神社を読み解く基礎知識
神社を読み解く基礎知識
神様の種類
1 自然神
山や川、巨石(磐座・いわくら)といった、自然そのものを神として崇める原始的な信仰。
2 祖霊神
一族の先祖を神として祀る信仰。派生形として偉人を祀るもの(豊臣秀吉=豊国大明神など)がある。
3 怨霊(おんりょう)神
以下で詳しく説明
怨霊信仰(≒御霊(ごりょう)信仰)
端的に言うと怨霊神とは「恨みを呑んで亡くなった人物、あるいは一族のアイコン」です。正攻法ではなく、汚い手段(騙し討ちや色仕掛け、讒言など)で負けた、「歴史の敗者」と考えれば分かりやすいかと思います(あくまでも祟る相手は歴史の勝者=権力者)。
そんな怨霊を手厚く祀ることで味方に付けることができるという、なんとも都合のいい信仰が「御霊信仰」です。
余談ですがこの御霊信仰、実は近代にまで影響を及ぼしています。そこから近代日本史最大のタブー(かも知れない)話に繋がるのですが、それはまた別の機会に。
怨霊神を祀る神社の構造的特徴
怨霊神を祀る神社には、幾つかの特徴があります。その中でも分かりやすいものをご紹介します。
1 橋を渡る
橋を渡った先、つまり境内を彼岸(あの世)と考え、此岸(この世)に怨霊が出て来ないようにする、一種の結界装置。
2 参道が曲がっている
怨霊は真っ直ぐしか進めないという信仰があり、わざと参道を曲げておくことで怨霊が境内から出て来ないようにする、こちらも結界装置のひとつ。同じ理由で、本殿の正面に塀などの障害物がある場合もあります。
3 本殿が柵などで囲われている
見た目の通り、怨霊神を封じ込める檻・牢屋のイメージ。
以上の特徴を踏まえて各地の神社を巡ると、意外な発見があるかも知れません。
有名な神社にも、これらの特徴を供えたものが沢山あるのです。
神社の格について
神社の格(社格)の目安として「式内社」というものがあります。『延喜式神名帳』という平安時代に編纂された資料があり、現代風に分かりやすく表現すれば「神社の格付けランキング」です。別格を除く最高ランクである正一位を筆頭に格付けされているのはもちろん、格が低くても式内社である時点で1000年以上の歴史を持つ古社であることは間違いありません。特に重要視されていた神社を「名神大社」といいます。
これとは別に中世以降の「一之宮」などの表記も参考になります。ただし、必ずしも延喜式の社格とは一致しない場合があり、例えば尾張国一之宮の真清田神社は「正四位上」です。
「ご利益」について
神社といえば、「ご利益」は付き物ですよね。近年の後付けやこじつけも山ほどあるので一概には言えませんが、基本的に「ご利益」の設定には法則があります。それは御祭神が「奪われたもの、叶わなかったことの裏返し」という法則です。
例えば、恋しい人を引き裂かれた神様は恋愛成就、財産を奪われた神様は商売繁盛、家族間の争いで亡くなった神様は家内安全、といった具合です。沢山のご利益がある神社の御祭神は、それだけ多くの悲劇に見舞われたという証左でもあるのです。
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