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電楽の短編

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#ダンス

エンの眠るまえに

エンの眠るまえに

 涙が出ない乾季は遠くを見がちになる。青々とした山のふもとでエンが歩いていた。大きな体を揺らす姿がもの珍しいのは3日だけだった。
 ピロティに風が吹く。砂利のすきまで雑草がそよいでいる。午前中よりも涼しくなり、嫌でも文化祭の終わりを感じさせた。
 私たちダンス部のショーケースは無事に終わった。これで三年生は引退する。
 来週から有紗さんは部活に来なくなる。当たり前の事実に、胸の奥が重くなった。有紗

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16ビートの神楽

16ビートの神楽

 「Funk Escape」の3日前、羽田を出て高速道路を車が飛ばしていた。狭い車内だった。後部座席に4人詰めている。背中をかくのもままならない。もっとも、それは助手席から狙う銃口のせいでもあった。
 銃を握る老人は油断がない。がっちりと視線で俺たちの動きを掴んでいた。
 俺は右隣のJJを見る。口髭が汗で濡れ、減らず口は鳴りをひそめていた。
「金か?」
 左隣でポッピン・バズが老人に問いかけた。元

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ダンス剣客、天真剣士と対峙す

ダンス剣客、天真剣士と対峙す

信濃国、仁科の里へ向かう山道はすでに夜の帳が下りていた。
人気のない闇に立つ3人の影と、6匹の狼。
1人は深編笠の素浪人、2人は子供であった。
「怖いよう」
金太が深編笠の袖を掴む。

「大丈夫、大丈夫よ」
もうひとり、お松も気丈に振る舞うも肩が震えている。
「すみません、私たちのために」
お松と金太が狼に襲われかけているのに、この浪人が通りかかったのだ。
狼たちは唸り声をあげ、半円を縮める。

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ブガルー浄土

ブガルー浄土

「踊念仏に足りないのはファンクだ」
ホームステイ初日。ジムは出しぬけに言った。
我が家は時宗の寺院を仕切るかたわら、留学生を受け入れている。そして、来てもらった記念に踊念仏を見学できるのがステイ先に選ばれる理由だった。
踊念仏とは、「南無阿弥陀仏」と唱えながら、一心に踊りまくるアレだ。日本史で耳にしてるはず。
日本に来て、宗教文化も吸収できる。これがウケないわけがない。

それが今、覆されようとし

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