見出し画像

自在置物の龍拵①

以前見かけた立体的な龍が笛に巻き付いている面白いデザインの短刀拵。

これは自在置物の技術を用いて龍を製作し、それを笛型の拵に巻き付けている様子が伺える。
以前東京国立博物館にて自在置物を見た時の様子が以下である。

明珍宗察(1682~1751年)の作で、1713年の製作年紀入り。
自在置物としては最も古い作。
関節が自在に動くように作られており蛇のようにくねくねと様々なポーズを取る事が出来る。
この時代から既に金属で立体的な造形を製作しており、かつ非常に完成度が高い。

胸辺りに銘が刻まれているがなかなか写真だと見えない


つづいて明珍清春(18~19世紀)の作。
顎や首、足の爪他、翼、尾羽根などの開閉が可能な自在置物。
大英博物館にも明珍清春の自在龍が存在している。


以下は自在置物では無さそうであるが、明珍宗頼(19世紀)の鳳凰舟形香炉の作。宗頼は自在置物も製作している。
船の中心部には龍が良く手に持っているような火焔宝珠が乗っている。

明珍と言えば本来は甲冑を手掛ける甲冑師だったようで、冒頭の龍の自在置物を製作した明珍宗察には以下の篭手などの作も展示されていました。

他にも鐔などにも明珍の名が入った作例は多く残っていますが、明珍家も時代のトレンドなのかこうした自在置物にも力を出していた様子が伺えるのはなかなか面白いです。
以下は明治頃の冨木次三郎(宗信)の作例に思いますが、こうした自在置物の素晴らしい技術も現在では絶滅危惧種のような感じになってしまっている気もします。

そういえば今富士美術館で開催されているサムライアート展に上記とかなり似た作例のものが展示されているようで。
目録を見ると高瀬好山の作とのこと。作例が似ているのも頷けます。
きっと両者には何か深い繋がりがあるのかもしれません。
期間中に見に行きたい所です。

今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると嬉しいです。
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

いいなと思ったら応援しよう!