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刀装具年代測定の講義を聞いて

今日は学習院大学で刀文協さん主催の刀装具シンポジウム「放射性炭素年代測定による刀装具の年代決定(講師:Boris Markhasin氏)」に参加してきました。

目白駅おりてすぐの学習院大学にて
大学という場に足を踏み入れるのは何年ぶりだろう…

本研究はBoris氏の成果であり私がここで話すのはお門違いですので詳細についてはBoris氏本人による報告を待ちたい所です。
故にここでは大まかな概要だけ。
年代測定にあたり、有機物なら何でも持っているというある炭素を計測する事でその物がいつ頃の物かを特定するという内容で、このある炭素は木材や革、漆、布などから採取でき、しかも対象物を破壊しない微細な量のサンプルで検査できるようです。
ただその年代を絶対的に確定するものではなく、例えば1472年~1509年の確率60%、1592~1619年の確率40%‥‥などのように少し離れた年代、複数範囲で結果が出る事もあるようで、江戸時代以降の刀装具についてはある理由でなかなか難しいらしい。
更に表面に何か接着材であったり未知の何かによる汚染がある場合は正確な判定が出来ないというデメリットもあるようです。
また漆などをサンプルとして採取する場合、漆が塗られた時期と金具が製作された年代とで結果が異なる事もあり、こうしたことも研究を難しくする1つの要因だそうで。
故に美術史の知識を統合した見方をする事である程度正確な情報が得られるのではないかとのことでした。

講義ではスライドに拵の写真が映し出されて「いつの時代だと思う?」と質問が参加者に投げかけられました。
中でも個人的に書籍等で見ていた知識から室町末期頃の拵かと思った物があったのですが実際は鎌倉期と結果が出たものや、かなり状態の良い葵形太刀鐔で後世の写しかと個人的に予想したものが平安期のオリジナルの物であったりなど、化学的な検査を行い様々なデータを蓄積することで今までの刀剣書籍と少し異なった新しい見解や概念が定着し、古い刀装具の研究が一気に進むかもしれないという可能性を感じた内容でした。

Boris氏も多くの愛好家が検査をしデータを共有蓄積しあう事でそれらの実現は早まるだろうとの事でしたが、同時に1回の検査で7~8万円程の金額が掛かるというネックもあるらしく、得てしてそうしたお金があれば大体の愛好家は新しい鐔を買ってしまいなかなか個人で行うには困難だろうとも。
こんな時こそ日刀保などが率いて研究が進むと良いなと思うのですがどうでしょう。

刀装具シンポジウムには海外のコレクター兼研究家の方、刀剣商の方など様々な方が参加したイベントでしたが、海外の方の知識や熱量から刺激を頂く事も多く、是非今後もそうした方と定期的に交流を持つ事で自身の知見を深めていきたいと思いました。
その為にも英会話をしっかりせねば…。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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