糸井重里×芦田愛菜の対談を、リクルートのリボンモデルで考える(前編)
2月2日に放送された『SWITCHインタビュー 達人達』糸井重里×芦田愛菜。この対談から今後のヒントが少し見えた気がしました。
対談自体がコピー
糸井さんが希望したと言われる「70歳と14歳の対談」。事前告知や番組冒頭でも、年齢差56歳が話題になっていました。
「おいしい生活」や「想像力と数百円」、そして「4歳と14歳で生きようと思った。」などの名コピーを生み出して来た糸井重里氏。
これまでのコピーや今回の企画を見ると、伝えたい本質を抽出し、周りにある言葉からそれを伝えるのに最適で意外性ある何かと何かを組み合わせる。なので今回の対談もそんな糸井さんらしいコピー(アイデア)だと言えそうです。
そしてこの対談で伝えたかったこととは…。
キレイな花より道に生えてる草
「好きなお花は?」
「キレイな花より道に生えてる草が好きです」
「その答えに辿り着くまでに14年かかったんだね」
冒頭から名人同士の手合わせでも見ているかのような言葉の応酬。好きな花を聞かれているのに抽象度をあげて道に生えているような草が好きだと答える芦田愛菜ちゃん。
謙虚でいるために、頑張り続けるために、自分を重ねながらこういうところに価値観が導かれていった。あるいは、そうありたいと願っている姿勢が垣間見えました。この価値観、この美学。14年でそこに行くかと思います。まっこと恐ろしやです。
精神と時の部屋をDIYする14歳
「出られなかった作品を見て泣いてました」
「挫折は嫌いじゃない」
オーディションで落ちた作品を見て涙する。私がここにいるはずだったと。 普通は辛くて見られません。そして飛び出す「挫折は嫌いじゃない」発言。「好き」ではなくて「嫌いじゃない」という言葉を選ぶセンス。挫折はピーマンか。後から栄養になるとしてもすごい。
これはあきらかに精神と時の部屋をDIYしています。課題をDIYしています。なんということでしょう。ドラゴンボールも劇的ビフォーアフターもびっくりです。それもこれもこれまで乗り越えてきた自負があるからでしょうか。だからこそ「道に生えてる草」なのです。
桜の花に感動し、たくさん散るのを見た
となると気になるのがメンタリティーの源泉です。敬愛なるKZ氏が「すごい人は死生観を持ってる」と最近よく言いますが、芦田愛菜ちゃんのこの『人生前倒し感』の源泉とは。そのヒントは以下の発言に隠されていると思いました。
「最近読むのは『死』について書かれた本とか」
「自分じゃない誰かになるのが好き」
やはり特筆すべきその疑似体験の多さでしょう。まず芸能界という稀有な環境に小さい頃から身を置いていたこと。人の入れ替わりや、大人の圧倒的な努力などを、普通の少女よりもたくさんサンプルを見てきたのだと思います。
次に、演技や読書体験によって『誰かの人生を本気で生きてみた』という体験の多いこと。映画やTVドラマや小説も、命を輝かせるために闇を描くことが多く、その中で感じる恐怖とか孤独が、大切なものの存在に気づかせてくれます。
普通は、歳を重ねるほど経験が増え、人の死や自分の老いや可能性の消失などを経て、いろんな有限性に気づくものだと思いますが、こういった環境の特異さが芦田愛菜ちゃんを強くしたことは間違いないでしょう。レジリエンスや非認知能力の高さを育んだ部分に関しては割愛します…。
と書いて、リボンモデルに行くところで疲れてきたので、次回に持ち越します。お読みいただきありがとうございました。
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