2013年のセンター試験問題に鐔が登場していた
なんと2013年の国語のセンター試験問題に鐔の話が!
(この年の受験生最高か…っ!)
という事でその問題がネットにあったので紹介します。
とても美しい文章で学びが多くありました。
(画像出典:2013年センター試験問題国語)
なんと美しい文章なのだろう。
読んでいると実に奥が深く、心を揺さぶられる文章だった。
今美術館などで拝見できる桃山時代の鐔は大勢の人から見たらただの鉄の塊にしか見えないかもしれないが、その鐔には当時作った人の思想やその鐔を刀に取り付けて命を懸けて戦う武士の精神が刻まれているのだろう。
そこには平和な時代に作られた金工作には見られない何かがある。
一体何を感じその構図にしたのか。
文中にもある通りだと思う。
信家作と言われる或る鐔に、こんな文句が彫られている。
「あら楽や人をも人と思はねば我をも人は人とおもわぬ。」
現代人が、言葉だけを辿って、思わせぶりな文句だとか、拙劣な歌だとか、と言ってみても意味がないのである。(引用元:小林秀雄「鐔」より)
以下がその鐔になります。草書体で彫られています。
(画像出典:大阪歴史博物館 【特別展】 変わり兜×刀装具日記)
「あら楽や人をも人と思はねば我をも人は人とおもわぬ。」とは、「あぁ楽だ。私が人を人と思わないから相手も私の事を人と思わない(故に容赦なく斬れる)」というような意味でしょうか。
誤訳しているかもしれませんが。
斬り合いの中で変に人間身を感じると双方にとって斬るのが辛いので、お互いに人を人と思わず、ただ物を斬っているように斬らねばとてもじゃないが心が持たなかったのかもしれない。
表面には「運有天地不定」とあります。
「運は天に有り、地は定まらず」という意味のようです。
運は天のみぞ知りなるようにしかならない、という事でしょうか。
(画像出典:大阪歴史博物館 【特別展】 変わり兜×刀装具日記)
表と裏の意味を合わせるなら、お互い斬り合う事になったのもまた運であり、誰にも分からなかった。
お互いに悪くないし、人間を斬っているわけでもないのだ。
と言い聞かせているような鐔であり、人間の奥底にある弱みを武士がどう克服しようとしたのかが感じ取れる鐔であると個人的には感じた。
しかしそんな事を今平和な時代に過ごしている私が考えてみても結局意味は無いのである。
まさに小林秀雄氏の文章の通り。
他にも鶴丸透かし鐔のくだりが書かれているが、なるほど確かに当時の人もこのような経験からこの図案というのは思いついたのかもしれない。
(画像出典:銀座誠友堂 鍔無銘 京透 鶴丸透鍔)
(画像出典:2013年センター試験問題国語)
他にも文中には説教琵琶の話もありましたが、当時の思想などを理解する際に観念的に理解するのではなくて、実際にその文化に触れたりする事の出来る場を訪れる事で分かることの方がより理解の精度が上がるのかもしれません。
因みに2013年のセンター試験の問題は以下から見れます。
是非時間がある時にでもゆっくり読んでみると面白いかもしれません。
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