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電楽の短編

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2020年9月の記事一覧

ソは青い空

ソは青い空

「あらら」
魅々子の目の前には六芒星の魔法陣。中に鎮座するのは首のない着物の死体。おおっと、殺人事件だ!
時間をぐるっと巻き戻そう。
サークル活動が終わり、杏子先輩と魅々子はファミレスで夕飯をとっていた。
杏子先輩はいつものZARAのフラワープリントワンピース。対する魅々子はいつものラバースーツに鉄仮面。
「ねぇ知ってる?」
杏子先輩が、差し出すスマホの画面には見知らぬ物体が写っていた。皿に盛られ

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首笛男目撃談

首笛男目撃談

すいません、お冷もらっていいですか?

すいません……ありがとうございます。
…なんというか、どこから話せばいいんだろうな。なかなか迷う。
早く話してほしいのは分かる。俺が呼んだんだからな。でも、コレを話したらどうも病院を勧められそうで……。
いや!いやいやいや!お前を信頼してないわけじゃない。席をたたないでくれ、そうじゃないんだけど…分かった。とにかく話そう。

さっき、首笛男に会った。

本当

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Avoidead blues

Avoidead blues

「死なないための方法か。簡単には教えらんないね。」
ラーメン屋の脂臭いカウンター席の端に、"家具屋"はいた。
余命半年を宣告されたのは先週の月曜。それから死にものぐるいで生きる方法を探し出した。だが、見つかるのはその場しのぎの延命措置ばかり。絶望しかけた俺がようやく見つけたのは「死なない方法」を見つけた男の話だった。
老婆の箪笥の裏に放置してあるようなつなぎに、象ほど細い目。右目は去年義眼にした。

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ブガルー浄土

ブガルー浄土

「踊念仏に足りないのはファンクだ」
ホームステイ初日。ジムは出しぬけに言った。
我が家は時宗の寺院を仕切るかたわら、留学生を受け入れている。そして、来てもらった記念に踊念仏を見学できるのがステイ先に選ばれる理由だった。
踊念仏とは、「南無阿弥陀仏」と唱えながら、一心に踊りまくるアレだ。日本史で耳にしてるはず。
日本に来て、宗教文化も吸収できる。これがウケないわけがない。

それが今、覆されようとし

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街の記憶、いま語る

街の記憶、いま語る

まー、近頃は狂人が街にうろつきまくってたんですわ。もうどこ行っても狂人!玄関出たら、便座を振り回して正座するのを繰り返す男がいましてね。
「オイ、何やってんだ」って聞きましたら、「ノーベル賞不受賞の舞」なんて答えまして。不受賞ってなんだ!もらう前提かい!なんつってね。
そもそも、こんな街からノーベル賞取るやつなんざ生まれねぇよ!なんて思ったもんです。

それから、少し歩いてね、薬局行こうと思ったん

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コンバインvs農夫

コンバインvs農夫

100歳以上の人間が10万人をついに越えた。
右を向いても左を向いても老婆…。そんな日本になってしまったが故に起きた異常な事態かもしれない。
その村は8〜11歳までが人口の8割を占めていた。この時代にこの数字はヤバい。村長が天才でスーパー出生率を叩き出したのか?俺も初めはそう思った。だが現実は違うらしい。
去年の人口は3万人。それがリーマンショックみたいな落差で今年は1万人をもうすぐ割りかけている

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カニ手術

カニ手術

「カニよ……カニになるのよ……あなたは。」
死際にママはそう言った。
でも俺はカニになれてない。
こうして日がな一日デスクワーク。たまに電話をとって昼に飯を食ってなんとなく過ごして帰る。んで何となく寝て起きて同じサイクル。
カニになりたい。でもカニになる時間がない。
嘘。本当はカニになるのも面倒なだけの言い訳だ。本当になりたければ帰り道も手をどうやったらハサミにできるかとか考えてるはず。
路上の石

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