でおやつの要求が激しい。部屋でやることがないから、食べるしかないと言い訳をするので、「塗り絵でもやる?」と聞いてみた。「やる!」という元気な返事は戻ってきたが、あまり期待はしていなかった。 1年ほど前だったか、塗り絵をやりたいと母が言うので、はりきって豪華50色の色鉛筆セットと、趣や難易度の違う塗り絵ブック3冊をすぐに送った。本にそのまま塗りたくないというので、施

          ミッシェル・オバマさんの演説を聞いて、アメリカらしさを思い出した

          アメリカでは民主党の正式な大統領候補者を指名するための全国大会が行われている。久しぶりにミッシェル・オバマさんの演説を聞いて、スカッとした気分になった。 相変わらずよく通る声で、いかにも胆力があるって感じ。繰り返し訴えるのは、「良識と思いやりをもって、誰もが自分なりの成功や幸せをつかむチャンスがある社会」、そして「仕事や生き方、誰を愛するか、誰と結婚するか、何を信じるかを一人ひとりが自由に決めて、それをお互いが尊重する社会に向かって進んでいこう」ということ。 民主党がいつ

          ミッシェル・オバマさんの演説を聞いて、アメリカらしさを思い出した

          予防接種も費用対効果だって

          米国は8月がワクチン啓発月間! 日本と比べて健康診断のメニューは貧弱だし、人間ドックなんて概念はなくて、医療費が超お高い米国だが、予防接種に関しては太っ腹なところがある。たいていのものは、自己負担なしで接種できる。 私も重い腰を上げ、近所の薬局で帯状疱疹の予防注射を受けてきた。薬剤師さんに、「ポテトもいかがですか?」というノリで、「一緒に、インフルエンザの予防接種もどう?」と聞かれた。2種類(ワクチンの種類によってはそれ以上でも!)の予防接種を一度に打っても「安全で効果に影

          予防接種も費用対効果だって

          母はクッキーモンスター

           高齢(88歳)で、認知障害があって、がん終末期(のはず)で、ホスピス型高齢者施設に入っている母。気力も体力も緩やかに下降を続け、施設内の廊下を歩いたりする以外は、テレビを見るしかやることがないとぼやき続けている。そのテレビだって、どれだけ理解できているのか?  折り紙や塗り絵などの道具があっても、自分でやる気はさらさらないようで、「おやつを食べるしか楽しみがない」とのたまう。食欲があるのは、いいことなのだろうけど、本当に消費量が爆上がり。以前はビスコ40個パックが1週間く

          母はクッキーモンスター

          大腸がん(特に直腸がん)が心配な人に覚えておいてほしいこと

           男女ともに大腸がんが増えています。がん検診(検便または大腸内視鏡)でほとんど予防と早期発見ができます。内視鏡は下剤をのむなどの準備があるので敬遠されがちだけど、ポリープの段階なら検査と同時に切除もできて、とても効果的です。  他の臓器に転移する前なら、手術と化学療法や放射線療法で治すことも可能。ただし、肛門に近い直腸にできたがんの手術では、早期であっても、その後に排便障害に悩まされることも多いんです。  今のがん治療では、腫瘍ができた場所だけではなく、腫瘍の特徴を遺伝子レベ

          大腸がん(特に直腸がん)が心配な人に覚えておいてほしいこと

          6月は子宮体がん啓発月間です

          同じ子宮のがんでも、子宮頸がんと子宮体がんはぜんぜん違うって知っていますか? 子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)が原因ですが、子宮体がんはエストロゲン(女性ホルモン)に影響されるので、HPVワクチンでは効果がないし、自治体がやっている子宮がん検診(これは子宮頸がんの検診)では発見できないんです。 日本はHPVワクチンの接種率が低いので、今も子宮頸がんによって年間3000人近い女性が死亡していますが、近年では子宮体がんによる死亡数もそれに近い水準まで上がっています

          6月は子宮体がん啓発月間です

          オパル・リーさん、97歳。日本に行くってよ。

          この人、「ジューンティーンス」6月19日をアメリカ合衆国連邦の11番目の祝日にする原動力となった超パワフルな女性。奴隷制度を守りたい南部テキサス州では、リンカーン大統領の奴隷解放宣言のニュースが伝わるのも遅くて、実際に黒人奴隷が解放されたのは、奴隷解放宣言から2年半以上すぎたあと。 「ジューンティーンスのおばあちゃん」とも呼ばれるオパル・リーさんは、ずっと自由の大切さをみんなに訴えてきた。円安も関係あるかもだけど、とにかくアメリカ国内だけじゃなくて世界にも「自由の尊さ」を訴

          オパル・リーさん、97歳。日本に行くってよ。

          私は母の恩人なのか?

           今年の5月は、母にとってスペシャルな月だ。私はアメリカにいるが、日本の施設にいる母とは、1日おきに見守りカメラ経由で話す。母は大腸がんでもう抗がん剤も効き目がなくなって、ホスピス型老人施設に入ったのだけど、なんだか元気にしている。認知症もあるけど、話を合わせるのが上手い人なので、スムーズに会話できる時がけっこうある。  「今月は3つお祝いがあるじゃん。母の日でしょ、誕生日でしょ、それに米寿だね」と私が言うと、「あんたが送ってくれた母の日のクッキーが届いたよ」との返事。すご

          5月8日は世界卵巣がんデー

          卵巣がんはスクリーニング検査がなくて、自覚症状もお腹がでてきたとか、ちょっと食べただけで膨満感とか、腰痛や尿トラブルとかわかりにくくて、受診が遅れがち。結果的に診断された時にはすでに進行しているケースが多いので、要注意です。 婦人科検診というのは、子宮頸がんを見つける検査で、卵巣がんも子宮体がんも見つけることはできません。今日、5月8日は、そんな卵巣がんについて知ってほしいと、世界各地の卵巣がん患者団体が啓発活動を行う日。 日本でも「卵巣がん体験者の会スマイリー」が、卵巣

          5月8日は世界卵巣がんデー