煮て変わる金属の色味(刀装具の話)
刀装具には様々な色味の金属(銀、素銅、四分一、赤銅など)が用いられています。
それぞれの色味をまとめると以下のような感じです。
上の色味は金属の表面を酸化皮膜も無い状態にまで磨き上げてから「大根おろしの液に浸して、硫酸銅と緑青を水に混ぜて沸騰させた液で煮る」という古来からの着色方法で色付けが行われたものです。
大根おろしという点が面白いですね。
尚、煮色液の処方例がwikiに載っていましたので紹介します。
水1.8ℓに対して緑青や硫酸銅を何グラム入れれば良いかの参考にされてください。またそれに加えて、硼砂や梅酢、焼明礬などを入れる場合もあるようです。
因みに着色前の色味は以下のような物です。
四分一は「銀1:銅3」の合金です。
赤銅は「銅100:金1~5」の合金です。煮ると黒くなるのが不思議ですね。
装剣金工の片山さんなどもよく鐔を煮ている様子をTwitterにアップされていますね。今回と同じ手法かは不明ですが、液の色味的に硫酸銅は使用されていそうです。
尚、煮る事で着色されるわけですが、この時に薄い被膜に覆われた状態になっています。
この被膜はこすれたりすると徐々に失われていくので、仕上げにロウや透明な塗装膜で覆う事もあるのだとか。
以下は江戸期頃と思われる赤銅の鐔ですが、表面の被膜が失われているものと思われます。
・終わりに
硫酸銅は劇物指定されていますので、毒劇物の販売許可を取っている薬局薬店であれば購入できるようです。
実際に煮色される場合はよく調べてから自己責任にて行ってください。
それにしてもこうした作業方法を見て行くと日本刀もそうですが刀装具も 1点1点時間を掛けて丁寧に作られている事を実感しますね。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)