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電楽サロン
2021年10月1日 18:45
扉を開くと紫煙が主より先に出迎えた。 書斎で男は机に向かっていた。解きかけの新聞のクロスワードパズルを隠しきれなかったのは、俺が突然入ってきたからだろう。視線を上げるなり男は煙草を落としかけた。 俺は構わずビニール袋を投げる。 袋が放物線を描く。ペルシャ絨毯にワンバウンドする。袋の中身が転がった。 女の生首だった。眉間に穴をあけ、女はひどく曖昧な表情を浮かべている。男が驚いている間にも冷
2020年9月28日 22:59
「あらら」魅々子の目の前には六芒星の魔法陣。中に鎮座するのは首のない着物の死体。おおっと、殺人事件だ!時間をぐるっと巻き戻そう。サークル活動が終わり、杏子先輩と魅々子はファミレスで夕飯をとっていた。杏子先輩はいつものZARAのフラワープリントワンピース。対する魅々子はいつものラバースーツに鉄仮面。「ねぇ知ってる?」杏子先輩が、差し出すスマホの画面には見知らぬ物体が写っていた。皿に盛られ
2020年7月17日 22:43
かぱっ「ヒヒヒ、ぼくがクローンおにぎりさ」お弁当箱を開けると、いきなりおにぎりが話しかけてきた。「きみだけにとってもこわーい真実を教えてあげよう。でもほんとにこわーい真」かぽっフタをしめると、おにぎりの声はしなくなった。かぱっ「実だからきみは泣いちゃうかも」かぽっかぱっ「しれない。さぁどうする?」「うん、聞かせてよ」「フフフ、きみは命知らずなやつだね。でもでも
2020年1月27日 19:48
6月8日天気:雨 妹の葬儀が終わった。病院に駆けつけてから、葬儀会社との打ち合わせ、出棺。眠るヒマもなく過ぎていった。通夜が終わって、久々に会った友人に心配された。その流れで日記を友人に勧められた。感情の整理のためにはアウトプットが大事なんだそうだ。今日から書いていく。 「事故死です」と珍しくもなさそうに看護師は言っていた。帰り道に煽り運転の車を避けようとして、街路樹に突っ込んだらしい。いまだ