古金工 一匹猿金目貫②
先日手に入れた古金工一匹猿目貫について、今回は体毛部の彫にフォーカスして観察してみます。
なぜ体毛部なのかと言えば、この目貫は一見艶やかな部分が多く、龍目貫などと比較するとあまり凝っていなさそうな印象を受けるのですが、体毛は必要な部分に最小限に入れられている事が伺えます。
当時の人は手長猿は見た事が無くても、日本猿は見た事があるはずで、猿に体毛がびっしりある事は分かっていたはずです。
その体毛を見たままに沢山入れるのではなく、必要な部分に最小限に鏨を入れる事で顔の表情や体のラインに目を行きやすくしているような気もして、作者の技量と感性の高さが伺えるような気がしました。
刀の押形なども地景など目に見える景色全てをそのまま書き込もうとしてかえって伝えたい所が目立たない分かりづらい押形になると聞いた事があります。
入れる所は入れ、入れない所は大胆に省く。
そのバランスが難しい所だと思うのですが、この目貫は上手く表現している気がします。
この目貫の作者については分からないものの、体毛をどこに描くかや、鏨の入れ方が作家の特徴であり作者を特定するヒントになり得ないかと考えた次第です。
今後様々な目貫を観察していく上でも参考になりそうなのでメモしておこうと思います。
・毛を表現する為に鏨を入れている箇所
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